世界でたった3件だけ!「人類の創造的資質」という究極の基準1つだけで登録された超レアな世界遺産とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】
世界遺産はどう決まる? 10の登録基準で丸わかり
世界遺産として登録されるためには「顕著な普遍的価値(OUV)」を持っていることが前提になります。では、その価値は具体的にどのような視点で測られ、評価されるのでしょうか。
評価の物差しとなるのが、下記の10の登録基準です。世界遺産の価値を10通りの視点から評価するものであり、登録されるためには、この中から少なくともひとつ以上に当てはまる必要があります。どの基準で評価されたかを知ることは、その遺産の価値をどの角度から語り、「何の代表例」として世界が認めたのかを読み解く手掛かりになります。さらに、その遺産の世界史や自然史の中での位置付けを知る上でも参考になります。同じ基準で登録された遺産と見比べることにより、共通する価値やその土地ならではの独自性が、より明確に見えてくるはずです。
10の基準のうち、(i)~(vi)で登録されたものは文化遺産、(vii)~(x)で登録されたものは自然遺産、文化遺産と自然遺産の両方の基準で登録されたものは複合遺産に分類されます。なお、ひとつの遺産が複数の基準に当てはまることは珍しくありません。
世界遺産は見た目の壮大さや美しさだけでなく、背景にある歴史や価値観まで含めてその価値が成立します。だからこそ、同じ遺産でもどこに注目するかで見える景色が変わってくるはずです。登録基準を知れば、「この遺産は何を守り、何を伝えたいのか」が一層クリアに理解できるようになります。つまり10の基準は、世界遺産を「眺める」対象から「理解する」対象へ導く、いちばんシンプルな入り口なのです。
世界遺産 10の登録基準
「顕著な普遍的価値(OUV)」を備えた上で、以下を満たす必要があります。
(i)人類の創造的資質を示す遺産 例:タージ・マハル
(ii)文化の価値観の相互交流を示す遺産 例:イスタンブルの歴史地区
(iii)文化伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産 例:アテネのアクロポリス
(iv)建築様式や建築技術、科学技術の発展段階を示す遺産 例:ケルンの大聖堂
(v)独自の伝統的集落や、人類と環境の交流を示す遺産 例:アルベロベッロのトゥルッリ
(vi)人類の歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術などと強く結び付く遺産 例:モン・サン・ミシェルとその湾
(vii)自然美や景観美、独特な自然現象を示す遺産 例:イエローストーン国立公園
(viii)地球の歴史の主要段階を示す遺産 例:カナイマ国立公園
(ix)動植物の進化や発展の過程、独自の生態系を示す遺産 例:シャーク湾
(x)絶滅危惧種の生息域でもある、生物多様性を示す遺産 例:ガラパゴス諸島
(i)のみで登録された世界遺産は
インドの「タージ・マハル」
オーストラリアの「シドニーのオペラハウス」
カンボジアの「プレア・ビヒア寺院」の3件だけ!
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光
【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

