広島が衝撃の戦力外…昨季セ2冠の小園海斗ら4選手 鈴木球団本部長「白か黒かと言えば、白」でも…ゾンビたばこ騒動余波「信頼関係を築くことが難しい」【解説・経過付き】
広島は1日、昨季セ・リーグ2冠の小園海斗内野手(26)、24年ゴールデン・グラブ賞の矢野雅哉内野手(27)ら4選手に来季契約を結ばないと通告した。他に戦力外となった前川誠太内野手(23)、田村俊介外野手(23)を含めた4選手は、指定薬物エトミデート、通称「ゾンビたばこ」を巡る騒動の渦中にいた。鈴木清明球団本部長(72)は「使用したという事実は確認できていない」とした上で、「球団との信頼関係を築くことが難しいという判断」と決断に至った理由を明かした。
* * * * *
小園は、中日戦を数時間後に控えたマツダスタジアムにスーツ姿で現れた。度重なる拙守を理由に8月中旬以降は2軍生活が続いていたが、シーズン終了を待たずに「戦力外」を通達された。「(球団から)『信頼できない』と。(驚き?)特にないです。なるだろうと思っていた」と淡々と取材に答えた。
1月27日に元所属選手・羽月隆太郎氏が「ゾンビ-」を使用した罪で逮捕されたことを発端にした騒動は、看板選手にまで及んだ。問題となったのは、7月の一部週刊誌の報道。矢野、田村とともに羽月氏に薬物を譲渡した男性(のちに有罪判決)らと同席する写真が掲載された。矢野と前川は広島県警から自宅等の捜索を受け、9月に書類送検された。
球団の調査では、矢野と前川を含めて指定薬物の使用は確認されていない。鈴木本部長は「白か黒かと言えば、白なんですよ」と明かした。調査内容の詳細は明らかにしなかったが、「来年以降も(疑惑が)続く可能性もあるなら、きちっとした方がいいという考え」。トレードなどの形を取るのではなく「ここはすっぱり自由契約にして各球団の判断に任せればいいと思う」と、今回の判断に至った理由を説明した。
「野球はできるのだったら、やりたいです」と話した小園を始め、4選手とも現役続行を希望している。戦力外通告から約3時間後、小園はSNSで長文を投稿した。「多大なるご迷惑とご心配を」とファンへの謝罪とともに、「いかなる違法行為の事実もございません」と、強い意思を感じさせる文面で“潔白”を強調した。3月のWBCに出場した小園だけでなく、矢野も田村も侍ジャパン経験者。今後は、国内外を含めて移籍先を模索することになる。(直川 響)
矢野「軽率な行動で多大なるご迷惑をかけ、申し訳ない。現役を続けて、日本でプレーできたら一番いい」
前川「悔いが残る。(記事などが)出た以上は自分自身に責任があるので、受け止めています」
田村「事実ではないこともたくさんあった。否定したいことはあるが、自分の緩んだ気持ちがああいう形で大きくなってしまい、本当に申し訳ない」
* * * * *
【プラスアルファ】羽月氏の逮捕から半年以上がたち、球団は4選手の戦力外という形で区切りをつけた。週刊誌報道の後に書類送検された矢野と前川に対し、小園と田村という立場の異なる2選手にも同様の決断を下した。
今季のチームは、シーズンを通してファンから疑念の視線が向けられた。羽月氏の逮捕は当然ながら、時間をおいてからの週刊誌報道も火に油を注いだ。球団の対応も後手に回った。内部調査の結果を公表しなかったことも、不信感の増幅の一因となった。球団が「シロ」と判断した後に新たな疑惑が浮上するリスクを避けようという考えは、今回の戦力外にも表れていた。
松田一宏オーナー代行は「来季、一丸となって戦うことで、まずは責任を果たしていきたい」と語った。新井監督は、一連の騒動の責任を取る覚悟でシーズン中に3度も辞意を伝えたが、来季も責任を果たす形で指揮を執る。今回の一件で戦力ダウンも必至。特にここ数年は目立った補強がないチームにおいて、影を潜めるフロントの編成力も今後の行方を大きく左右する。失った信頼を取り戻すため、来季はより一層、勝つ姿が求められる。
* * * * *
〇…新井監督が1日に球団から戦力外通告を受けた4選手に言及した。「結果的にこうなって残念ですし、申し訳ない。子どもを持つ親として、彼らのことを考えるとすごく苦しくなる。彼らはまだ若いので、ファンの方々は今後、温かい目で見守ってほしいです」と願った。この日は試合前にそれぞれと1対1で会話。「自分の口からは言いづらい」と内容は明かさなかったが、沈痛な面持ちだった。
* * * * *
【広島をめぐる「ゾンビたばこ」問題のこれまで】
▼2025年12月16日 羽月氏が任意同行、尿検査で指定薬物の陽性反応。
▼2026年1月27日 羽月氏が医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕。
▼2月24日 広島地検から起訴されたことを受け、球団が羽月氏の契約解除を決定。
▼5月15日 羽月氏が拘禁刑1年、執行猶予の有罪判決を受ける。法廷では他選手も指定薬物を使用していたと明かす。
▼6月1日 羽月氏に指定薬物を譲渡したとして会社役員・滝口涼介氏が逮捕。
▼7月13日 一部週刊誌が滝口氏と羽月氏、矢野、小園、田村が飲食店で同席する写真を報じる。
▼同17日 矢野の3軍調整が決定。
▼同30日 矢野、前川が広島県警から自宅等の捜索を受ける。
▼9月25日 矢野、前川が書類送検。
▼10月1日 球団が小園、矢野、前川、田村の4選手に来季契約を結ばないと通達。
