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 やまもといちろうです。友達を長期宿泊させていたら、ホモ疑惑が囁かれて往生した経験の持ち主です。

 いまでは私も好きな人が出来て結婚し、子供も3人いてとても幸せな家庭生活を送っておりまして、日常においても昔から私は同性愛者ではありません。どのような性的嗜好を持っているから良いとか悪いとか言う話ではなく、また男だから、女だからということも、本来人を泊めるという行為は中立的であるべきなんですよ。人として遠方からきた人をもてなすにあたって家に泊めてやるというのはごく普通にあることですし、仮に相手が同性だったからといって、性的関係にあるんじゃないかと妄想を逞しくするのは非常に失礼なことではないかと思うんですよね。

 独身時代には、確かに私は数ヶ月の間、遠くから来た男性を宿泊させていたのは事実ですけれども、だからといってホモと直結するというのはいかがなものかと強く感じます。熱い風評被害以外の何者でもありません。そもそも性的なイメージと結びつけるのはやめて欲しい。ぜひその辺はご留意いただきたい。そのように思うわけであります。

 ところで、中国籍の女児がマンションから転落死するという痛ましい事故が発生したことが報じられる一方、ネットでは一般の住宅に宿泊させるウェブサービス「AirBnB」を利用したお客さんなんじゃないかという話が出てきており、現在確認作業が進んでいるようです。

帰宅途中に明治通り恵比寿と渋谷間が騒然。子供が倒れてて母親らしき女性が絶叫してた。パトカー2台いて、救急車も向かってる感じで、母親らしき女性は中国語と片言英語混じりで「AirBnB、12th floor」としきりに言ってた (続

 この目撃されたMinae Taniさんも衝撃だったろうと思います……。

 それにしても、別にウェブサービスを使ったからといってマンションから転落したわけではないと思いますし、転落死の全体数からすればウェブサービスによる宿泊の事故が多いという統計上有意な差があるわけではないのでしょう。

 しかしながら、一般論として宿泊させた側が転落の可能性について充分な注意を喚起したのかという責任はつきまとう可能性はあります。一定額のお金をとって宿泊させることは、ホテルその他に比べれば圧倒的に安く済ませられるという点で画期的な一方、業として行う可能性があるならばそこで起きる事故について免責されるわけではない、ということは知られてしかるべきことでしょう。

宿泊サービスに対する規制見直しは必要!?

 先日も、旅館業法について疑義を呈した、ヤフージャパンの執行役員社長室長である別所直哉さんの記事が話題になり、それはお前らヤフージャパンが軽井沢町で簡易宿泊仲介をビジネスとしてやろうとして、当然のように違法だと指摘されたから頭にきて書いただけじゃないのかと一部の方面から熱い揶揄が飛んだりしておりました。

 いつ見ても良い掛け合いですね。胸にこみ上げてくるものがございます。

 そもそも宿泊というサービスを提供するにあたって、なぜ規制があるのかというのはそれに至った経緯があります。いまでこそゼロになっているでしょうが、結核その他の感染症の温床に宿泊施設がなってしまったり、今回のような痛ましい死亡事故を起こさないために、宿泊サービスを提供する側の最低限以上の責務を定め、それを遵守できる事業者が第三者を宿泊させて良いよ、という規制になっておるわけです。

 火災の時の避難誘導や、転落の危険性を知らせる注意書きなど、宿泊施設としてお金を取るならば当然しなければならない告知義務が果たされていなければ、事故が起きたとき免責にはなりづらいんじゃないの、と思うわけであります。

 これが「無駄な規制だから緩和しろ」となるのか、あるいは「無秩序に誰かがどこかに泊まっている状態は問題だろうから、宿帳システムその他を仲介サービス業者には記録を義務付けるべき」となるのか、行く先は分かりません。大いに議論したらいいんじゃないでしょうか。しかし、いまは現行法でお話が進んでいる以上、もしも本件が噂通りAirBnBによる仲介だったとするならば、いま一度議論を整理する必要はあるのではないでしょうか。

 願わくば、このAirBnB的なサービスに対しても、ドローンその他同様にきちんとした議論が国民の間で交わされて、事故や悲劇が繰り返されないよう願うのみであります。

著者プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

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