治安戦略アナリストで元警視庁刑事の小比類巻文隆氏が自身のYouTubeチャンネルで「『ラヴ上等』、エンタメ責任は運営側に。木村花さんの悲劇を忘れない。元警視庁刑事が解説」を公開した。Netflix等で配信されている恋愛リアリティ番組ラヴ上等』を題材に、番組制作側の責任と、出演者の過去をエンタメとして消費する風潮に苦言を呈した。

小比類巻氏はまず、元不良の男女が共同生活を送る同番組について、出演者の壮絶な過去や弱さをさらけ出させる演出を指摘。2020年に起きた木村花さんの悲劇を引き合いに出し、リアリティ番組の出演者が放送後にSNS等でどのような攻撃を受けるかについて「もはや制作側が想像できなかったでは済まされない問題だ」と厳しく断じた。「若者の弱さを商品として世に出した大人側には、その後まで責任がある」と述べ、出演者の心の鎧を脱がせてバズらせる以上、制作側は批判を真っ向から引き受け、出演者を誹謗中傷から守る義務があると訴えた。

さらに動画後半では、法務省が同番組とタイアップし「更生上等、立ち直りってラヴだ。」という言葉を掲げたことに対し、強い違和感を表明。「本当の更生というものは、恋愛リアリティショーよりもはるかに地味なものだ」と指摘し、毎朝起きて仕事に行き、理不尽なことがあっても暴力を振るわず、約束を守るという「当たり前の生活」を何年も積み重ねることこそが更生への道筋であると説いた。

小比類巻氏は、過去の過ちを輝かせるための勲章にしてはならないと警鐘を鳴らす。「更生を求める人間が真っ当に生きる努力を続けるなら、社会の側もその変化を見る必要がある」と述べつつも、社会復帰や自己開示を短絡的にエンタメ化し、消費することの危うさを強く訴えかけた。

チャンネル情報

元警視庁刑事・国際捜査官。1993~2023年警視庁。爆弾処理班配属後、警視庁中国語通訳を経て国際捜査官に。以降、国内外の銃器・薬物犯罪の情報収集、秘匿捜査に従事する。ほか殺人、強盗、誘拐事件などあらゆる捜査に参加。退官後、30年に及ぶ警察人生の知見を世の中へ貢献すべく治安戦略アナリストとして活動中。