生産管理システムで町工場を支援!東京都企業立地相談センター「DrumRole」取材記事
東京都企業立地相談センターは、生産管理システムで町工場を支援している「DrumRole、代表取締役CEO 松本隆太郎氏、代表取締役COO 牛尾夢海氏」に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて2024年10月17日に公開しました。
東京都企業立地相談センター「DrumRole」取材記事
東京都企業立地相談センターは、生産管理システムで町工場を支援している「DrumRole、代表取締役CEO 松本隆太郎氏、代表取締役COO 牛尾夢海氏」に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて2024年10月17日に公開。
■必要な機能に絞った使いやすい生産管理システムで町工場を支援
独立行政法人 中小企業基盤整備機構の調査によると、製造業をはじめ、生産、流通、サービスなど多様な分野にわたる中小企業は、日本の全企業数の約99.7%を占めています。
雇用者数でみてみると、日本の従業者の約7割に相当する約3,310万人です。
日本の産業構造の大部分を占める中小企業は、まさに日本経済を支える屋台骨といえます。
そんな中小企業を支援するソフトウェアが「生産管理サービス」です。
SaaS(Software as a Service)とも呼ばれ、管理業務を効率化し、生産性を上げる仕組みとして注目されてきました。
ただしその一方で、機能が過度に搭載されていたり、操作性が複雑だったりする課題も指摘されています。
DrumRoleは、中小企業のなかでも町工場、製造業に向けた生産管理システムを設計、開発した、ユニークなスタートアップ企業です。
代表取締役CEO・松本隆太郎氏、代表取締役COO・牛尾夢海氏に事業内容や展望などを取材。
■実家工場の現場で得た気づきが起業の原点に
株式会社DrumRoleが開発した生産管理システムは、社名と同じ「DrumRole」です。
まずは名称の由来を聞きました。
「何かの優れた賞などが発表される前に、場の期待を高める効果音としておなじみの“ドラムロール”がシステム名、社名の由来です。
日本のモノづくりを根底から支える町工場、製造業の魅力を最大限引き立てたい!という思いから、このネーミングにしました」(牛尾氏)
ではなぜ、「町工場、製造業向け」と分野を絞った生産管理システムをつくったのでしょうか。
「私の実家が長野県で組立・検査などの工場を経営していまして、町工場、製造業は小さなころから身近な存在だったことが背景です。
高校〜大学生くらいになってから、改めて工場の現場を見たとき、excelや紙など、旧態依然とした生産管理が行われている事実に気づいたことが起業の原点となりました。
中小の製造業は日本経済を支えている、れっきとした主役であるにもかかわらず、慣習的に非効率な生産管理体制が敷かれているのは本当にもったいない、さらにいえば日本経済の大きな損失であると感じました」(松本氏)
松本氏は大学院卒業後、エンジニアとして楽天グループへ、牛尾氏は大学卒業後、営業企画として日産自動車にそれぞれ入社。
社会人経験を積んだ後、2022年11月に起業しました。
「当初は町工場、製造業を支援する事業を興すというイメージから出発。
目指すべき事業の解像度を上げるために、実際に我々が町工場で働くことを決めました。
町工場、製造業を支援するための事業を立ち上げたい、そのために半年ほど現場で働かせていただき、知見を蓄えたいと事情を打ち明けて複数の町工場へアタックしたところ、応じてくださる企業が見つかりました。
私は大田区内の金属加工、松本は品川区内の樹脂加工の町工場に就職。
松本はエンジニアとしての経験、私は営業企画としての経験をそれぞれ活かしつつ働かせていただき、業界知識の取得、課題の発見、人脈形成など、多大な収穫を得ることができました。
“期間限定”であるにもかかわらず、社員として雇用していただいた各工場には、今も感謝してもしきれません」(牛尾氏)
■町工場での“修行”に基づく「本当に使いやすいシステム」
町工場での半年の“修行”を経て改めて見えてきたのが、松本氏が実家の工場で感じていた「生産管理体制」の課題でした。
既に中小企業、町工場向けの生産管理システムは世の中に出回っていましたが、「機能が多く使いこなすことが難しい割に、高コストである」という実情を実感したそうです。
「そこで出てきたアイデアが、現在、我々がリリースしているシステム『DrumRole』の基礎になりました。
特徴は“これだけあれば大丈夫な機能”に絞り込んだこと。
具体的には、1) excel、紙などの煩雑な管理を効率化した『受発注管理』、2) スマホで不良品の写真を撮影、保存し、二度と同じ不良を出さない体制を構築できる『品質管理』、3) 工程の進捗を共有、製造と営業の情報伝達を円滑にする『工程管理』、以上の3機能です。
いずれも、我々2人が修行中、町工場でのオペレーションを肌で感じ、そこで得た気づきに基づいて開発しているため、既存品に比べれば『町工場にとって本当に使いやすいシステム』になっていると自負しています」(松本氏)
町工場に不要な機能は削ぎ落とすことで開発コストを下げ、既存システムに比べてリーズナブルな価格を実現しました。
また、すべての操作がスマホで完結できることも特徴です。
「中小製造業、町工場の従業員のなかには、PC作業を不得手と感じる方がいらっしゃる一方、日常的につかっているスマホに対しては親和性が高く、アレルギー的なものを感じる人はあまりいらっしゃいません。
ですので我々のシステムは、スマホ1台で済んでしまうこと、直感的に操作できるシンプルさ、使いやすさにこだわりました。
今も度々、我々が修行していた企業の担当者様に試してもらってフィードバックをいただき、機能をブラッシュアップさせ、より利便性を高めるように努めています」(松本氏)
創業者それぞれが町工場で働き、そこでの経験に基づいて生産管理システム「DrumRole」を開発した
■大田、東京立地のメリット〜人、情報の集積、商圏への好アクセス
続いて立地に関するメリットをお聞きしました。
まずは、現在拠点を構えている六郷BASEの魅力についてです。
「私が修行していた町工場が大田区の展示会に出展した際、大田区担当者様に六郷BASEの存在を教えていただいたことが入居のきっかけです。
コワーキングスペースで月額8,000円という衝撃的な利用料の安さもさることながら、コミュニティマネージャーを介して、大田区の町工場、中小企業の担当者を紹介してもらい、人脈を広げられることも大きな魅力です。
大田区内でも特に町工場が集積している、京浜島の中小企業を巡るバスツアーの企画も良かったですね。
複数の工場見学、対談、ヒアリングの機会をいただき、システムづくりに反映することができました。
もちろん、大田区アドレスということで、我々の商圏がすぐそばにあることも魅力です」(牛尾氏)
「1〜3ヵ月タームのインキュベーションマネージャーとの面談で、事業の進捗具合を振り返り、今後の方針を明確にできるほか、困り事の相談、展示会出展、助成金、補助金など、さまざまな情報をいただけることも非常に助かります。
現状、ほかの入居企業様との協業はないのですが、コミュニティマネージャーさん企画の“お茶会”など交流が盛んで、全体の雰囲気が明るいのも良い点だと思っています」(松本氏)
次に東京立地のメリットはどうでしょうか。
「何と言っても、大田区に限らず、我々のシステムを使っていただく中小企業、町工場が集積していることに価値を感じています。
さらに、各種ビジネスコンテストへの出場機会の多さ、他の自治体に比べれば格段に充実している経済的な支援、人が集めやすく将来的に雇用がしやすい、など多様なメリットを実感しています」(牛尾氏)
最後に今後の目標を尋ねると、明確な回答が返ってきました。
「2024年から5年以内に年間売上10億円を達成し、会社を上場できるラインまで引き上げたい。
また、これに伴って顧客を1,000社くらいまで拡張したいです。
我々の成長は、同時に日本の中小企業、町工場の成長にも連動します。
DrumRoleが町工場の生産性を向上させ、モノづくりの原点である“楽しさ”を再確認していただくツールになれば最高です!」(松本氏)
■情報配信元
東京都企業立地相談センター
ホームページ: https://ilsc.tokyo/
■記事掲載
東京都内に立地し活躍されている企業様や区市町村の企業支援担当者へのインタビュー記事を東京都企業立地相談センターホームページに掲載しています。
ページURL: https://ilsc.tokyo/voice/049.html
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