iOS8にする?しない?そのボーダー・ラインは「5」以降か
9月19日のiPhone 6(6 Plus)の発売を控えた9月17日(日本時間9月18日)、iPhone、iPad向けOS(基本ソフト)の新バージョン、「iOS 8」の配布が始まった。このアップデートは、外部キーボードへの対応やカメラの新しい機能など、かなり魅力的な内容となっている。iOS 8にアップデートできるのは、「iPhone 4S以降のiPhone」「iPad 2以降のiPad(mini含む)」「iPod Touch 第5世代モデル」となっている。
Apple社のスゴイところは、過去のモデルも新OSへバージョンアップできることである。できる機能の差こそあれ、3年ほど前の2011年秋に発売した「iPhone 4S」でもiOS 8にアップデートできるのは、少し前のモデルを大切に使っているユーザーにも嬉しいことだろう。
しかしながら、性能の向上がいちじるしいスマートフォンの3年間は、ハードウェア、特に頭脳と言えるCPUの性能は大きな差が生じている。
最新のOSはグラフィックの画質やアニメーション処理のほか、新機能の追加で大きなマシンパワーが必要になっている。こうした高性能な環境を必要とする最新OSは、3年前のハードウェアでも十分に使えるのだろうか。
●実際にいくつかのiPhone、iPadに入れてみた
iOS 8が配信開始された9月18日、実際に筆者宅にあるiPhoneやiPadをiOS 8へ更新してみた。
更新方法はいたって簡単だ。iPhoneやiPadの「設定」から、「一般」→「ソフトウェアアップデート」を選択する。おおよそ1GBのダウンロードとなるため、じゅうぶんな時間があるときにアップデートは実行しよう。
筆者宅にある、「iPod Touch 第5世代モデル」「iPhone 5」「iPhone 5c」「iPhone 5s」「iPad mini 初代モデル」の5つをアップデートしてみた。これにより、個人的にアップデートを行わないほうが良さそうなモデルも見えてきた。
●iPhone 5以前のモデルは「もっさり」になる可能性がある
結果として、「iPod Touch 第5世代モデル」の動作が非常に遅くなったと感じられた。アプリを起動するのにもワンテンポ遅れるほか、文字入力も少しもたつきを感じてしまった。
このモデルは、見た目こそiPhone 5や5sに近いが、内蔵されているチップはiPhone 4Sと同等のものだ。つまり、iPhone 4Sでも同様に動作が遅くなってしまう可能性が大きい、つまり「もっさり」になってしまう可能性が高いと言える。
続いて「(初代)iPad mini」だ。「iPod Touch 第5世代モデル」ほど遅くなるわけではないが、ややもたつくかなと感じた。やはり文字の入力やメールの確認などに時間がかかってしまうようだ。
それ以外の3モデル「iPhone 5」「iPhone 5c」「iPhone 5s」はどうだろうか。
まず、iPhone 5sは非常に快適と言える。あらゆる動作を行ってみても動きが遅くなるようなことはなかった。続いてiPhone 5と5cは性能としてほぼ近しいモデルである。カメラ機能の一部や文字入力で若干のもたつきを感じたものの、動作は快適に利用できると言えよう。
したがって、「iPhone 5」以降のモデルであれば、iOS 8にしても良さそうだ。逆にそれ以前のモデルでは、特別使いたい新機能やiOS8が必要で無い限り、いま少し様子を見たほうが良いと思われる。
結果をまとめたうえで「◎」「○」「△」で表すとこのようになる。
◎→「iPhone 5s」、「iPad Air」、「iPad mini Retinaディスプレイモデル」
○→「iPhone 5」、「iPhone 5c」、「iPad 第4世代モデル」
△→「iPhone 4S」、「iPod Touch 第5世代モデル」、「iPad 2」、「iPad 第3世代モデル」、「(初代)iPad mini」
「◎」はそのまま、iOS 8にアップデートしても快適に使えそうだ。「○」はややもたつきを感じるが、問題なさそう。「△」は様子見といったところか。
4.7GB以上の空き容量がないとアップデートできないと言われてしまった
なお、空き容量も大事な要素だ。アップデートのデータ容量は1GB程度だが、アップデート作業をするのに約4.7GBの空き容量が必要だ。したがって、16GBモデルなどの本体保存容量の少ないモデルは、アップデート前に本体メモリの空き容量が十分にあるかチェックしておこう。もし、空き容量が足りない場合は、不要なアプリをアンインストールして、メモリの空き要領を確保しよう。
●少し前のモデルでも新OSを快適に使うためには
上記の表はあくまでも、文字入力やアプリの利用にもたつきを感じるというものだ。
つまり、逆に言えば文字入力やアプリを頻繁に利用しない場合かつ、iOS 8の新機能に魅力を感じるのであれば、アップデートするのもアリだ。また、引き続き現在の機種を常用するのであれば、セキュリティ面でも新しいOSにアップすることは必要だ。
問題は、動作が重く、遅くなってしまう点をどうすればいいかだ。
まず対策として、まず行って欲しいのが、アップデート後には、必ず再起動してほしいことだ。パソコンでのハウツーのよう方法だが、アップデート作業で余分なゴミがメモリになまっていることがあり、それが本来の速度に影響を与えることがある。再起動をすることで、こうしたゴミをクリアすることができるので、動作が快適になる可能性があるのだ。また、アップデート後にメモリ解放アプリでキャッシュメモリをクリアするのも有効だ。さらに本体に余計な負担を負わせないように使わない機能を「オフ」にすると快適さをアップできるだろう。
さらにもうひとつ。今後のiOSの更新をきちんと適用することである。過去の大きなアップデートでも、古いモデルではアップデートすることで動きが遅くなることがたびたびあった。しかしながら、その後のiOSの小変更(ソフトウェア更新)により、動作速度なども改善されて快適になってきたからだ。
したがって、前の機種でiOS8にアップデートしたら、その後の完成度の高い更新を待つというのも方法のひとつだ。
iPhoneやiPadを利用しているユーザーにとって、新しいiOS8は楽しみなことだろう。しかしながら、機種によってはすぐに飛びつくことなく、様子を見る、更新のタイミングを図る、こうしたことで賢く快適なiPhone、iPadライフを送ることができるだろう。
・iOS 8について|Apple
布施 繁樹
Apple社のスゴイところは、過去のモデルも新OSへバージョンアップできることである。できる機能の差こそあれ、3年ほど前の2011年秋に発売した「iPhone 4S」でもiOS 8にアップデートできるのは、少し前のモデルを大切に使っているユーザーにも嬉しいことだろう。
しかしながら、性能の向上がいちじるしいスマートフォンの3年間は、ハードウェア、特に頭脳と言えるCPUの性能は大きな差が生じている。
最新のOSはグラフィックの画質やアニメーション処理のほか、新機能の追加で大きなマシンパワーが必要になっている。こうした高性能な環境を必要とする最新OSは、3年前のハードウェアでも十分に使えるのだろうか。
●実際にいくつかのiPhone、iPadに入れてみた
iOS 8が配信開始された9月18日、実際に筆者宅にあるiPhoneやiPadをiOS 8へ更新してみた。
更新方法はいたって簡単だ。iPhoneやiPadの「設定」から、「一般」→「ソフトウェアアップデート」を選択する。おおよそ1GBのダウンロードとなるため、じゅうぶんな時間があるときにアップデートは実行しよう。
筆者宅にある、「iPod Touch 第5世代モデル」「iPhone 5」「iPhone 5c」「iPhone 5s」「iPad mini 初代モデル」の5つをアップデートしてみた。これにより、個人的にアップデートを行わないほうが良さそうなモデルも見えてきた。
●iPhone 5以前のモデルは「もっさり」になる可能性がある
結果として、「iPod Touch 第5世代モデル」の動作が非常に遅くなったと感じられた。アプリを起動するのにもワンテンポ遅れるほか、文字入力も少しもたつきを感じてしまった。
このモデルは、見た目こそiPhone 5や5sに近いが、内蔵されているチップはiPhone 4Sと同等のものだ。つまり、iPhone 4Sでも同様に動作が遅くなってしまう可能性が大きい、つまり「もっさり」になってしまう可能性が高いと言える。
続いて「(初代)iPad mini」だ。「iPod Touch 第5世代モデル」ほど遅くなるわけではないが、ややもたつくかなと感じた。やはり文字の入力やメールの確認などに時間がかかってしまうようだ。
それ以外の3モデル「iPhone 5」「iPhone 5c」「iPhone 5s」はどうだろうか。
まず、iPhone 5sは非常に快適と言える。あらゆる動作を行ってみても動きが遅くなるようなことはなかった。続いてiPhone 5と5cは性能としてほぼ近しいモデルである。カメラ機能の一部や文字入力で若干のもたつきを感じたものの、動作は快適に利用できると言えよう。
したがって、「iPhone 5」以降のモデルであれば、iOS 8にしても良さそうだ。逆にそれ以前のモデルでは、特別使いたい新機能やiOS8が必要で無い限り、いま少し様子を見たほうが良いと思われる。
結果をまとめたうえで「◎」「○」「△」で表すとこのようになる。
◎→「iPhone 5s」、「iPad Air」、「iPad mini Retinaディスプレイモデル」
○→「iPhone 5」、「iPhone 5c」、「iPad 第4世代モデル」
△→「iPhone 4S」、「iPod Touch 第5世代モデル」、「iPad 2」、「iPad 第3世代モデル」、「(初代)iPad mini」
「◎」はそのまま、iOS 8にアップデートしても快適に使えそうだ。「○」はややもたつきを感じるが、問題なさそう。「△」は様子見といったところか。
4.7GB以上の空き容量がないとアップデートできないと言われてしまった
なお、空き容量も大事な要素だ。アップデートのデータ容量は1GB程度だが、アップデート作業をするのに約4.7GBの空き容量が必要だ。したがって、16GBモデルなどの本体保存容量の少ないモデルは、アップデート前に本体メモリの空き容量が十分にあるかチェックしておこう。もし、空き容量が足りない場合は、不要なアプリをアンインストールして、メモリの空き要領を確保しよう。
●少し前のモデルでも新OSを快適に使うためには
上記の表はあくまでも、文字入力やアプリの利用にもたつきを感じるというものだ。
つまり、逆に言えば文字入力やアプリを頻繁に利用しない場合かつ、iOS 8の新機能に魅力を感じるのであれば、アップデートするのもアリだ。また、引き続き現在の機種を常用するのであれば、セキュリティ面でも新しいOSにアップすることは必要だ。
問題は、動作が重く、遅くなってしまう点をどうすればいいかだ。
まず対策として、まず行って欲しいのが、アップデート後には、必ず再起動してほしいことだ。パソコンでのハウツーのよう方法だが、アップデート作業で余分なゴミがメモリになまっていることがあり、それが本来の速度に影響を与えることがある。再起動をすることで、こうしたゴミをクリアすることができるので、動作が快適になる可能性があるのだ。また、アップデート後にメモリ解放アプリでキャッシュメモリをクリアするのも有効だ。さらに本体に余計な負担を負わせないように使わない機能を「オフ」にすると快適さをアップできるだろう。
さらにもうひとつ。今後のiOSの更新をきちんと適用することである。過去の大きなアップデートでも、古いモデルではアップデートすることで動きが遅くなることがたびたびあった。しかしながら、その後のiOSの小変更(ソフトウェア更新)により、動作速度なども改善されて快適になってきたからだ。
したがって、前の機種でiOS8にアップデートしたら、その後の完成度の高い更新を待つというのも方法のひとつだ。
iPhoneやiPadを利用しているユーザーにとって、新しいiOS8は楽しみなことだろう。しかしながら、機種によってはすぐに飛びつくことなく、様子を見る、更新のタイミングを図る、こうしたことで賢く快適なiPhone、iPadライフを送ることができるだろう。
・iOS 8について|Apple
布施 繁樹