「放送なしが多すぎる」松本不在が続く『水ダウ』”打ち切り説”の信憑性は?リアルな業界評価
『水曜日のダウンタウン』(TBS系)は「ネット上で最も話題を集めるバラエティ」で間違いないだろう。しかし、このところ「ゲーム企画ばかり」「以前より面白くない」「放送なしが多すぎる」などの不満の声が増えている。
実際に4月から9月2日放送分までをさかのぼると、企画数はゲームが14、説が10。さらにゲーム企画は1時間まるごと放送されるケースが多く、体感的な比重はさらに大きい。
ただし問題は数の多寡よりも説そのもののクオリティ。この5か月は『水ダウ』らしいエッジの効いた切り口が減り、フワッとした説が目立った。一方で、撮れ高の少ない企画を水増ししない矜持や、ゲーム企画で保たれる笑いファーストの世界観は健在だ。では、この番組にはどんな未来が待っているのだろうか。
業界内の声を交えながら、後編でも忖度なく掘り下げていく。
前編記事『ラーメン回で物議の『水ダウ』、「最近ゲーム企画ばかり」「以前より面白くない」と不満の声も…限界説の実情』より続く。
放送収入だけでは測れない価値
次に今春から夏にかけて「放送なし」の割合を見ていこう。
約5か月間で、「放送あり」が17回、「放送なし」が6回。約5か月間で6回「放送なし」だから、月1程度に過ぎないことになる。他番組に目を向けると、「放送なし」が月1回のバラエティは多く、「月2回しか放送しない」、さらに低視聴率番組は「月1回放送しない」というケースも多い。
その点、『水ダウ』はどちらかと言えば「放送なし」が少ないほうであり、ネットでの反響がズバ抜けているから、「今週はない」というだけで落胆や不満の声が目立ってしまう。ただ、説の割合をできるだけ減らさず、笑いと毒の精度を保っていくためには、「放送なし」の日を作るのがベターだろう。『水ダウ』というバラエティのブランドを守るためには現在のペースは妥当なものに見える。
「放送なし」の日は代わりに特番が編成されるが、どうしても『水ダウ』と比べられてしまうのがつらいところ。その結果、「最初から見てもらえない」か、「少しだけ見て酷評される」という誰も得しないようなケースが続いている。
バレーボール日本代表の試合中継が延長して『水ダウ』が繰り下げになったときネット上に不満の声が広がったことからも、水曜22時台の定番として求められていることがわかるだろう。
では「打ち切りもあるのでは?」という一部の声に信憑性はあるのか。
『水ダウ』はスポンサー企業の求める若年層の個人視聴率を獲得し続けているほか、『TVerアワード バラエティ大賞』を5年連続受賞。TBSだけでなくテレビ全体におけるバラエティのトップとみなされている。
依然として配信での収入は放送のそれよりもかなり少ないが、『水ダウ』は収益以上にブランドとしての価値が高く、TBSにとっては重要なコンテンツの1つ。さらに「名探偵津田」という大ヒット企画もあり、今後はこれに続くものも期待できる。
支えてくれるスポンサーがいる以上、現実的ではないが、「『水ダウ』はTBSの有料動画配信サービス・U-NEXTに移動したら新規会員を獲得できるレベル」とみている業界関係者は多い。「仮にダウンタウンが抜けて『水曜日』、あるいは『水曜日の浜田雅功』などの番組名になったとしても残される」とみるのが自然だろう。
クレーマーも攻撃をあきらめる
もし危機があるとすれば不祥事くらいだが、『水ダウ』は企画が売りの番組だけに出演者のそれは致命的な問題にはなりづらい。一方、スタッフ側を見ると、番組のシンボルである藤井健太郎が大きな問題を起こしたらさすがに危ないという程度に見える。
その藤井はTBSの重要人物であるだけでなく、DMM TVで『大脱出』シリーズ、Amazon Prime Videoで『KILLAH KUTS』を手がけるなど業界を代表するコンテンツメーカーとなった。また、TBSはそんな藤井に一定の自由を与えつつ、批判から守り続けてきただけに、彼の代表作である『水ダウ』を軽視することはありえない。
視聴者に目を向けても藤井の信者は『クイズ☆タレント名鑑』のレギュラー放送がはじまった2010年からジワジワと増えている。『テベ・コンヒーロ』『クイズ☆スター名鑑』、そして現在も放送されている特番の『オールスター後夜祭』『クイズ☆正解は一年後』。
「藤井の番組にハズレなし」はお笑い好きの共通認識であり、かつて「TBSの社員という安定した立場だからフルスイングできる」などと語っていた制作姿勢はまったくブレていない。
ちなみに企画の中には明らかに批判を受けたものだけでも10を超えるが、逆にギャラクシー賞を5度も受賞したこともあってか、大勢に影響はなかった。事実、日ごろネガティブなニュースに食らいつくようなネット上のクレーマーたちも『水ダウ』はあまり攻撃しない。
また、3日夕方に配信され、Yahoo!トピックスとして大きく報じられた 《『水ダウ』が物議》「吐くまでやらせるのはどうかと…」ラーメン店が疑念、嘔吐物そのまま放送で「モザイクくらいかけろよ」問われる笑いと不快の境界線 という記事へのコメントも、ほぼ擁護で占められていた。これはよくある“PV狙いで批判ベースのあおり記事”に過ぎないのだろう。
これは批判があがってもコンセプトを変えない制作サイドの姿勢によるものであり、クレームを擁護する声が上回り、沈静化していくという流れができている。「もはや『水ダウ』はクレーマーもよほどの問題が発生しない限り、炎上化をあきらめるような番組」と言っていいかもしれない。
放送と配信以外でも稼いでいくのか
このところ一部で不満や「打ち切りでは?」などの声があがっていたのは、『水ダウ』という番組への期待感が上がりすぎていることの裏返しだろう。
視聴者にとっての「見たい番組」というだけでなく、若手・中堅芸人にとっては「出たい番組」の筆頭格であり続けているだけに、制作サイドがこれまでと同等レベルの説とゲームを放送していけば何の問題もないように見える。
ちなみに業界内には「配信視聴が定着した『水ダウ』はここから視聴率を上げることは難しい」「むしろIP(知的財産)としてさまざまな形で収益化を狙うほうがいい」という見方がある。
そのような稼ぎ方は藤井が望まないのかもしれないが、バラエティ全体を見るとトップを走る『水ダウ』だからこそ、何らかの形で稼ぐ方法を模索してほしいところだろう。
有料のコンテンツやイベント、グッズやゲーム、企業コラボなど、ドラマのように稼ぐ手段を多角化していくのか。いずれにしてもまだまだ発展の可能性を感じさせられる番組であることは確かだ。
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