食楽web

●普段、食べることを心から楽しんでいる人は、「食に興味がない人」について理解しがたいもの。今回はそんな人たちの食生態に迫ります。

 以前、食楽webでは、『“食に興味がない人”の「食生態」を探る!』と題して、食べることに関心ゼロの人の生態を深堀りするとともに、意外な食へのこだわりについて紹介しました。

 その際に、さらにもっと食に興味がない人や、周辺にいる“食キャンセル界隈”方たちの生態を探るべく、全国の読者の皆さんにアンケート調査を行ったところ、続々と面白い回答が寄せられました。今回はその中から厳選してお届けします

食に興味ゼロなのに人にはグルメぶる夫(キー坊・46歳・専業主婦)

つまみは缶詰でいい

 私の夫は食にまったく興味がありません。結婚して今年で27年。「何が食べたい?」と聞いても毎度「なんでもいい」と言うので、今や聞くこともなくなりました。

 昼ご飯を作らなくても、お腹空いたとも言わず、ほっといたら食べないまま。部屋で仕事や趣味に没頭しています。夜も特に食べたいものがないようで、私が作る料理を黙ってつまみつつ、ビールやワインなどを呑むのが日課。ちなみに私がいないときはサバ缶などの缶詰で済ますだけ。

 しかし、驚くことに、仕事や趣味の仲間を家に招いたときだけ、豪華に料理を振る舞いたがるんですよ。しかも「赤ワイン、白ワイン、日本酒に合ういろんなつまみをとにかくたくさん用意して」と言うんです。外面だけはグルメぶって生きてるのが微妙にイラッとします。

味より“得する”ことを優先する先輩(ニホンシュさん・会社員)

ビュッフェでは何をお皿に盛るかで食のセンスや人間性まで問われる

 職場の先輩の食べ方がめちゃくちゃです。例えば居酒屋などに行くと、鶏の唐揚げを刺身用の醤油にたっぷりつけて食べるなんてのは序の口。野菜の天ぷらに天つゆと藻塩が付いてきて「どちらかお好みで」と説明されたのにもかかわらず、天つゆを付けたあとにさらに藻塩をたっぷりつけて食べたりします。

 また、居酒屋に行ったとき、その先輩が最初の注文でいきなり「鮮魚の刺盛り」を頼もうとしたので、「刺身は日本酒に切り替えてから頼みましょうよ」と言ったら、「冷たいものが先だろ」と小馬鹿にするような反応が返ってきました。日本酒を頼んだら頼んだで、店員さんがボトルをテーブルに置いていったら、「これ全部飲んでいいの!?」と自分のグラスに酒を注ごうとしたので慌てて制止したことも。

 ちなみに、出張や会食などでビュッフェなどがあると、とにかく大量に食べます。最低3往復はしていると思います。食に興味があるとかないとかいうより、「とにかく得したい」という気持ちが強い人なのかもしれません。

食のサプライズが通用しない父(コートニーさん・43歳・派遣社員)

 父が食に興味がない人です。娘である私自身は、食後高血糖や腸活などを考慮して、食にはけっこうこだわっているのですが、いつも「お金をかけすぎだ」と小言を言われます。まったく理解できないんでしょうね。

 ただ、ある時、めったに会わない遠方の親戚が訪ねてきて、父を交えて3人で話す機会がありました。その時に、父が親戚に「揚げ物と日本酒が好き」と言ったのです。好物があったことにびっくりしました。「それなら!」と張り切って、父の誕生日に天ぷらと日本酒の美味しいお店を予約しようとしたところ、断られてしまいました。「わざわざ外で食べなくていい。たまに一緒に食べるなら、家でお母さんの作ったごはんを食べよう。天ぷらも、スーパーのお惣菜コーナーにあるもので良い」と。正直、すごくがっかりしました。

 たまには美味しいものをご馳走しようと思って、今まで何度かサプライズ的に外食に連れて行ってあげたのですが、あまり喜んでもらえていなかったのかも……。

自他ともに認める“食キャンセル界隈”の人たちの声

いま流行りの完全メシシリーズ[食楽web]

 ここからは、食に興味がないご本人たちが語る、自分の食生活エピソードをご紹介していきましょう。

365日同じものを同じ量食べ続ける(偏食さん・50代前半・アルバイト)

 私自身が「食に興味がない人」です。 自分が食べるものは365日同じもの・同じ量・同じメーカーのもの……という状態です。数年は同じものを食べ続けても平気。不思議と飽きずに美味しく食べ続けることができるんです。

 個人的には、食に興味がない私のような人間はけっこういると思っています。特に最近の若者にはこういう人が多いのでは? 最近、さまざまなメーカーから「完全栄養食」が出ていて、しかも種類も増え続けているのはこうした嗜好への対応ということもあるんじゃないかと疑っています。

 とはいえ、料理を作ることは嫌いじゃないんです。自分は食べませんが、食べたいという人がいれば作りますし、それは楽しいんですよ。飽食の時代だからこそ、あまり食に関心がなさそうな人が、まるで“変わった人”のように見えるのかもしれませんね。

スイーツだけ食べていたい。自称“飯キャンセル界隈”(Snorlax・32歳・会社員)

 私は食に興味なさそう、というより“ない”です。最近ではSNSでトレンドになった“風呂キャンセル界隈”をもじって“飯キャンセル界隈”を自称しています。風呂はキャンセルしませんがメシはキャンセルします。

 例外的にスイーツは好き。でもとにかくしょっぱいものに興味がありません。夕飯を買うためにコンビニに寄った時など、とにかく何を見ても食べたいと思わないので、選ぶのに10分くらい平気でかかります。ただ、食後のデザートは秒で決まります。

 先日もコンビニで、どうしてもご飯を食べる気分になれず、なんとかいけそう、というご飯もなかったので、スイーツだけを購入し、ご飯なしで1人スイーツパーティーをしました。空腹感はあってもスイーツでお腹は膨れるし、しょっぱくなくていいのです。たまに「甘いものを食べるとしょっぱいものも欲しくならない?」なんて聞かれますが、しょっぱいものが欲しくなることのほうが意味わからないです!!!

昼ごはんは毎日、カロリーメイトとスープ(マテバシイ・38歳・パート事務)

定番はカロリーメイト

 私自身が”食に興味がない人”です。幼い頃から食が細かったのですが、それは料理の内容を問わず、“食事”という行為に途中で飽きてしまうのが原因でした。現に同じ食事で育った弟と妹は、今も美味しい物が大好きな食いしん坊です。

 美味しいものが食べたいという欲求がないわけではありません。しかし周囲と比べると、そのためにお金や時間・労力を費やすことが極端に少ないと思います。例えば、学生の頃は近くのコンビニや学食が混んでいるのを見ると、それだけで昼食を抜いていました。ある時、友人に誘われて有名店のパンを買いに行った時は、パンのために開店前から行列を作る人たちがいることに心底驚きました。

 今の職場は4年目ですが、昼食のメニューは4年間、毎日ほぼ同じ。カロリーメイトとスープの素を入れたオートミールです。安くて常温保存できる、調理が容易で栄養も摂れる、という基準で今のメニューに落ち着きました。カロリーメイトならチョコ味やバニラ味、スープの素は野菜スープや卵スープと、味に変化を付けられるのがいい。これ以上に楽な食べ物が思いつかないので、当分はこのままだと思います。

味より完全栄養食を優先(ヤマちゃん・36歳・サービス業)

最近増えてきた「完全栄養食」

 私は、食事=カロリー摂取だと思っています。ダイエットしているわけではないのですが、生きるために必要なカロリーと栄養素を摂取すればいいと思っているんです。なので、食事のメインはプロテインとサプリメントが中心。あとは最近種類が増えてきた「完全栄養食」といわれるパンやカップ麺などをネットで購入してストックしています。

 外食はほとんどしないのですが、ごくごくたまに外で食事をすることも。私としてはできればカロリー表示があるファミレスがありがたいのですが、そういうわけにもいかず、家に帰ったら食べたものの料理名を検索してカロリーや栄養表示を確認するようにしています。多く摂りすぎたからといって太るわけでもないのですが、なんとなく気になって。「食に興味がない人」だというのは自他ともに認めているのですが、食以外に興味があることが多いので別に気にしていません。

お腹が空いたときに食べる(トミー・40歳・自営業)

 私はお腹が空かないと食事をしません。お腹がすけば何を食べても美味しいと思うのですが、空腹でない状態で何かを食べても美味しくないし、胃もたれするからです。だから私の食事の回数は1日1回、14~15時くらいに食べます。自営業かつ一人暮らしなので、好きな時間に食事をすることができます。

 食に興味がないわけではないのですが、いろいろなものを食べたいわけではなく、不健康にならない程度に食べればいいと思っているんです。もちろん、誘われれば友人と飲みに行ったりすることもたまにありますが、あまり食べないので、いつも「少食だよね」と言われます。ただただ、その時間帯はお腹が空いていないのです。目で食べたくなる、とか、スイーツは別腹とか言う人の気持ちがまったくわかりません。

まとめ

「食楽web」では、皆さんの声をお待ちしております。テーマは「食の変態」にまつわるエピソードを大募集。例えば、ウスターソースが好きすぎてお寿司にも天ぷらにもかけちゃう人や、365日カップラーメンを食べ続けている学生などなど。食に関しての変態エピソードを、ぜひ下記まで投稿してみてください!

●投稿フォーム
https://forms.gle/mbjuVLDPajgeUKFR8

(撮影・構成◎土原亜子)