漫画家・諌山(右)と格闘家・長島(左)、ふたりの原動力は「非リア充であること」。リアルな世界で成功を収めているふたりが、今も「リア充」に背を向ける理由とは

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■『進撃の巨人』でも“水着回”がくるかと

――長島さんは中学生の頃から不登校。諫山さんも教室の片隅で悶々としていたタイプだそうですが、当時おふたりを支えていたものってなんですか?

【諫山】僕はコレです。

【長島】『ゼロの使い魔』(ヤマグチノボルのライトノベル。“中二病”の発生源)やん!

【諫山】長島さんもルイズ(ヒロインで最強のツンデレ)のコスプレをされてましたよね?

【長島】「ブシロードカードフェス」(トレーディングカードゲームの全国大会)のときやね。よぉ知ってますね〜。

【諫山】(笑)。僕は学生時代にハマりすぎて、現実の教室よりこの本の中に生きているような気になっちゃって。自分でも「ちょっとヤバいかな?」と思ってました。

【長島】僕は学校に行くふりして、いつも公園で『週刊少年マガジン』を読んでたな〜。その頃は柔道をやってたんで、『コータローまかりとおる!』が好きでしたね。あとは『BOYS BE…』も読んでた。

――異性方面はどうでしたか?

【長島】中学・高校と男子校でしたから、「女って何。それ食えるの?」って感じで、オカン以外に口をきいたこともありませんでした(笑)。当時は性欲中心の思考やったから、恋愛というより「乳もみてぇっ!」っていう感じでしたけど。そういえば、『COMICペンギンクラブ』(ピンクな内容の漫画誌)も好きやったな!

【諫山】実家の僕の部屋は“エロ本の図書館”だったんですよ。

【長島】えぇ!?

【諫山】僕の部屋は“離れ”みたいになってたので、友達が家に置いておけないエロ本をどんどん持ってくるんです(笑)。

【長島】自分でエッチな絵を描いてみたりせんかったんですか?

【諫山】なぜか描けないんですよ。落書きでも。だから、『進撃の巨人』にはこれからもお色気的なものは一切出てこないと思います。

【長島】そうなんかぁ(肩を落として)。もうそろそろ“水着回”がくる頃なんかなーと思ってたんやけど。

【諫山】いやいや(笑)。僕の画力で水着なんて描くと、“がっかりおっぱい”になっちゃいますよ(笑)。


■賞に落ちたときは郵便事故だと思った

――おふたりが好きな漫画や格闘技を仕事にしようと思ったのは、いつですか?

【長島】もともと、中学2年生のときにプロレスが好きになって格闘技を習い始めたんですけど、ホンマにこの世界で生きていこうと思ったのは大学に入ってから。格闘技が好きやったから、僕にはこれしかないと思って必死に練習しました。

――ただし、「コスプレで入場するまでが仕事で、リングは趣味」って言ってますよね(笑)。

【長島】それはホンマにそうなんです。僕はアニメが好きで、自分の好きな作品をみんなに知ってもらうことが仕事だと思ってるんで、最高の見せ場である花道でコスプレをするんです。ただ、格闘技は趣味です。しかし、オタクだからこそ趣味に命かけてる。AKB48のファンが給料のすべてを使ってCDを買うのと一緒で、好きだからこそ絶対負けられないという気持ちはありますね。何より試合に勝たないとコスプレする舞台とお金を得られませんから、僕にとってオタクであることと格闘技で頑張ることは同じことなんです。

【諫山】僕は高校3年生のときに初めて賞に応募したんですけど、かすりもしなくて。ただ、その頃は自分の描いた漫画を誰にも読ませなかったし、自分がどれくらいのレベルなのかを測る“定規”も持っていなかったので、“俺は世界一なんじゃないか”って思い込んじゃってて。

【長島】痛い、痛い(笑)。

【諫山】だから、教室で『(週刊少年)ジャンプ』を読んでるヤツに「次の号が出たら、ド肝抜かれると思うけど」とか言ってましたね。それで、結果かすりもしなかったじゃないですか。そうすると、“あ〜、郵便事故で原稿が届かなかったんだな”と。