台湾に拠点を置く半導体製造企業のTSMCが、中国に拠点を置くチップメーカー「SOPHGO」への製品出荷を停止したことが明らかになりました。SOPHGOは「TSMCの半導体がHuaweiのAIチップに使われていた問題」で、輸出規制の対象となっている半導体流通の仲介役を担っていたと報じられていますが、SOPHGOは報道を否定しています。

TSMC suspended shipments to China firm after chip found on Huawei processor, sources say | Reuters

https://www.reuters.com/technology/tsmc-suspended-shipments-china-firm-after-chip-found-huawei-processor-sources-2024-10-26/

Statement by Xiamen SOPHGO Technologies Ltd.

https://en.sophgo.com/post/417.html

アメリカは中国のAI開発を軍事上の脅威と認識しており、国内の半導体企業に対してAIの研究開発に使われる高性能半導体の輸出を制限しています。さらに、アメリカは外国企業に対しても「アメリカ製の半導体製造装置を用いて製造した高性能半導体」の中国への出荷を禁止するように求めています。

そんな中、中国企業のHuaweiが販売しているAIチップにTSMC製の半導体が使われていたことが2024年10月22日に報じられました。TSMCはアメリカ製の半導体製造装置を用いて高性能半導体を製造しているため、TSMCがアメリカの輸出規制に抵触している可能性が指摘されています。

TSMCがHuaweiのAIチップを製造していたことが判明、アメリカの輸出規制に抵触する可能性 - GIGAZINE



2024年10月22日の報道時点ではTSMC製の半導体がHuaweiにわたった経緯は不明でしたが、2024年10月28日にロイターが「HuaweiのAIチップに搭載されていたTSMC製の半導体は、中国企業のSOPHGOがTSMCに発注していたものだった」と報じました。また、ロイターはTSMCがSOPHGOへの製品出荷を即時停止したことも報じています。

SOPHGOは、北京や深センを含む中国国内の10以上の都市に拠点を構えるチップ設計企業で、アメリカやシンガポールにも拠点を設置しています。また、SOPHGOの設立者であるMicree Zhan氏は仮想通貨マイニング用ハードウェアを開発する「BITMAIN」の設立者としても知られています。このBITMAINは香港やアメリカ、シンガポールなど世界各国に拠点を設置しており、2021年にはBITMAINの台湾事業者が台湾の半導体研究者を違法に採用して研究活動に携わらせていたことが明らかになっています。

なお、SOPHGOは報道を受けて「当社は、アメリカ商務省によるTSMCとHuawei間の連携に関する調査にまったく関与していない」「当社は、Huaweiと無関係であることを示す詳細な証拠をTSMCに提出した」とする声明を発表しています。