【独自】老人ホーム職員30人大量退職し社長連絡途絶える「給料振り込まれず」入居者90人どうなる?激安利用料でオープンわずか1年

写真拡大

ここは1年前にオープンしたばかりの都内の老人ホーム
給料の未払いなどから、30人近くの職員が一斉退職する異常事態となっています。

一体何が起きているのか、音信不通になっている社長の行方を追いました。

東京都内の老人ホームで夜9時半ごろに撮影された映像では、廊下に台車が放置され、おむつやごみを回収するワゴンが置かれていました。

職員の控室には人の姿がありません。

元職員:
(Q.元々職員は)30人くらいが2カ月の間に職員がどんどん辞めてしまっている。

“一気に30人近くのスタッフが辞めた”と「イット!」に情報提供が寄せられたのは、90人以上が入居している都内の住宅型有料老人ホームで起きていた非常事態でした。

職員が一斉退職したその理由は、“給料の未払い”。

元職員:
(給料日の)9月30日に給料支払われなくて、1円も振り込まれていないのが現実。夜勤帯も(入居者)50人くらいを1人で見る状態が続いている。

ちょうど1年前の2023年10月にオープンしたばかりというこの老人ホーム
職員の一斉退職で、入居している高齢者にも大きな影響が出ていました。

映像を見てみると、数少ない職員が夜遅くまで入居者に薬を飲ませて回っていたのか、白湯と薬が並べられた机が廊下に置き去られていました。

入居者の家族からも、「おばがちゃんと食事してるか心配だったので差し入れを届けに来た。終のすみかと思って入ったのに半年で出されてしまうという。正直いって失望してしまってつらい」と不安の声が上がっています。

一体、何が起きたのでしょうか。

この老人ホームの複数の紹介サイトを見ると、入居にかかる費用は、入居一時金が約8万円、月額の利用料は10万8000円ほどと記されています。

介護施設の紹介サイト「LIFULL介護」を運営する小菅編集長によると、東京の場合、老人ホーム月額利用料の相場は20万円前後だといいます。

LIFULL介護編集長・小菅秀樹さん:
入居率を90%ないし95%に持っていかないと、安定した経営っていうのは難しい。

関係者によると、この施設は入所定員187床に対し、入所者は90人ほど。
入居率は50%ほどにとどまっていたといいます。

給料の未払いで、職員たちの生活は深刻な事態に。
元職員は、「『家賃払えないからどうしよう』っていう声はいっぱい聞きます」と話していました。

給料の未払いにとどまらず、運営会社は9月26日に突然施設の閉鎖を貼り紙で通告してきたといいます。

職員たちは運営会社社長に説明を求めましたが、電話をかけてもつながらず、ショートメッセージを送っても全く返信がない状況だといいます。

社長は今どこにいるのか、取材班が行方を追いましたが、運営会社の関係先に社長の姿はありませんでした。

そこで、登記簿に記された自宅とみられる住所を訪ねると、社長の祖母に話を聞くことができました。

運営会社の社長の家族:
(Q.給料未払い)え?全く嫌になっちゃうね、そうなん?本人に電話入れてみますよ。驚きました今、なんで払わないんだろう。

まさかの事態に驚いた祖母は、“社長本人に連絡する”とその場で電話をかけました。

運営会社の社長の家族(社長との電話):
今フジテレビの方が来てて、東京の施設にお給料とか一切払ってないんだって?どう答えれば良いの?

すると、職員への給料未払いについて取材したい旨を伝えてもらいましたが…。

運営会社の社長の家族:
(Q.電話の内容は?)「今弁護士さんと相談しているから、詳細わからないから、今日はお引き取りくださいって言ってください」って言うんですけど。

その後、祖母と社長の間で何度か電話のやり取りがあったものの、直接話を聞くことはできませんでした。

一方、問題の老人ホームでは3日に動きがありました。

出入り業者からの情報提供を受け、区の職員が事実確認のために施設を訪れていたことがわかったのです。

東京都は今後、運営会社に対し、話し合いを求めていく方針だということです。