施術は、左右の腸骨稜を結んだ線上の右側部分の内腹側近傍(画像3:測定箇所3)に対して実施された。

筋緩消法の施術は、柔道整復師の有資格者である坂口氏が実施。

施術時間は10分であった。

筋緊張の程度を測定するために、腰部筋硬度の測定項目は画像3の通り、3ヵ所が設けられた。

測定には、井元製作所製の生体組織硬度計「PEK-1」が用いられている。

PEK-1は、2つのバネの弾性の違いを利用して、筋肉の硬度を測定する仕組みだ。

筋硬度は0〜100の値を取り、筋硬度が高いほど筋肉が固いことを意味している。

3つの測定箇所は、左右の腸骨稜を結んだ線上の右側部分であり、脊椎に近い場所から順に、測定箇所1、測定箇所2、測定箇所3としている。

各測定箇所につき、筋硬度を3回ずつ測定し、その平均値がその測定箇所の筋硬度の値とされた。

腰痛の自覚症状やリラックスなど、試験参加者の主観的な反応を検討するため、試験参加者の主観的な疲労や腰痛に関する項目についての評価も行われた形だ。

評価項目は「疲労回復度」「肉体的ストレス」「精神的ストレス」「腰の痛み」「リラックス状態」「体の動きやすさ」「体の軽やかさ」であり、VASを用いて評価が行われた。

血中の酸化ストレスは、「d-ROMs(Diacron-Reactive Oxygen Metabolites)」により、生体の抗酸化力は、「BAP(Biological Antioxidant Potential)」により、それぞれ評価を実施。

d-ROMsは、血中の「ヒドロペルオキシド(ROOH)」の濃度を測定することで、生体内の酸化ストレスを総合的に評価することが可能だ。

BAPは、血漿中抗酸化物質が活性酸素に電子を与え、酸化反応を止める還元能力を計測し、抗酸化力を評価するというものである。

d-ROMs及びBAPは、ウィスマー製の活性酸素・フリーラジカル自動分析装置を用いて測定された。

また、生体の抗酸化能を総合的に評価するために、修正BAP/d-ROMs比も算出されている。

修正BAP/d-ROMs比は抗酸化バランスを表し、BAPをd-ROMsで除算、それをさらに7.541で除算したものだ。

この数値は、高いほど酸化ストレスからの防御が有効な状態であることを意味する。

そして筋緩消法の身体への影響を検討するため、血液学検査及び血液生化学検査も実施された。

血液学検査の検査項目は、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球色素量(MCH)、平均赤血球色素濃度(MCHC)及び白血球像。

また、白血球像の結果値を白血球数に乗算することで、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の数についても検討が行われた。

血液生化学検査の検査項目は、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ALP、LD(LDH)、LAP、総ビリルビン、コリンエステラーゼ、ZTT、総タンパク質、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、CK、カルシウム、血清アミラーゼ、グルコース、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸の22項目となっている。

試験は、参加者に対し筋緩消法を10分間実施し、その前後で測定項目に記載した検査項目の測定が行われた形だ。

筋硬度及びVASについて、筋緩消法の影響を検討するため、Wilcoxonの順位和検定を用いて摂取前と摂取後の検査値の比較が行われた。

各検査項目について、施術前の検査値と施術後の検査値との間に変化がないという「帰無仮説」の検証を行い、帰無仮説が棄却された場合に有意差があると判定している。

統計解析では有意水準を5%とし、両側検定で有意確率5%未満(p<0.05)を有意差あり、有意確率5%以上10%未満(p<0.10)を傾向差ありという判定だ。

また、抗酸化能及び血液検査については安全性の検討に留められている。