不動産投資を始めたいと考えながら、何から手をつければいいか分からない。そんな人ほど、業者の営業トークの前で判断が鈍りやすい。
 
不動産投資アドバイザーの木村洸士氏は、初心者が陥りがちな失敗パターンと、業者に言いくるめられないための考え方について詳しく論じている。木村氏がまず指摘するのは、「失敗するパターンを理解してからやった方がいい」という点だ。業者が勧める高利回り物件をそのまま購入してしまう行為は、最も危険な判断の一つだという。
 
現在の市場環境にも注意が必要だ。金利の上昇により、都心の不動産価格は上昇一辺倒ではなくなってきている。そうした状況の中で「建築費がさらに上がるから今のうちに」という営業トークが横行しているが、外部要因まで含めて見ると、購入後に価格が下落する可能性も否定できない。
 
中古物件における修繕リスクも、初心者が見落としやすい落とし穴だ。利回りが7~8%程度の物件は一見すると悪くなさそうに映るが、もともと利益の余裕が薄い。そこへ資材高騰の影響を受けた大規模修繕が発生すれば、一気に赤字へ転落する。屋根の補修や防水工事は、今や当初の想定を大幅に上回る費用がかかることも珍しくない。
 
また、不動産会社は「売る」ことを目的とした商売であり、医者のように買い手を守る立場にはない。満室想定の家賃設定が現実と乖離していないか、周辺相場と比較して自ら確かめることが欠かせない。工場の撤退など、賃貸需要を左右する地域情報を一社だけに頼るのも危険だ。
 
さらに崖条例の説明漏れなど、重要事項説明の不備によるトラブル事例も紹介されており、初心者が見落としやすいリスクの存在を浮き彫りにしている。
 
木村氏自身は24件に分けて物件を購入してきた経緯を持ち、全財産を一度に投じることの危険性を繰り返し強調する。1件の物件に問題が生じても、全体への打撃を抑えられる分散購入の発想は、長期的に「負けない」ための設計だと語る。節税目的の赤字経営についても、その後の借入審査に悪影響を及ぼす構造的な問題点として言及されている。自ら学び、判断軸を持つことが、業者の「売りたい」意向に流されない唯一の防衛線となる。

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