「昨年、清宮幸太郎を擁するU-18代表の人気もすごかったけど、今年のほうがさらに上をいっている」(2年連続で取材するカメラマン)

 その人気の中心にいるのが、甲子園を盛り上げた金足農業の吉田輝星、大阪桐蔭の根尾昂、藤原恭大の3年生トリオ。

 初日は、初めて同じチームでプレーするということで、ナインは笑顔こそ見せるものの、どこかギクシャクした雰囲気があった。それを解消したのが永田裕治監督。人心掌握術に長けていることで定評のある永田監督は、冗談を言って場の雰囲気を和ませる。 

 その結果、「これほど明るい代表は見たことがない。やるべきことはちゃんとやっているが、ナインはつねにリラックスして笑顔が見られる」と、前出のカメラマンは語る。  

 気になる吉田と大阪桐蔭コンビの関係だが、いまやお互いをリスペクトする間柄にまでなっているという。

「根尾と藤原が吉田のことを “ヨッシー” と呼ぶことで、お互いの距離が近くなった。藤原は関係者が驚くほど目標が高く、心構えはプロ並み。試合で活躍していないのに記者に囲まれると、本気で『今日は僕じゃないでしょう』と言うほど。

 また、以前からビッグマウスも特徴で、『将来はプロに行って三冠王を獲り、ゆくゆくはメジャーに行く』と公言している。これも、わざと大きなことを言って、自分の言動に責任を取るため。

 そうした姿勢に吉田も感化され、2人で話すときばかりか、藤原が記者に囲まれて発する言葉にも真剣に耳を傾けている」(担当記者)

 一方の根尾は、無類の風呂好きで知られている。クールダウンはもちろんのこと、湯船につかって野球の話をすることが大好きなのである。その浴槽で、根尾を質問攻めにしているのが吉田だという。

「根尾はすべてを野球中心に考えていて、携帯電話も持っていない。また、両親が医師ということもあって、栄養学、サプリメントなどの知識も豊富に持っている。そこで、吉田がコンディショニングについて聞きまくり、結果、長風呂になっている」(同前)

 吉田は、秋田大会の初戦から甲子園の決勝までの11試合で計1517球も投げている。プロのスカウトからは代表を辞退し、休養にあててほしいとの声が聞こえるかと思えば、逆だった。

「現時点で、吉田はプロよりも大学進学の意向が強いと聞いている。だが、根尾や藤原といった高校球界屈指の実力者と接することで刺激され、その気持ちが変わるかもしれない。

 実際、清宮は、昨年のU-18W杯前までは早大進学かプロかで揺れていたが、大会後にはすぐにプロ入りを表明した。やはり、世界大会を経験し、ドラフト候補たちとともに戦ったことがプロ入りへの決定打だった。吉田が同様に気持ちが変わることを、我々多くのスカウトは期待している」(パ・スカウト)

 プロ入りか、それとも……。大阪桐蔭のドラフト1位候補コンビが、吉田の心を揺さぶっている。
(週刊FLASH 2018年9月18日号)