使用前は、こんな感じです。
(C) いがらしゆみこ

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マンガを読み始めて、かれこれ何年が経つだろう? 幼稚園年長の頃からだから、もう30年弱にはなるはずだ。当時は、『キン肉マン』に“7人の悪魔超人”が登場し始めた時期で、他にも『北斗の拳』や『よろしくメカドック』など、キラ星のような名作たちも健在。完全に“ジャンプ世代”です。

そんな人生だからこそ、マンガへの愛情は格別。大人になろうが、スカしてみようが、マンガに対する愛着だけは変わらない。
そんな私は、来年からこれを愛用しようと思います。東京書籍から発行の『マンガ手帳2012』(税込み1,260円)なる一冊を。

とにかく、画像をご覧いただきたい。せっかく買ったマンガに、イタズラ書きをしてるわけではなくて。思いっ切り、有意義に使っている。
実はこの手帳は「手帳」と名乗りつつも、中身はマンガ。ただ、吹き出し部分が余白になっている。ここに、自身のスケジュールなんかをガッツリ書き込むのが、紛れもなく正統な使用法である。

こんなダイアリーを企画・編集したのは、株式会社モーニングガーデン。そこで同社に、この発想のきっかけについてを伺ってみた。
「手帳にスケジュールを書き込むと、自分の行動が予定に縛られてしまう部分もあると思うんです。そこでこの手帳を活用することで縛りをゆるくしていただき、もっと自由に行動していただきたいと考えました」(同社・担当者)
考えていることが上手くいかなかったとしても、それらはマンガの中にある予定。そう思えば、第三者的な目線になって笑い飛ばせるだろう。
「もし何か失敗があったとしても、『人生、マンガなんだ!』と深刻になり過ぎずにとらえることができます」(担当者)

他にも、利点はある。
「手帳を買ったはいいものの、使わなくなってしまう人って多いんですよね。しかし、この手帳は吹き出し部分が記入スペースになりますので、書き込みたい気持ちが湧いてくるんです」(担当者)
要するに、3日坊主にならない。夢中になって、1年間使い続けられる。しかも後から読み返すと、セリフ部分は全て埋められている。1つの作品として、完成されているのだ! 作品を仕上げるのは、もちろん貴方。

そして、この『マンガ手帳2012』の用途はスケジュール帳のみではない。他に「日記帳」や「メモ帳(記録帳)」としての使い方も有効だったりする。
「日付があるので、“子供の成長記録”や“レコーディングダイエット”にお使いいただけます。また、それ以外に日記帳としても機能いたします。……もしかしたら、そっちの方が合ってるかもしれません(笑)」(担当者)

そして、最も気になる部分について。この手帳に描かれているマンガは、誰の手によるものなのか? ……この画像を見て、ピンときた方もいるかもしれない。『マンガ手帳2012』を手掛けるのは、『キャンディ・キャンディ』のいがらしゆみこ先生と、『ヤッターマン』、『ハクション大魔王』、『みなしごハッチ』等で有名なタツノコプロ!!
「いわゆる“王道”の『少女マンガや、男の子向けマンガと言えば……』といった方に描いていただこうと考えていました」(担当者)
ストーリーも、いがらし先生とタツノコプロが一から考案! そう考えると、我々も大船に乗ったつもりでセリフ部分を書き込めるではないか。

そんな斬新過ぎる“マンガ手帳”だが、今までの手応えはスペシャル級。何しろ、昨年(今年)の2011年度版は、グッドデザイン賞を獲得しているほどで。しかも、この手帳が評価された要因は「面白いから」とか「インパクトがあるから」なんていう底の浅いものではない。一言で言うと「理解しやすい」点が、高評価を得ている。
例えば、複雑なストーリーが展開されているはずなのに、マンガだとスッと頭に入ってくることってないだろうか? 文章のみだったら、あんなに手こずるのっていうのに。
それは、きっとマンガ特有のビジュアルやコマ割りが影響しているのだろう。まさに、体感的に理解しているというか。その感覚は、この手帳も同様だ。“右脳型手帳”とも言うべき要素は、まさにグッドデザインの賜物である。

……と色々難しいことを語ってきましたが、単純にビジュアル要素に惹かれた人もウエルカムです。だって、この手帳に掲載されているのは、完全なる描き下ろし作品。女子向けの“いがらし版”なんて「あのガリ勉が眼鏡を外したら、実は美少女だった」という典型的なストーリーも掲載されていて、男の私でもキュンキュンもの!
読み物としても魅力的。でもその正体は、何度も言うけど手帳です。
(寺西ジャジューカ)