【気になるトレンド用語】黒船上陸、スマートフォンって何だ
あなたは電車の中では何をしていますか。以前は読書や音楽鑑賞、居眠りが定番でしたが、今では携帯電話でメールやゲーム、携帯ゲーム機で遊ぶといった選択肢もあります。
携帯電話でメールを打つときはテンキーを押して入力するのが一般的ですが、最近は携帯電話にパソコンのようなフルキーボードが付いているものを見かけるようになりました。
画面をのぞいてみると見慣れたWindowsにも似ています。このような端末は一般の携帯電話と区別してスマートフォンと呼ばれています。今回は、新しい携帯電話の形、“スマートフォン"について見てみましょう。
■スマートフォンの定義
スマートフォンを明確に定義することは難しいのですが、次のような要件が備わっているとスマートフォンと呼ばれているようです。
・携帯電話機向けの汎用OSを搭載しています。
・アプリケーションソフトを追加して、自分の使いやすいようにカスタマイズできます。
携帯電話機向け汎用OSには、大きく3つの種類があります。ひとつは、ノキアやソニーエリクソンが主に採用しているシンビアンOS。もうひとつは、htcやシャープ、東芝が採用しているWindows Mobileです。最後の一つはPalm OSで、日本企業のAccessが権利を持っていますが、日本での製品展開はありません。
海外の最新の情報では、ソニーエリクソンもWindows Mobileに参入し、新端末を発表しました。
日本では、NTTドコモやソフトバンク、ウィルコムからWindows Mobileを搭載した端末が発売されていることもあり、「Windowsケータイ」という名称も店頭では書かれていることもあります。
■スマートフォンの歴史
PDA(Personal Digital Assistant)というものをご存じですか。元々は1993年に登場したアップル社のニュートンという機種が、その元祖です。PDAは個人情報携帯端末とも呼ばれ、日本流にいえば電子手帳の発展版です。特徴はパソコンと連携してデータを持ち出せ、個人情報を管理することができます。
その後、PDAはモデムや無線LAN、PHSデータ通信カードなどで、通信機能をもちコミュニケーターとも言われるようになります。インターネットなどの通信ができるのなら、携帯電話のように音声通話もしたいという希望も生まれます。そこからPDAと通話機能をもつ携帯電話を合体させて端末が求められるようになったのです。
この夢を実現した端末が、2003年に登場したノキアのNokia 9200 Communicatorで、まさに携帯電話一体型PDAとも言えるものでした。搭載されたOSは、Psionが開発したPDA用OS「EPOC」をSymbianが携帯電話向けに進化させたSymbian OS v6.0でした。
その後、Palm OSを搭載したTreoシリーズやWindows Pocket PCに電話機能を内包したWindows Mobile Smartphone Edition搭載端末が現れ、OSのバリエーションが増えていきます。
さて、日本でスマートフォンが認知され始めたのはウィルコムのW-ZERO3からですが、それ以前にスマートフォンは日本に上陸していました。日本の携帯電話会社から発売された最初のスマートフォンは、2004年に発売されたボーダフォン(現ソフトバンク)のV702NKというノキア製の端末でした。続いて2005年にはNTTドコモからは、よりPDA的なモトローラ製のFOMA M1000が発売されました。
これらの後にリリースされたのがW-ZEROシリーズで、そのインパクトがあまりに大きかったために、現在ではスマートフォンといえば、Windows Mobile OSとフルキーボード搭載というスタイルの印象が強くなっています。
■よくある間違い
●Windowsを搭載しているため、パソコンは不要です。
Windows Mobileは、Windowsに似ていますが、携帯電話用のOSです。パソコンのWindowsと全く同じことができるわけではありません。Windowsと親和性が高く、Outlookの予定表や連絡先、仕事のデータを持ち歩くのに適しています。
また、ワードやエクセルが搭載されている機種もありますが、パソコン用のオフィスソフトのような複雑なことはできません。基本的には参照用と思った方がよいでしょう。
●スマートフォンはWindowsケータイのことです。
シンビアンOSを搭載した携帯電話でも機能さえ満たしていればスマートフォンです。むしろ、世界のスマートフォンの本流はシンビアンOSです。これは、シンビアンOSを採用しているノキアが全世界の携帯電話市場でナンバー1のシェアを誇っているからです。そのシェアは、2007年第4四半期で40%を占めています。
■注意しなければならない点
日本の携帯電話の世界では、各電話会社が独自のメールサービスを行っています。そのため、世界標準のメール機能しか持たないスマートフォンでは、NTTドコモのi-modeメールやソフトバンクのMMSメールを送受信できない場合があります。
シンビアンOSを搭載したノキア製のスマートフォンが日本の携帯電話会社から発売される場合には、各社独自のメールサービスを使えるようにカスタマイズされています。しかし、シンビアンOSに対応したアプリケーションのインストールに制限を設けている場合があります。
Windows Mobileを搭載したスマートフォンの場合、携帯電話会社によって対応が異なります。たとえば、ソフトバンクでは専用の「SoftBankメール」というソフトを使用することで、独自のMMSの利用が可能になっています。
しかし、NTTドコモではi-modeに対応していないという理由から独自のメールを使用することができません。
これらの制限は、スマートフォンが海外育ちであるというところに理由があります。海外の携帯電話会社では世界で標準化されたメールサービスを使用しているため、どの端末でも同じように送受信ができるのです。そのかわりに、絵文字やデコメールをいうものはありません。
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