今年8月、カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」からの買収提案を受けたことを公表し、話題となったセブン&アイHD。同HDの井阪輶一社長(67)が驚くべき方針を発表したのは、10月10日の決算説明会でのことだった。

【実際の写真】上げ底疑惑の「セブン弁当」 食べてみると底が…

「経営資源を主力であるコンビニ事業に集中し、イトーヨーカ堂やデニーズなど、コンビニと金融以外の事業は来年2月下旬を目途に、新設する中間持ち株会社『ヨーク・ホールディングス』に集約させるとしたのです。これに伴って、社名も来年5月に『セブン-イレブン・コーポレーション』へと変更する方針を示しました」(ジャーナリスト・森岡英樹氏)


セブン&アイHDの井阪社長 ©時事通信社

ネット上で指摘される弁当の“上げ底”問題

 コンビニ事業への注力の一方、2024年3〜8月期連結決算はコンビニ大手3社のローソンファミリーマートが前年同期比で増益となったのに対し、セブンは34.9%減の大幅減益。インフレによる海外事業低迷の影響が大きいとされているが、国内も盤石ではない。

 SNSを中心にユーザーからは「セブンの弁当は“上げ底”になり、容量が減っている」という指摘がインターネット上で相次いでなされるなど「内憂外患」の状況だ。セブン&アイHD専務でセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏(67)に話を聞いた。

――不採算事業を切り捨ててコンビニに注力する?

「いやいや、お互いの強みを発揮するためですから。向こう(ヨーカ堂)は向こうで一生懸命でしょうけど」

――セブン-イレブンとしては、これからもっと大きくなれるように頑張っていくと?

「うちはもうね。フランチャイジー(加盟店)もいるしお客さんもいるし、お取引先もありますから。これはこれで僕の立場で一生懸命やっていく」

――クシュタールが来れば、セブンも変わる?

セブン-イレブンセブン-イレブンです。クシュタールは関係ない」

「ルールで、何パーセントって決まってるんですよ」

 近年、インターネット上では、セブンの弁当は“上げ底”になり、容量が減っているとの指摘もあるが、

「本当にそうなってました? 上げ底になってましたか? 他と比べて本当にセブン-イレブンが上げ底になっているのかって言うのをご覧になりましたか? なってませんでしょう?(笑)」

――私もよく食べてるので……。

電子レンジで温めたりするアレがありますから。多少は(傾斜が)ないとダメなんですよ。じゃあ、スーパーとか他のところ見てご覧なさいよ。どっちが上げ底かと。あれはルールで、何パーセントって決まってるんですよ。だからそんな、アコギなことはできないんですよ」

――定期的にSNSで話題になるものですから。

「いや、本当に比べてみてどうかっていう(笑)。実際比べて見てどうだったか」

――値段も含めて。

「うん値段も含めてね。ネットに投稿する方は、本当に事実をもって投稿してほしいですね……」

「多くのステークホルダーを抱えていますから」

――創業者の伊藤雅俊氏が亡くなったことで、祖業・ヨーカ堂売却の動きが進んだのでは。

「うん、それも、上げ底問題と同じでね。皆さんはそう言ってるけど、そんなことはありませんよ……」

――多少気を遣う部分もあったのかなと。

「あらゆるステークホルダーのために、とことんやっていますよ。誰々っていうことではなく。多くのステークホルダーを抱えていますから」

 一方、セブン&アイHDの井阪社長はどう答えたのか。そしてセブン&アイHD側のキーマンとなるスティーブン・ヘイズ・デイカス氏の意向やイトーヨーカ堂の扱いは……? 経済メディアでは読めない深層レポートの全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる。また、「週刊文春 電子版」では、イトーヨーカ堂の社長が事実上のリストラに言及した会議音声も公開している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年10月24日号)