「笑ってる出演者にも引く」批判殺到の『水ダウ』悪質いじめ企画…“コンプラ以前の問題”に広がる嫌悪感
と、開き直りを正当化する芸風の危うさを論じ、さらなる過激化を懸念します。
<「いじめてなにが悪い」から「人を殺してなにが悪い」に行き着くのは早い。>(p.120)
なぜなら、ひとたび「いじめてなにが悪い」という刺激に慣れてしまい笑えなくなれば、人はそれ以上のものを求めるようになるからです。
いじめから殺人への移行は、決して論理の飛躍などではなく、必然的にやってくる破局である。パンドラの箱をダウンタウンは開けてしまったのではないかと、坂本氏は言っているのです。
水責め企画も、この延長にあることは明らかでしょう。対談から20年以上経った今も、同じ様な“いじめ”でスタジオが笑う。何も変わっていないのですね。
議論を呼ぶ企画で話題の『水曜日のダウンタウン』ですが、今回ばかりはとうとう一線を越えてしまったように思います。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4