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●初めて行ったレストランで、誰もが一度は「やってしまった!」と感じる失敗。それはちょっと恥ずかしい思い出だったり、後から振り返るとクスッと笑える体験だったりします。今回は、そんな思い出のエピソードをご紹介します。

 よく耳にするのが、テーブルマナーを知らず、フィンガーボウルの水をうっかり飲んでしまったという話。今ではあまり見かけないかもしれませんが、レストランでの失敗談はいつの時代も尽きません。

イタリアンレストランでのちょっぴり恥ずかしい思い出 元広告代理店役員Hさん(60代男性)の場合

 大学生だったHさんが、当時気になっていた女性を食事に誘った時のことです。あの頃は“イタリアンレストランで食事をするのがカッコいい“という風潮があり、彼女も「イタリアンなら行くわ」とOKしてくれました。

 ただ、Hさんにとってイタリアンレストランは未知の世界。お金をかけて奮発した予約に、緊張感もひとしお。そこで彼は、事前に雑誌を読んで“スマートな食事マナー”を猛勉強し、準備を整えました。

 当日、前菜もメインも、ワインのセレクトも完璧。自分でも“今日はイケてる!”と感じていたそうです。そして、いよいよパスタの注文。ここで決めていたのが「アルデンテでお願いします」という一言。今でこそ普通の注文ですが、当時はこれが"通"の証だったとか。

 ところが、いざ口を開くと、思わぬ言葉が出てしまいました。

「アルシンドでお願いします」

 アルシンドとは、当時有名なサッカー選手。さらに、薄毛対策のCMにも出演しており、誰もが知る存在でした。
 場は一瞬静まり返り、お店のスタッフもキョトン。隣にいた彼女まで困惑してしまい、Hさんの顔は真っ赤に。

「知ったかぶりが見事にバレました。あの瞬間、デートは台無しでしたね」(Hさん)

 スタッフが「パスタの量を少なめに、という意味ですか?」と軽くフォローしてくれていたら、もう少し状況は好転していたかもしれませんね。

ふぐ専門店の店主に教わった接待の極意 元出版社役員Oさん(60代男性)の場合

 新入社員だったOさんが、大きなクライアントの役員を接待することになったときの話です。ふぐが大好物だという情報を得たOさんは、ふぐ専門店を探しましたが、もちろん、ふぐ専門店には一度も行ったことがありません。

 評判の良いお店を見つけ、電話をかけてみましたが、大将は「そんな接待の予約は受け付けない」の一点張り。どうしてもその店で接待したいOさんは、粘り強く交渉すると「とりあえず今夜一人で来店してください」ということで、直接交渉の場を得ることになりました。

 お店に行くと、電話ではぶっきらぼうだった大将が、実際には一品一品丁寧に説明し、絶品のふぐ料理を提供してくれました。接客も素晴らしく、「ここならクライアントも大満足だ」と確信したOさん。

 食事を終え、再び大将に予約を頼むと、彼はこう言いました。

「うちのふぐ、どうだった?」

 Oさんが正直に「クライアントも満足すると思います」と答えると、大将は続けてこう言いました。

「じゃあ予約入れとくよ。大切なクライアントを、行ったこともない店で接待するなんてありえない。自分で確かめた店で、自信を持って接待しないと意味がないだろう。最近の若いもんは、そういう基本がわかってないんだ」

「あの時、大将に接待の基礎を学びました。今でも本当に感謝しています」(Oさん)

 その後、Oさんはこのふぐ専門店を長く利用するようになり、大将は「他のお店にも行ってみなよ」とアドバイスもくれたそうです。

 今も昔も、「最近の若いもんは」というフレーズが使われているのが面白いですね。

 HさんやOさんのように、誰にでもレストランでの失敗エピソードがあるのではないでしょうか?ぜひ、あなたの体験もお聞かせください!

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