スマホはもはやゲーム機だ!無料ゲームなのにテレビCMをバンバン流せるのは「すでに家庭用ゲーム機を1000億円以上超えている」から
さらにテレビCMを見ても、「パズドラ」や「モンスト」といったゲームのCMが目立つようになった。
しかし、「無料」のゲームなのに、どうして広告費が高いテレビCMを流せるほどお金があるのだろうか。
多くのゲームメーカーは、そもそも「無料ゲーム」にどうして手を出しているかという疑問が湧く。
実は、無料ゲームは「儲かる」のだ。
●買いきり型ゲームとは違う継続的にお金が入る仕組みがある
少し前まで主流だった買い切り型のゲームアプリは、最初に数百円〜1000円程度の課金を買うシステムだ。
しかしながら、iPhoneもAndroidも、同じID(アカウント)であれば、機種変更後も再度購入する必要なく無料で再ダウンロードができてしまう。
これでは最初に、少しばかり売上をあげたとしても、その後の利益はでない。
そこで登場したのが「ソーシャルゲーム」である。このタイプのゲームは、スマホが本格普及する以前に、ガラケー向けに登場したのが最初だ。ダウンロードや、ゲームを遊ぶのは「無料」。無料ゲームだから、みんなが遊ぶ。
そして、ここからが巧妙なのだ。
ある程度ゲームを遊ぶと課金をしないと遊びにくくなってくる。
たとえば、遊ぶための「ライフ」や「スタミナ」の回復に非常に時間がかかってしまう…などだ。
そこで、ゲームを快適、有利に遊ぶために課金をしてアイテムを購入する…その購入金額が収益となるシステムなのだ。
仮に10万人が100円のアイテムを購入したと仮定しよう、その売上は1000万円。
物品ではなく、輸送費や在庫切れも発生しないので、確実に売り上げることができる。
コラボイベントや、シーズンイベントなど、いろいろなイベントを絡めることで、定期的に新しいアイテムを投入すれば、その都度、一定数のユーザーが購入する。
こうして、買い切り型のゲームよりも、基本無料(F2P)のソーシャルゲームのほうが確実に儲かるのだ。
●最近は事前登録システムが流行
最近、特にCMで多いのが「事前登録で○○を先行プレゼント!」だ。
これにもれっきとした理由がある。
事前登録は、
ユーザー側:ゲームを最初からある程度有利に進めたい
メーカー側:ゲームをダウンロードする予約をしてもらう、ゲームを本格的に遊ぶコアユーザーをゲットする
という双方の狙いがある。
特に基本無料ゲームは、ダウンロードを無料としている関係上、多くのユーザーにダウンロードをしてもらう必要がある。
事前登録をしてもらえれば、「本日リリースしました!」などのお知らせをユーザーに直接届けることができるのだ。
したがって、現在の主流はさらに進化して「事前登録型・ソーシャルゲーム」となっているのだ。
●すでにソーシャルゲームは、家庭用ゲーム市場を超えている
もうひとつびっくりするのは、ゲームの市場規模である。
2013年の市場規模をみてみよう。
・家庭用ゲーム機(PS3や3DSなど):4095億円
・ソーシャルゲーム(スマホ・PCなど):5346億円
出典:2014CESAゲーム白書
となっており、2013年時点ですでにソーシャルゲームのほうが市場規模は大きくなっている。
その中には、「パズドラ」や「モンスト」「LINEゲーム」といったスマホ向けのものや、「艦これ」などのPC向けゲームも含まれる。
「モンスト」のヒットにより業績回復したミクシィの例もあり、これからもしばらくソーシャルゲームバブルが続くことだろう。
布施 繁樹