離婚の決断をする前に「プチ別居」を選択肢に入れるのはどうでしょうか(画像:OrangeForest/PIXTA)

「離婚をしようと思っています」

「もう何年も家庭内別居しています」

ファイナンシャルプランナーとして家計相談を受ける中で、離婚が話題に上ることは少なくありません。

熟年離婚の件数は過去最高を更新し、「老後は別々の道を」と考える夫婦は少なくありません。しかし、その決断をする前に「プチ別居」を選択肢に入れるのはどうでしょうか。

プチ別居とは?

ここでいう「プチ別居」とは3カ月だけ賃貸物件を借り、お試しで別居生活をすることを指しています。

筆者は「プチ別居」を実行した結果、夫婦関係は良い方向に向かいました。その実体験を2回にわたってお伝えします。

前編の今回は経緯と費用についてです(費用の詳細は記事の最後にまとめています)。


筆者がプチ別居中に過ごした実際の部屋(写真:筆者撮影)

私が3カ月の別居生活を始めたのは今から3年前の夏の終わり、2021年の夏のことでした。

当時は長引くコロナ禍のど真ん中で、在宅ワークやオンライン授業が一気に普及した頃。

我が家は当時、私(当時49歳)と会社員の夫(同57歳)、大学生の息子2人の4人で暮らしていました。その頃の私はというと、平日昼間はひとり自宅で原稿を書いていることが多かったのですが、急に生活時間帯の異なる4人の大人が狭い都内のマンションで一緒にすごす時間が増えました。

これまでと変わらない仕事量に加えて、洗濯の量も食事の支度や買い物の回数も一気に増えたことで、当時の私はとても大きなストレスを抱えることに。

いま振り返れば、やらなくていい家事まで勝手に一人で抱えていたようにも思います。しかし、長年の習慣を変えるのは、当時の自分にとっても家族にとっても簡単なことではありませんでした。

LINEで伝えた「母のはじめての一人暮らし」

そんななかで思いついたのが「3カ月のプチ別居」。私の場合、インターネット環境があればできる仕事が多かったのも幸いでした。

なぜ3カ月だったかというと、本格的な別居と違ってことを荒立てないで済むと考えたから。

ひとり暮らしの体験をするには十分な期間がありながら、元の暮らしに戻りやすいというところが、振り返ってみても「プチ別居」の最大のメリットであるように感じています。

思い悩んだ末、息子たちに「90日間、人生はじめての一人暮らしをしようと思う」とLINEをすると、すぐに「りょうかい」と返事が。

息子たちもいろいろ察していただろうし、そうとしか言えなかったのだと思いますが、そんなこんなで、夫からもOKをもらい、私が3カ月だけ家を出ることになり、夫と息子たちの3人生活が始まりました。

物件を探すうちに見つけたのが、レオパレスのマンスリー契約。出張や単身赴任のビジネスマン向けの家具付き短期賃貸です。これならコストを抑えて3カ月のプチ別居生活が手軽に始められると考えてここに決めました。

レオパレス5つのメリット

レオパレスが3カ月のプチ別居に向いている、おもなメリットは以下の通りです。

1.ウィークリーマンションやマンスリーマンションとして利用可能で、短期賃貸がしやすいこと

2.冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン・電子レンジなど、ひと通りの家電が備え付けられている

3.インターネットが利用可能

4.礼金・敷金が不要

5.光熱費が家賃に含まれており、個別契約が不要

一般的な賃貸物件は、そもそも3カ月という短期では借りられず、契約時に礼金や敷金などが必要です。家具や家電も自分で用意することになり、入居時や退去時の引っ越しもその分大ごとに。加えて、電気・ガス・水道の契約も必要になります。

その点、上記のような条件がそろっているレオパレスなら、初期費用が大幅に抑えられるうえ、引っ越しも簡単。

私が利用したマンスリー短期契約には、レンタル布団も一組ついていたため、引っ越しはスーツケースひとつを持参して、仕事にまつわる書籍や資料、着替えを入れた段ボールを4つ宅急便で送っただけで済みました。


筆者が暮らした実際の部屋。必要な家具・家電は揃っていた(写真:筆者撮影)

なお、レオパレスは初期費用が抑えられる分、家賃は同条件の通常の賃貸物件より割高であるため、長期間の居住には向かない点には注意が必要です。

レオパレスの家賃はエリアや広さ、築年数などにより、物件ごとに価格が設定されてランク付けされています。そして、同じ物件でもどの契約形態を選ぶかによって、家賃やルールが異なる仕組みになっています。

レオパレスでは1年以上の契約は一般の賃貸契約となりますが、それ以外に「マンスリー契約」が選べます。

マンスリー契約では、最短30日から1日単位(最長365日)で利用期間を決めることができ、家賃には光熱費やレンタル布団一組も含まれています。


筆者が実際に過ごした部屋。一人暮らし用の間取り(写真:筆者撮影)

実際にかかった費用の詳細はこちら

当時の私が支払った明細は以下の通りです。


私の場合、3カ月のプチ別居は1カ月あたり10万円で実現できたことに。入居後10日間で購入したものは、カーテン、調理道具や食器、仕事に使うプリンターと、ハンモックでした。それくらい、生活に必要なものはすべてそろっていました。

こうして始まったプチ別居。実際に経験して、自分や家族にどんな変化をもたらしたかについては、明日公開の後編でご紹介します。

(氏家 祥美 : ファイナンシャルプランナー、ハートマネー代表)