筋硬度の結果と考え合わせると、筋緊張が解れたことで腰の可動域が増え、そのことが体の動きやすさや軽さの実感へとつながったのではないかと考えられる。

「腰の痛み」においても3.0点から4.4点へと施術前比47.7%の有意な改善を示したことから、筋緩消法が腰痛を軽減し得る可能性が示唆された。

酸化・抗酸化マーカー及び血液検査においては、酸化ストレス及び抗酸化力がいずれも上昇する傾向を示したものの、両者のバランスは保たれていた形だ。

脂質マーカーが高値を示す傾向にあったが、施術前から高値を示す者が多かったことから、施術による重篤な変動ではないと考えられた。

総じて、酸化・抗酸化マーカー及び血液検査の結果からは、重篤な体調変化を来した被験者は認められず、筋緩消法の施術による副作用は認められなかったというわけだ。

今回の試験の結果より、筋緩消法により腰部筋緊張が軽減し、腰痛が改善する可能性が示唆され、筋緩消法によると考えられる重篤な副作用は認められなかった。

以上より、筋緩消法は、腰部筋緊張や腰痛の軽減に対して有効であり、かつ副作用の少ない安全な手技療法である可能性が示唆されたのである。

今後は、対照条件を用いた比較試験を実施することで、より精度の高いエビデンスを積み重ねることや、腰痛以外の症状への適用可能性について検討することが望まれると、研究グループはコメントした。

またそれらに加え、教育体系を構築し整備することで、筋緩消法は科学的な施術技法として広く実施される可能性を秘めているといえるとしている。