7回2死一塁、代打・秋広〈55〉が空振り三振に倒れ、ベンチで厳しい表情の阿部監督(右)(カメラ・今成 良輔)

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◆2024 JERA クライマックスシリーズ セ・ファイナルステージ 第2戦 巨人1―2DeNA(17日・東京ドーム)

 「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」の最終ステージ(S)第2戦が東京Dで行われ、リーグ王者の巨人が同3位のDeNAに連敗を喫した。長嶋茂雄終身名誉監督(88)=報知新聞社客員=が阿部慎之助監督(45)を激励に訪れた一戦で、菅野が同点の7回にオースティンに決勝ソロを献上。1勝のアドバンテージを含め1勝2敗となった。吉川を故障で欠く打線は2戦1得点と低調だが、6回の岡本和の一時同点打に、巨人担当・片岡優帆キャップが光明を「見た」―。

 CS最終Sは連敗スタート。打線が5安打1得点に終わり、2戦連続で投手陣を援護できなかった。試合後、阿部監督がどんな表情で会見場に現れるか注目したが、怒ったり、悲観する様子は全くなかった。「ここで文句を言ったってやるのは選手だしね。俺が代打でいきたいくらいだけど」と笑いながら冗談を口にする余裕もあった。まだまだここから―。第3戦以降の逆襲へ期待が高まった。

 16日の初戦は4安打完封負け。2週間ぶりの真剣勝負の実戦だった影響か、絶対に勝つという気持ちが強すぎたのか、全体的に動きに硬さが見られた。一夜明け、阿部監督は東京Dを訪れた長嶋さんと試合前にベンチ裏で対面し、激励を受けた。ミスターは「今日からだな。一つ勝てば一気にいける」と力強く背中を押したという。

 微妙に動く球を操る相手先発の大貫を打ち崩せず敗れたが、次につながる明るい要素はあった。6回2死二塁から岡本和が同点の中前適時打。阿部監督が「あれしかない、っていう点の取り方だった」とたたえた4番の一打、チームの今CS初得点に観客がオレンジタオルを振り回し、熱狂の渦に包まれた。試合が動けば場内の空気が一変する。リーグ優勝チームとして全試合本拠地で戦える地の利がある。1点ずつ積み重ねて1勝できれば、流れは変わると感じる。

 ろっ骨付近を痛めた影響でメンバー外の吉川に代わり、初戦は増田大が二塁で出場したが、この日は中山が二塁スタメンでプロ初の3番で起用された。吉川の登場曲に変更して先輩の思いを胸に打席に立ち、4打数無安打だったが、二塁守備では軽快な動きを披露。チームはCS新記録となる1試合5併殺を奪った。丸は間一髪、アウトになるも二ゴロで一塁にヘッドスライディング。熱い闘志、気迫が前面に出ているだけに、過度な心配は無用だろう。

 アドバンテージ1勝を含め1勝2敗と黒星先行になった。初戦は3番・佐野、2戦目は4番・オースティンに一発を浴びている。相手の中軸についての質問には「そうだね。うちは中軸になってないからね」と表情を緩めて前を向いた。不動の3番・吉川の不在を全員でカバーするしかない。「まあ何とかみんなで打破しないといけないし」と一致団結を強調した。

 戸郷、菅野のダブルエースで結果的に連敗するのは想定外ではあるが、第3戦で勝てばタイになる。「もう何を言ってもしょうがないので。明日、まず1個勝てるように」。1勝すれば必ず状況は好転する。ミスターのエールを胸に刻み、前だけを見て各自がやるべきことをやっていけば、突破口が開けるはずだ。(片岡 優帆)