【世界のモバイル】通信キャリア連合がケータイ市場にもたらすメリット
2008年01月31日10時00分 / 提供:ITライフハック
ブリッジ・アライアンスが提供する国際ローミングサービス 写真一覧(2件)
■国際ローミング利用時の落とし穴
先日、auとソフトバンクから2008年春モデルの発表が行われた。注目すべき製品の1つがauの「W62S」である。ジュラルミン製パネルを採用した薄型モデルだが、同社としては初となるGSMとCDMAのデュアルモードに対応した国際ローミング携帯だ。同端末の利用者は海外約180カ国のローミング先で自分の携帯電話をそのまま利用することが可能になるという。また海外で利用できるサービスは音声通話のみならずメールやEZweb、PCサイトビューアーなどパケット通信にも対応している。
すでにNTTドコモやSoftbankからも海外のW-CDMA/GSM圏で利用できる国際ローミング端末が多数発売されおり、海外旅行時や出張時に自分の携帯電話をそのまま持ち出すことは当たり前のことになりつつある。海外渡航頻度の多い人ならば、新機種買い替え時に必要とする機能の1つが国際ローミング対応だろう。しかし海外で国際ローミングを利用する際に気をつけなくてはならないのが日本とは異なる料金体系だ。現地で観光案内のコンテンツを見たり、風景の写真を撮影してメールで送ることなどは便利だが、その際のパケット料金は日本で定額に加入していても従量課金となる。すなわち海外では使えば使っただけの料金が請求されてしまうのだ。NTTドコモなどは基本料金に含まれる無料通話分を国際ローミング利用時の料金に充当できる料金体系を提供しているが、それとてパケット通信が定額で利用できるわけではない。
このように国際ローミング時の通信費用は日本のみならず世界中の携帯電話利用者の悩みの種となっている。そこでアジアでは連合を組んだ通信キャリアが国際ローミング利用時のパケット料金を低減させるパッケージ料金を提供している。このうちNTTドコモが加入する「コネクサス・モバイル・アライアンス(Connexus Mobile Alliance)」は2008年第一四半期中に新しい料金体系を導入予定とのことだ。NTTドコモは一定量までのiモードを除くパケット通信について定額、それ以上は従量課金という国際ローミング向けのオプションプランを提供する予定だという。
一方、もう1つの通信キャリア連合である「ブリッジ・アライアンス(Bridge Alliance)」はすでに国際ローミング向けのパケット料金パッケージを発表している。その概要を見てみよう。
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| アジアの2大通信キャリア連合と、加入企業 |
■ブリッジ・アライアンスが提供するローミングパッケージ料金
ブリッジ・アライアンスは韓国、シンガポール、香港など11の国と地域のキャリアによる連合であり、2007年11月5日から順次国際ローミング向けのパケット通信パッケージ料金「Bridge DataRoam」を提供している。携帯電話の通信料金は国ごとにまちまちだが、このBridge DataRoamは単純明快な料金を提供している。料金体系は以下の2つだ。
Bridge DataRoam15 - US$30/15MB
Bridge DataRoam40 - US$60/40MB
同アライアンスに加入する通信キャリアからは、どの国でも上記の料金でサービスが提供されている。なお実際は上記米ドルに相当する現地通貨での料金となる。これらのパッケージ料金は通常の国際ローミング料金の1/5〜1/10と大きく割り引きされており、定額ではないもののローミング中にパケット通信を多様する利用者には大きなメリットがあるだろう。おそらくNTTドコモから出される料金体系も同様のものとなるだろうから、普段海外に出かけるビジネスパーソンなどは今後同社のアナウンスを期待して待つといいかもしれない。
■国を超えたキャリアの連携は必須になる
ところでブリッジ・アライアンスには日本や中国の通信キャリアが加入していない。そのため日本と中国も含めたパケット料金パッケージを独自に提供しているキャリアもある。たとえば香港CSLは、「APAC Traveller Package」をHK$338(約4600円)/月・15MBで提供している。ブリッジ・アライアンス外のキャリアの利用も含まれるためBridge DataRoam15より若干割高になるが、アライアンス11カ国に加え日本や中国でも使える点が便利だ。
さて日本でアジアのアライアンスに加入している通信キャリアはNTTドコモだけである。今後日本人の海外渡航が増え、海外での携帯電話の利用頻度も高まるようになれば、国際ローミング時の料金を「高い」と感じる利用者も増えてくることだろう。しかしアライアンスに加入しているNTTドコモの国際ローミング料金が割安であれば、「海外で使うならドコモ」という印象が今後強まるかもしれない。
日本の料金体系が適応されない国際ローミングは通信キャリアにとって新たな収益源になりつつある。しかし今後は国内だけではなく海外での利用料金も消費者がキャリアを選ぶ際の判断基準になっていくかもしれない。そのためには国を超えたキャリア同士の連携を深めていく必要がありそうだ。たとえばソフトバンクは旧ボーダフォン時代のネットワークを生かしてヨーロッパでの国際サービスを強化する、といったことができるのではないだろうか。またauがCDMAキャリア主体のアライアンスを自社が中心になって結成する、といった動きがあっても面白そうである。いずれにせよ今後利用者の増加が見込める中国との連携は、日本のキャリアも早急に行うべきだろう。
「海外でも自分の携帯が使える」ことは、日本以外の多くの国では数年前から当たり前のことになっている。日本では国際ローミングサービスの利用はまだ普及が始まったばかりだ。今後は「海外で使える」だけではなく、「海外でもリーズナブルに使える」ようにすることこそが、充実した国際サービスと呼べるのではないだろうか。
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山根康宏
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