チャンピオンズリーグ(前身のチャンピオンズカップも含む)と国内リーグ、そして国内カップの3冠を同時達成したチームは欧州にいくつあるのか?

 1999年にマンチェスター・Uが達成した“トリプル”は誰の記憶にも新しいだろう。バイエルン・MとのCL決勝ロスタイム大逆転も劇的だったが、プレミア優勝もアーセナルとのデッドヒートを僅差で制した価値あるものだった。

 現代のCLを制するには、気の遠くなるような準備期間と入念な計画、大量の資金投下が不可欠だ。ハイエンドレベルのコンペティション、過密日程、移籍市場でのかけ引きなど偉業達成への困難さは想像を絶する。

 3冠は、マンUのほかに史上3例があるにすぎない。1967年のセルティック、1972年のアヤックス、そして1988年のPSVだけだ。

 つまり、イタリア、スペイン、ドイツのビッグクラブが成功した例はないのである。3冠達成へしばしば大きな障害となるのは国内カップだ。1965年のインテル、1994年のミランのようにCLと国内リーグを制す“ダブル”は獲得したものの、国内カップを取りこぼしたチームは17にものぼる。

 先週末も各国でリーグ戦、カップ戦が行われ、火曜日から決勝トーナメントが始まるCLの有力チームが明暗を分けた。戦力を落としてターンオーバーで臨んだチームも多かったが、それだけ偉業への挑戦権は限られているともいえる。わずかな可能性だが、今季3冠達成を目撃できるだろうか。