最高の実用書だ

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『ぶらり途中下車の旅』という番組があるが、私もこの前、未知の駅で途中下車してみた。ウ○コがしたくなったのだ。

しかし、降りた駅がマズかった。どうにも広い。西口・北口・南口があり、南口付近にしかトイレがないという待ったなしの状況で。その事実に気付くまで5分位を要したし、トイレに到着するまで10分近くかかったし。こんな経験、誰しもありますよね……?

そこで、この書籍をレコメンドしてみたい。マイナビが4月に発売した『ピンチ! マップ東京』(税込み1,000円)は、ヤバい時に備え、常に鞄の中に入れておくべき一冊。ちなみに「ピンチ!」とは、お腹が痛くなった時のこと。同書には、東京23区内のJR、私鉄、地下鉄全駅(約700駅)のトイレの詳細が完全収録してあるのだそうです。

「数年前、朝の通勤電車内でのトラウマ体験がきっかけなんです。約8年前、通勤電車の中で急な腹痛に襲われました。朝の時間帯の急行は前の列車に詰まって止まってしまうことが多く、なかなか次の駅に着かず、かなり厳しい思いをしまして……」(同編集部・担当者)
何とか耐え抜き、次の駅で降りてトイレに駆け込んだものの、個室は一つだけ。空いていたので事なきを得たが、もしも閉まっていたら……。そんな状況だったらしい。

それからは、「またお腹が痛くなったらどうしよう」という不安感が憑いて離れない。同書の担当編集者さん、朝の通勤時には各駅停車にしか乗れなくなってしまったそうなのだ。
しかし、災い転じて福となす。

「そのうち、自然と自分が使用している路線の駅トイレの位置や個室の多さなどを記憶するようになったのですが、『こういう悩みを持つのは自分だけではないかも……』と思うようになり、この本を企画するに至りました」(担当編集者)
まさに、七転び八起き。自身の心の傷を、ビジネスに結びつけてみせた。

それにしても、おおよそ700もの数がある東京の駅内トイレですよ? それを、どのように調査したのか。
「編集部員と外部協力の編集スタッフの約10人で、約3ヶ月(昨年12月下旬〜3月下旬)かけ、一駅一駅下車し、地道に調査しました」(担当編集者)
物凄い労力だ、平賀源内ばりの。

そしてその結晶が、今、私の手元にあります。……見事な本です。非常にきめ細かい。トイレが改札の中にあるのか外にあるのかホーム上にあるのか、トイレ内には和・洋・小の便器がいくつあるのか、どの出口の付近にトイレがあるのか、全て網羅されている。また面積の広い東京駅(JR)や大手町駅(東京メトロ&都営地下鉄)、品川駅(JR)などは、しっかりとマップ図が掲載されている。

「ピンチの時に心強い駅は、データを見るとやはり東京駅です。トイレの場所も多いですし、中の個数が多い場所もあるので、イザという時には頼りになると思われます。あとホーム上にトイレがある駅が、電車から降りてすぐに行けるのでオススメです。本を参照いただき、通勤・通学で使用している路線を調べてみてください」(担当編集者)

なるほど、説得力のあるお言葉ですな。

そしてそんな同書には、反響が続々と届けられている。
「読者対象と想定していた通勤・通学で電車に乗るビジネスパーソンや学生さんだけでなく、トイレが近くなりがちなご高齢の方・中高年の方や、子どもがいつ『トイレ!』と言い出すかわからない子育て中のママさんたちから『こういう本、便利そう!』という声が上がっております。編集部が想定していなかった層にも喜んでいただけているようです。もちろん、お腹が痛くなりやすい方たちからも、反響がありました」(担当編集者)

その他、「その他の地域(東京都下版や関西版など)のバージョンも欲しい」といった声も寄せられているとのこと。

ではここで、あるデータを披露してみたいと思います。ご覧ください、「編集部が現地調査をしてわかった『個数の多いトイレランキング』&『駅改札内のトイレ総数ランキング』」を!

まず「(便器)個数の多いトイレランキング」の1位には、JR品川駅(中央改札そばecuteサウス内)が輝いております。その個数は、もうダントツ! 男子トイレには洋:8和:5小:23、女子トイレには洋:19、和:4が、多機能トイレは2つが用意されているんですよ? 2位のJR東京駅(B1F/八重洲地下中央口改札付近)や3位の西武池袋駅(B1F/6・7番ホーム階段下)もいい仕事をしているけども、正直その差は歴然だな……。
また「駅改札内のトイレ総数ランキング」においては、先ほど2位のJR東京駅が全12カ所で1位を獲得しました! 同率2位のJR上野駅、東京メトロ大手町駅、東武・東京メトロ北千住駅、JR新宿駅は全5カ所なので、そのスケールは桁違い! 確かに、ピンチの時は心強いです。

ちなみにこの『ピンチ! マップ東京』は、発売から10日で増刷が、20日で3刷が決定。現在、4刷が発売されているとのこと。

「地図は通常、改訂することが前提なので、単純な“増刷”はあまり想定していません。改訂版以外の増刷は年に1点程度なので、今回の4刷という数字は極めて異例のことです」(担当編集者)

「実用書」という言葉があるけども、こんなにも実用性に溢れた書籍は他にないと思う。
(寺西ジャジューカ)