7回、レフトへ適時打を放ち、ほえる筒香(撮影・伊藤笙子)

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 「JERA CSセ・ファイナルS・第1戦、巨人0−2DeNA」(16日、東京ドーム)

 レギュラーシーズン3位のDeNAが同1位の巨人に勝利してアドバンテージを含めて1勝1敗とした。DeNAは四回に佐野恵太外野手のソロで先制。七回に代打・筒香嘉智外野手の左前適時打でリードを広げた。巨人は打線がケイの前に沈黙し、完封負けとなった。

 思わずほえた。1−0で迎えた七回1死一、三塁。DeNAの代打・筒香は、高梨が投じた低めのスライダーを、体をたたんで左前に鋭くはじき返した。百戦錬磨の男がトドメの1点を刻みつけ、覇者巨人を相手に1勝1敗のタイに持ち込んだ。

 「ヒットコースに飛んだなとすぐに分かりました。2ストライクでしたので、いろんな球に対応できるような形で待っていた」。勝負どころで打席に送り込まれた筒香の一打にはチーム打撃に徹したベテランの技が詰まっていた。「次の1点がすごく大事だとみんなが分かっていた。優勝したジャイアンツからこれで1勝1敗になったのは非常に大きなゲームだった」。喜びを冷静な口ぶりで振り返った。

 3位から日本シリーズに進出した2017年、筒香は当時の主砲だった。下克上実現の空気が漂い始めたチームに、背番号25の果たす役割は大きい。三浦監督は言う。「勝負強さもあるし、打席に立てば、グッと上げてくれる。(試合に)出ていなくても、ベンチで非常に大きな役割で鼓舞してくれているし、アメリカの経験で外国人とのコミュニケーションもうまくやってくれている、非常に大きな存在」。懐の深い人間力も備え、チームの根幹を支えている。

 この日、守護神・森原が右肩のコンディションが思わしくなかったためベンチを外れた。エース東も左太もも裏痛で戦線離脱しているが、アクシデントに見舞われようと、鉄の結束がチームを支配している。

 ◆下位球団初戦勝利 優勝球団にアドバンテージ1勝を与える制度となった2008年以降、セ・リーグCSファイナルS第1戦で下位球団が勝利して1勝1敗のタイとした例は過去15度の開催で08年・中日、09年・中日、12年・中日、14年・阪神、15年・巨人。この内、CS突破は14年・阪神の1例のみとなっている。なお、初戦勝利に限らずセ・パ両リーグでの下位球団のCS突破は07年・中日(2位)、10年・ロッテ(3位)、14年・阪神(2位)、17年・DeNA(3位)、18年・ソフトバンク(2位)、19年・ソフトバンク(2位)。※カッコ内順位はシーズン。