渋滞の最後尾での点灯は事故の減少に有効

 ハザードランプは、「非常点滅表示灯」とも呼ばれ、本来は文字どおり、故障などで緊急に駐停車するとき、あるいは何か危険を知らせるときに点滅させるためのランプだ。ドイツやアメリカなどでは、何か危険を知らせる時以外にハザードランプを使用すると違法なるとされている。バスや配送車など、頻繁に停止と発進を繰り返す車両の使用は認められている。 

 日本では、「夜間の5.5メートル以上幅がある道路で停車・駐車している時は、ハザードランプまたはテールランプをつけなければならない」(道路交通法施行令 第十八条)「通学通園バスは、小学校等の児童、生徒又は幼児の乗降のため停車しているときは、車両の保安基準に関する規定に定める非常点滅表示灯をつけなければならない」(同 第二十六条)とあるだけで、その他のケースでは、使ってはならないとは記されていない。

 というわけで慣例化され、多くのドライバーに認知されている使い方なら緊急停車や通学通園バス以外でも、ハザードランプを使っても問題はない。むしろ奨励されている使い方が3つあるので、それを紹介しておこう。

1)渋滞最後尾のハザード

 高速道路などで、渋滞の最後尾に近づいた際、ハザードランプを点灯させ、後続車に「ここから渋滞がはじまる」と知らせることは、NEXCOや高速道路交通警察隊も奨励している。追突事故を防ぐためにも、これはどんどん利用した方がいいだろう。

2)牽引時のハザード

 教習所などでは、レッカーに牽引されるときなどに、ハザードランプで「牽引されることにより徐行していること」知らせるよう奨励している。

3)リバースハザード

 駐車スペースにバックで駐車する際、ハザードランプを点滅させて後続車にバックすることを伝えるための使い方。(駐車場内は、道路ではないので、道交法とは無関係。マナーとコミュニケーションの問題)

 その他、グレーゾーン的なのが、いわゆるサンキューハザードと、路肩に停車するときハザード。サンキューハザードは、合流や車線変更時に、進路を譲ってくれたドライバーに対して「ありがとう」の意味で2、3回ハザードランプを点滅させるもの。

 前記の通り欧米ではアウトだが、日本ではわりとメジャーになってきているので、ローカルルールとして通用しているといっていい(クラクションを使用してのお礼の合図は、厳密にいうと道交法違反)。個人的には、片手を上げたり会釈をするほうが、正統派というか、好感が持てる。

 路肩に停車するときのハザードも、ルール的には微妙だが、左ウインカーだと止まるのか、左折するのかわかりづらいし、ハザードなしで徐行→停車されると、追い抜いていいのか? 停車する際は、ハザードを出して意思表示した方が、まわりは助かる。というわけで、安全かつ円滑な交通環境の構築に役立つのなら、コミュニケーションツールのひとつとして、ハザードランプも上手に活用した方が望ましい。

 一方でハザードランプを消し忘れて、発進してしまうクルマもときどき見かけるので、要注意(周囲のクルマからは、どちらに進みたいのかがわからなくなる)。また駐車時にハザードランプを消し忘れてクルマを離れると、バッテリー上がりの原因にもなる。

 ハザードランプのオン・オフは、手動が基本なので、使ったあとは必ず消すことを忘れずに。