お気に入りのトヨさんの詩を手にするクリス松村

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 タレントのクリス松村が29日、都内・相田みつを美術館で開催される「映画公開記念『くじけないで』と柴田トヨの世界」のオープニングセレモニーに出席し、過去や自分がゲイだと気付いてからの苦悩を赤裸々に明かした。

 今年1月に101歳で亡くなった詩人・柴田トヨさんは、90歳を過ぎてから詩の創作を始め、98歳で詩集「くじけないで」を刊行すると、200万部の大ベストセラーを記録。発売当初より自身のブログなどで紹介してきたクリスは、トヨさんの前向きな詩に感銘を受けたという。

 バラエティー番組などでは強烈なキャラクターで活躍しているクリスだが、これまでの苦悩を聞かれると「『強い・ブレない』とも言われるけど、そこに至るまでにはいろいろなことがあって」と振り返る。イギリスで常にトップの優秀な成績を収めていたが、帰国後の日本の学校ではネイティブな英語を認められず、教師からクラスのみんなの前で全否定され、屈辱から勉強をやめたことも。

 さらに、自分がゲイだと気付いたときに「言えないし、どうしようって思いました。殻に閉じこもらないといけないことの連続で、つい最近テレビに出て『キャー』ってひと声上げるまでは、親や周りのことを気にしていて、なかなか立ち直ることができなかったです」と苦い思いも告白。それだけに、トヨさんの前向きな詩集は「すごくしみわたります。自分自身で乗り越えないと誰かに救ってもらうことはできないので」とクリスに勇気を与えたようだ。

 同席したトヨさんの息子・柴田健一さんは、トヨさんが詩作を始めたきっかけについて語り、夫を亡くした際に生きがいを持たせてあげたいとの思いですすめたと明かした。「死ぬ間際に母が『一番幸せだったのは、バカ息子と二人で笑ったり泣いたりしながら詩を作ったこと』と言ってくれて」と涙を浮かべた健一さん。「文学的な価値はないかもしれないけど、若い人にも読んでいただきたい」と願っていた。

 トヨさんのベストセラー詩集「くじけないで」「百歳」を基にトヨさんの半生をつづる映画には、主演の八千草薫をはじめ芦田愛菜、檀れい、伊藤蘭、上地雄輔、ピエール瀧、武田鉄矢ら豪華キャストが集結。同展ではトヨさんの半生を振り返る資料や詩のほか、映画の劇中写真や小道具、衣装なども展示される。(中村好伸)

「映画公開記念『くじけないで』と柴田トヨの世界」は11月17日まで相田みつを美術館にて開催
映画『くじけないで』は11月16日より全国公開