この記事をまとめると

■警察官の静止を振り切って逃げても後日検挙となる可能性は十分にあり得る

■違反切符を渡していれば違反の立証になるが後日の呼び出しではその立証がかなり困難

■パトカーのドライブレコーダーから捜査されて逮捕に至るケースもある

交通違反は現行犯でなくても取り締まれる

 オービスでスピード違反の状態を撮影されたときは別として、そのほかの交通違反は、現行犯で検挙されるのが普通。

 しかし、警察官の見ている前で、一時停止違反を咎められたり、信号無視をしてしまったり、スマホで通話しながら運転をしているのが見つかったりしたとき、警察官の静止を振り切って逃げてしまった場合、どうなるのか?

 法律的には、「道路交通法違反=現行犯でしか検挙できない」という規定はないので、ナンバーなどから所有者、運転者がわかれば、後日呼び出し、検挙となる可能性は十分あり得る。

 ただし、違反を警察官が現任し、違反者にその場で直接交通反則告知書(いわゆる青切符・赤切符)を手渡せた場合は、現任=違反の立証となるが、後日呼び出しとなるとその立証がかなり困難になってしまう。

 オービスのように、場所、時間、速度、クルマのナンバー、運転者の顔、といった客観的な証拠が揃っていれば、立証可能なので問題ないが、そうでないケースで、警察官を振り切ってしまったとなると、後日呼び出してまで検挙されることはほとんどないというのが実情だ。

監視社会の現代では交通違反を犯した場合のリスクは非常に高い

 現場の警察官は、我々が思っている以上に忙しい。その多忙な警察官が、軽微な違反に限りあるリソースを割くのはかなり不合理だと考えているのがその理由。

 わざわざ被疑者を特定し、呼び出して「あのとき違反をしたのは私です」と認めれば話は早いが、現場で警察官が止めようとしているのにそれを振り切った相手が、素直に認めるはずがなく、「私じゃない」「身に覚えがない」といい張れば、それを立証するのは容易ではない。そうなると割に合う仕事とはいえなくなるからだ。

 とはいえ、今日、ほぼすべてのパトカーにドライブレコーダーは搭載されているので、悪質な違反を犯した挙句に、制止を振り切って逃走したとなると、ドライブレコーダーのデータをもとに捜査に乗り出し、後日警察署に呼び出したり、逮捕に至る可能性も否定できないので甘く見ないこと。

 また、パトカー以外の一般車両のドライブレコーダーが録画した画像や、通行人がスマホ等で交通違反行為が撮影された場合も、油断できない。

 通常は動画のもち込みによる通報だけで、警察が捜査、検挙に動くことはほとんどないが、内容が悪質だったり、SNSなどで拡散されてしまったときは、後日検挙も大いにありうる。

 だからといって、「なんだ、軽微な違反なら逃げ切ったもん勝ちか」などと考えるのは早計。防犯カメラや個人のスマホ、ドライブレコーダーがこれだけ普及している昨今、誰がどこで見ている(撮影している)かわからない状況で、交通違反を犯すリスクは非常に高いし、まして警察官の制止を振り切って逃走するのは問題外。

 ルールとマナーを守って、いつ、誰に見られてもいいような、安全運転に徹するよう心がけよう。