10日、松下電器の経営方針説明会で2009年度の経営目標を発表する大坪社長(東京会場のモニターから)。(撮影:吉川忠行)

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松下電器産業<6752>は10日、2010年3月期まで3カ年の新中期経営計画「GP3計画」を発表した。

 同計画では最終年度(09年度)のグループ売上高について、06年3月期実績と比べ約12%増の10兆円を目標として定め、ROE(株主資本利益率)は10%(06年3月時点で4.2%)を目指す。これまで営業利益率としてきた経営指標を、今回から「市場が最も重視する」(大坪文雄社長)というROEに切り替えたが、社内目標として10年3月期の営業利益率は8%とした。

 新中計では、◆デジタルAV◆カーエレクトロニクス◆半導体◆白物家電――の4事業を戦略事業に据え、欧米、アジア市場にBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国の成長市場4国を指す)やベトナムを加えた海外市場を中心に計1兆円の売り上げ増を狙う。デジタルAV事業で売り上げ増の7割を達成し、その他の重点分野で残り3割を目指す方針だ。

 また、3年間で設備投資に約1.5兆円、研究開発費に約1.8兆円と、計3.3兆円を重点分野に投資する。M&Aについても「経営資源を回すよりも効率的な方法があれば採用する」(大坪社長)と積極的な姿勢を示した。

 重点投資の一環として、過去最大規模の2800億円を投じ、国内で5カ所目となるプラズマテレビ用パネルの新工場を現尼崎工場(兵庫県尼崎市)の隣接地に建設する計画も発表した。生産台数は第4工場の2倍となる月間100万台(42型換算)で、09年5月の稼働を目指す。増産体制を敷くことで、主力の薄型テレビ37型以上の世界シェアを、現状の20%弱から25%に高める狙いだ。

 同日、大阪府枚方市で開いた記者会見で大坪社長は、「構造改革段階を経て、次は世界的な優良企業への挑戦権を得る成長段階に入っていきたい」と強調。目標必達の課題を「基本に忠実な営業と細かいコスト管理」とした。

 業績不振が続き、売却の観測が取りざたされている子会社の日本ビクターの処遇については、「私の考え方は明確に持っているが、資本関係を含めまだ何も決まってはいない」と述べるにとどめた。【了】