「当て逃げ動画騒動」 所有者の発言食い違いのナゾ
自分の車を当て逃げされた被害者がその場面をユーチューブに公開し、それがきっかけで起きた「当て逃げ動画騒動」はさらに波紋が広がっている。テレビなど大手メディアもこの事件を報じ、当て逃げした車両を所有する男性のインタビューを放送したが、男性の言い分が微妙に食い違っていることから、様々な憶測を呼んでいる
「当時車を貸していて、使っていた人は分からない」
2007年6月18日にJ-CASTニュースが「当て逃げ動画騒動」を報じて1週間以上経ってから、大手メディアが相次いでこの話題を取り上げたのだ。6月26日に朝日新聞が朝刊で「車所有者、身元さらされ集中攻撃」という見出しで報じた。テレビ朝日とフジテレビが同日お昼前のニュースで、日本テレビが夜のニュース「NEWS ZERO」で取り上げた。読売新聞も、翌6月27日朝刊で「当て逃げ ネットが制裁」という見出しで、ネット上の動きを批判的に報じた。
いずれの報道も、動画が公開されてから、「当て逃げ」をした車の所有者が懲戒解雇の処分を受けるまでの騒動の顛末を紹介した上で、
「捜査が難航しており、人員を増やして早期解決を目指したい」
という趣旨の、捜査を担当する警視庁竹の塚署のコメントを紹介しているという点では一致している。
ところが、肝心な「誰が運転していたのか=誰が加害者なのか」については、各メディアが車の所有者の言い分を報じているが、報道ごとに内容が食い違っているのだ。「所有者が警察に対して話した内容」として報じられている内容を見ただけでも、ばらつきが生じているのだ。
朝日新聞、日本テレビ、フジテレビは
「当時車を貸していて、使っていた人は分からない」
という内容だが、読売新聞は
「客(編注: 車を運転した人)の名前は『迷惑がかかる』と明かしていないという」
「その日初めて会って仲良くなって」
所有者の男性は、日本テレビのインタビューに応じており、そこではこう語っている。
「車をお預かりして、アシがないと困るだろうと言うことで代車として車をお貸ししたんです。その日初めて会って仲良くなって、電話番号の交換しかしていなかったので…」
インタビューでの「肉声」はここまでだが、この所有者の言い分として、
「携帯電話が故障し、相手の連絡先が分からなくなった」
というナレーションが入っている。ここまで見ただけでも、
「使っていた人が誰だか分からない」
「使っていた人に迷惑がかかるので、それが誰かは明かせない」
「連絡先が記録されているケータイが壊れたので連絡できない」
という、お互いに矛盾する主張が並んでおり、何が事実なのか不明な状態だ。
さらに、フジテレビのインタビューでは
「車を代車としてお貸しする、と。バンパーとかそういう損傷はなくって、ほんの5センチぐらいちょっとこすったかな、という傷があるだけなんですよ。クビにされてどうの、ってのはないんですよね」
と、車には「当て逃げした時に付くほど激しい傷は付いていない」という趣旨の主張をしている。