『ドラクエIII』復活で再注目、80年代「懐かしのファミコンRPG」を振り返る。初代ドラクエの“データ容量”は64KB…
◆桃太郎電鉄の“前身”はRPGだった
『桃太郎伝説』
1987年10月/ハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)
中世ファンタジー風世界を舞台にしたRPGが増えるなか、和風かつ昔話のパロディで個性を発揮したのが『桃太郎伝説』。当時「週刊少年ジャンプ」の読者コーナー「ジャンプ放送局」のライター・さくまあきら氏がゲームデザインを手掛け、同コーナーのイラストレーター・土居孝幸氏がキャラクターデザインを担当。親近感もあり、売上100万本を達成しました。
その後、ボードゲームの派生作『桃太郎電鉄』(1988年)が大ヒット。『桃太郎』シリーズというとすっかり「鉄道」になってしまったのがちょっと寂しいですね。
◆ドラクエのライバルRPGが登場
『ファイナルファンタジー』
1987年12月/スクウェア(現スクウェア・エニックス)
当時新興スタジオとしてシューティングRPG『キングスナイト』など実験的なタイトルをリリースしていたスクウェア。1987年発売のRPG『ファイナルファンタジー』は当初そこそこの売上だったものの、1990年の『III』で初のミリオンを記録し、『FF』シリーズは軌道に乗りました。
初代『FF』は、イラストレーターの天野喜孝氏が手掛けたアート感あるパッケージが印象的。また、植松伸夫氏によるアルペジオが美しいプレリュードも耳に残ります。敵と味方が左右に分かれる戦闘画面や、自由度の高いジョブシステムなど、初代からすでに本気度が伝わってきました。
『FFIII』以降、『FF』と『DQ』はコマンド式RPGの二大巨頭として君臨しますが、なんと2003年4月にスクウェアとエニックスが合併。このニュースはゲームファンにとって衝撃でした。
◆大胆なジャンル変更に賛否両論!?
『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦』
1987年12月/バンダイ(現バンダイナムコエンターテインメント)
流行りのジャンルに、マンガやアニメの人気キャラを乗せるというのは今も昔もゲーム業界の常套手段。横スクロールアクションでスマッシュヒットした前作『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』(1986年)から、コマンド式RPGに大きくジャンルが変わったのが『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団の挑戦』です。
日本全国を妖気雲で覆ってしまった九尾の狐を倒すため、鬼太郎が再び旅立ちます。砂かけばばあや子泣きじじいなど、おなじみの仲間たちは呼び出すと代わりに戦ってくれますが、パーティバトルではなくソロ戦闘。しかもザコ敵が非常に強く、RPGなのに序盤で放り投げたという声多数。グラフィックやBGMの雰囲気は良かったのですが……。
ナンバリングタイトルはこの『2』まで。スーパーファミコン以降も“鬼太郎ゲーム”はジャンルを転々としながら続いていきます。
◆新時代の到来を感じた名作RPG
『MOTHER』
1989年7月/任天堂
コピーライターの糸井重里氏がゲームデザインを手掛けた『MOTHER』は、『DQ』の影響下から離れ、新たな時代の到来を予感させたRPG。
舞台は現代のアメリカ。超能力を持った少年少女が家族を守るために大冒険を繰り広げます。アメリカ映画を想起させるノスタルジックな世界観と、糸井重里氏によるウィットに富んだセリフ回し、さらにムーンライダーズの鈴木慶一氏と『ポケットモンスター』で知られる作曲家・田中宏和氏のポップでサイケなBGMの融合は、ファミコンゲームの域を超えた作品性を感じさせました。
ナンバリングタイトルは続編の『MOTHER2 ギーグの逆襲』(1994年/スーパーファミコン)を経て、『MOTHER3』(2006年/GBA)で止まっています。現在は3作品ともNintendo Switch Online(『3』は「Nintendo Switch Online+追加パック」への加入が必要)で遊べます。
以上、80年代の名作RPG7本を駆け足で振り返ってきました。個人的には、地図や人形が同梱されていた『貝獣物語』(1988年)や、ホラーRPG『スウィートホーム』(1989年)も思い出深いです。
また、ファミコン以外では『ファンタシースター』(1987年/セガ・マークIII)、『魔界塔士Sa・Ga』(1989年/GB)も懐かしいですね。
<文/卯月 鮎>
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン〜なつかしゲーム子ども実験室〜』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も