画像4が、施術前及び施術後における筋硬度について、平均値と標準偏差を示した表だ。

筋硬度の全試験参加者での平均値は、測定箇所1では52.8から50.4へ(p=0.033)、測定箇所2では33.2から30.6へ(p=0.004)、測定箇所3では30.6から27.3へ(p<0.001)と、いずれも有意な低下を示した。

画像5は、施術前及び施術後における主観的反応について、平均値と標準偏差を示した表だ。

施術前と施術後との間に有意差が認められた項目は、疲労回復度(p=0.002)、肉体的ストレス(p<0.001)、精神的ストレス(p<0.001)、腰の痛み(p=0.013)、リラックス感(p=0.001)、体の動きやすさ(p<0.001)、体の軽やかさ(p<0.001)であり、いずれも改善していた。

そして画像6が、施術前及び施術後における酸化ストレス及び抗酸化能についての平均値と標準偏差を示した表だ。

d-ROMsの基準値は200U.CARR〜300U.CARRであり、施術後に基準値を超過する被験者が若干名散見された。

BAPの基準値は2200μmol/l以上であり、施術前に若干低目だったBAP値が施術後に大きく上昇している。

修正BAP/d-ROMs比は、1を超えていると抗酸化機能がうまく働いていることを意味する。

修正BAP/d-ROMs比は低下する傾向にあったものの、施術後にも1を超えており、抗酸化バランスは良好であった。

画像7は、施術前及び施術後における血液検査の結果についての平均値と標準偏差を示した表だ。

施術後に、白血球亜種の内、リンパ球数と好中球数が上昇する傾向にあり、ASTやALTをはじめとする肝機能マーカーが上昇する傾向にあったが、いずれも基準値内の変動であった。

また、総コレステロール及び遊離脂肪酸の平均値は施術後に基準値を超えて高値を示したものの、施術前の段階からそれぞれ5名ずつが検査基準値を超過しており、そのほかの脂質マーカーの値も施術前の段階から全般的に高値を示す者が多かった。

筋緩消法では、筋肉内の老廃物が正常に排出されないために腰痛が生じると考えているという。

すなわち、腰部の筋肉が過度に緊張することによって筋肉内の血管が圧迫され、老廃物の排出が妨げられ、それが筋肉のさらなる緊張を生むという悪循環が生じてしまうのだ。

筋緩消法は、西洋医学的病態における椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症、圧迫骨折など原因の特定されない非特異的腰痛、すなわち椎間板、椎間関節、仙腸関節、背筋などの腰部組織に原因の可能性がある腰痛を対象としている。

筋緩消法は、背側筋群(広背筋、下降鋸筋)や腹側筋群(外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)を緊張状態(収縮状態)にしたり弛緩状態にしたりしながら、腰背部の筋肉の狭い範囲に圧力をかけることで、腰部筋肉の過緊張を軽減する仕組みだ。

この「被施術者を立位の状態で施術を受けかつつ運動をさせながら、筋肉に圧力をかける」点が特徴である。

従って、骨格の歪みを圧迫や牽引により矯正して筋肉痛を解消するカイロプラクティックとは異なるものだ。

また、ストレイン・カウンターストレイン法は筋肉群の緊張部位を緩めた状態で固定し、緊張した筋肉と拮抗筋とのバランスを取ることで筋肉群の過緊張を軽減する。

そして、いずれの方法も施術時間は30分を要するのに対し、筋緩消法は10分で腰痛が軽減されるという点も特徴だ。

今回の試験で、筋硬度は3ヵ所の測定点のいずれにおいても、筋緩消法の施術により有意に低下した。

このことは、腰部の筋肉が施術により柔らかくなったことを意味しており、筋緩消法が腰部の筋緊張を解す作用があることが客観的に証明された。

さらに、主観的反応については、測定した7項目すべてにおいて有意な改善が認められた形だ。

特に「体の動きやすさ」においては2.5点から5.4点へと、「体の軽やかさ」においては2.5点から5.6点へと、それぞれ施術前比100%以上の改善が示された。