外資系企業によるM&A〜最近の事例研究〜/佐武 伸
今後また外国資本による日本企業のM&Aが増えてくるような予感がする。リーマンショック以前は、外資の中でもどちらかというファンドが中心であったが、最近は外資の事業会社が買い手として入ってきている。
直近のニュースでいえば、家電販売のラオックスが中国の家電販売最大手”蘇檸電器”という会社と資本業務提携を締結した。ご存知の方も多いと思うがラオックスは秋葉原に老舗の家電量販店を運営しており、外国人向けの免税店も出店している。
だが、業績は振るわず、平成14年3月期から8期連続で営業損失を出しており、経営再建中の会社である。おそらく今回の提携の話による増資がなければ相当苦しい状況になっていたと推測されるが、提携発表日前の株価が1株99円であったのにもかかわらず、1株12円という相当低い株価で15億円の増資を承認した。現株主にとっては相当な株式の希薄化で苦渋の選択であったと察するが、事業継続を支持したものと思われる。
ただ事業シナジーの面から考えると相当いい提携であったのではないかと考えている。ラオックスは中国・東南アジア地域で高い知名度があるため、”蘇檸電器”グループと連携して中華圏への進出を果たすことが出来、さらに今後増加が見込まれる中国からの観光客はラオックスで購入した商品を、”蘇檸電器”グループの持つ幅広い店舗網を利用して修理やアフターサービスを受けることが可能となる。
その他の事例としては、宝飾品業界ではインドの会社がベリテという上場会社に昨年友好的なTOBを実施して経営権を取得している。
両社とも取締役会の構成メンバーは外国人が大半をしめているため、日本人の従業員にとっては相当混乱が予想されるが、財務基盤の強化と経営の刷新という面では外資事業会社による事業再生M&A事案として成功といえるであろう。
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直近のニュースでいえば、家電販売のラオックスが中国の家電販売最大手”蘇檸電器”という会社と資本業務提携を締結した。ご存知の方も多いと思うがラオックスは秋葉原に老舗の家電量販店を運営しており、外国人向けの免税店も出店している。
ただ事業シナジーの面から考えると相当いい提携であったのではないかと考えている。ラオックスは中国・東南アジア地域で高い知名度があるため、”蘇檸電器”グループと連携して中華圏への進出を果たすことが出来、さらに今後増加が見込まれる中国からの観光客はラオックスで購入した商品を、”蘇檸電器”グループの持つ幅広い店舗網を利用して修理やアフターサービスを受けることが可能となる。
その他の事例としては、宝飾品業界ではインドの会社がベリテという上場会社に昨年友好的なTOBを実施して経営権を取得している。
両社とも取締役会の構成メンバーは外国人が大半をしめているため、日本人の従業員にとっては相当混乱が予想されるが、財務基盤の強化と経営の刷新という面では外資事業会社による事業再生M&A事案として成功といえるであろう。
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