政府が女性の社会進出を後押しするが…

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 職場に次々と「女性優先採用」や「女性限定採用」が現われ、しかもそれを政府が推進している。実際の採用結果に疑問を持たざるを得ないケースもある。

 平成28年度に行なわれた名古屋市の職員採用試験では、第1類免許資格職の事務系行政職採用に、男性858人、女性561人が受験し、筆記試験による一次試験の合格者は男性631人(合格率73%)、女性406人(同72%)だった。

 ところが、面接による二次試験を経た最終合格者は、男性41人に対し、女性は46人と逆転している。筆記試験での合格率は女性のほうが低いのに、面接試験で急激に女性の合格率が上昇するのである。

 女性を優先的に合格させているのか、名古屋市人事委員会に聞いたところ、「完全に平等にやっています。法律や政府の方針は考慮していません。試験の中身についてはお答えできません」との回答だった。経済評論家の荻原博子氏は、ゲタを履かせて女性を採用することを問題視する。

「能力が同じなら女性を優先するということに、合理性がありません。今はそんな時代ではないでしょう。男女平等の考え方が浸透し、企業も男女を問わず優秀な人材を欲しがっている。あえて女性を優遇しなくても、普通に採用していれば、女性が半分になるはず。

 そもそも『女性活躍』という言葉が胡散臭い。女性を活躍させるために就職させるというのは、本末転倒。優秀な女性を活用するというのが本筋のはずです」

“官製”の女性優遇は就職時だけではない。厚労省や都道府県の労働局が、女性の再就職支援事業を行ない、企業に対して女性採用を働き掛ける試みも始まっている。

 東京都産業労働局は、就職や求職支援を行なう「東京しごとセンター」を運営しているが、平成26年7月から「女性再就職支援」事業を開始した。女性を対象に、カウンセリングや事務基本知識(ビジネスマナーや電話応対、書類作成・管理)に関するセミナー、パソコン教室(ワードやエクセル)、職場体験などを実施している。さらに、求人会社の条件が求職者とマッチしていない場合、求職者に代わって企業と勤務時間や職場の調整もする。

 まさに至れり尽くせりである。企業に対しては、女性の雇用促進や育休、再就職のための助成金として「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」や「中小企業両立支援助成金」も用意されている。

※週刊ポスト2017年5月26日号