「もっといい明日がきたらいいのに」と話す、10歳のイエメンの男の子。©UNICEF Yemen_2014_Akram Abdulatif

写真拡大

 ユニセフは今日、イエメン各所で激化しつつある紛争によって、子どもの死者や負傷者が増加し、家を追われる子どもや病気のリスクが高まる子どもも増えていると伝えました。

 軍事衝突が始まった3月26日以降、少なくとも74人の子どもが命を落とし、44人が大けがを負いました。これらは少なく見積もった数字であり、この1週間で戦闘が更に激化していることから、ユニセフはもっと多くの犠牲者が出ていると考えています。

「子どもたちは、この紛争によって大変な犠牲を払っています」ユニセフ・イエメン事務所代表のジュリアン・ハーネスは、ヨルダンの首都アンマンでこう話しました。

「子どもたちは、殺され、傷つけられ、家を追われています。健康は脅かされ、教育も途絶えています。国際人道法に則って、紛争の当事者は直ちに子どもたちへの配慮と保護に努めなければなりません」

 イエメンでは、10万人以上が安全な場所を求めて国内避難民となっています。病院など医療機関も攻撃の対象となり、医療資材が不足する一方、負傷者は増え続け、病院は厳しい状況の中で対応に追われています。これまでに、少なくとも救急車の運転手を含む3人の医療関係者が複数の攻撃で亡くなっています。

 ユニセフのチームは治安状況が許す限り、被害を受けている人々へ安全な水や必要不可欠な保健サービスを届けるために活動を続けています。給水システムが繰り返し被害を受けている、アデンを含む南部の3都市で、給水ポンプを稼働させるための燃料も提供しています。南部のいくつかの行政区では、路上に水が溜まり、下水が溢れているとの報告もあります。給水システムが機能しなくなった地域では、病気の流行の危険が高まっています。

 ユニセフはまた、ワクチン保冷倉庫を適切な温度に保つための発電機用燃料も提供しています。イエメン国内に備蓄されていた支援物資も役立てられており、栄養治療食やシンプルですが下痢性疾患に高い治療効果が得られる経口補水塩などの物資も調達しています。

 影響を受けている子どもたちや保護者に向けて、不発弾の危険や紛争によって抱えている不安や困難とどう向き合えばよいのかなどのメッセージも、国内メディアを通じて発信していきます。

「現在、大変危険な状況です。病院は患者で溢れ、救急車さえ乗っ取られるという事態が起きています」と、アデンにいるユニセフ職員は伝えています。

 イエメンは、この地域で最も貧しい国のひとつです。食糧不足に陥りやすく、子どもたちの間には深刻な栄養不良が広がっています。今回の紛争は、既に不安定だったこうした子どもたちの状況を、更に悪化させているのです。

【イエメン基礎情報(出典:世界子供白書2015)】
・総人口:24,407,000人
・子ども(18歳未満)の人口:11,587,000人(総人口の47.5%)
・5歳未満児の死亡率:51(出生1,000人あたり)
・栄養不良による発育阻害率:5歳未満児の47%
・安全な水を利用できる割合:55%
・初等教育純就学率:87%
・成人識字率:66%(女性は男性の61%程度)
・出生登録率:17%

※情報提供: