エヴァ博が六本木に上陸! 4000点以上ものアイテムに囲まれる『エヴァンゲリオン大博覧会』レポート
2024年9月13日(金)から10月22日(火)まで、六本木ミュージアムにて、『EVANGELION CROSSING EXPO ―エヴァンゲリオン大博覧会― 東京凱旋』(通称:エヴァ博)が開催されている。
1995年に放送開始したテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』から2021年公開の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』まで、30年近く愛され続けている『エヴァンゲリオン』シリーズ。その魅力はアニメに限定されず、多くの企業コラボレーションを展開、ファンを増やし続けている。本展は『エヴァンゲリオン』の「モノ」と「コト」のコラボレーション史を紐解く内容で、2022年7月に東京・渋谷ヒカリエでスタートして全国7箇所を巡回、さらにパワーアップして東京に戻ってきた。会場は4000点以上ものアイテムで埋め尽くされ、物販には1600種以上の品がそろうという、まさにエヴァの大博覧会だ。
巨大展示物が大集結!
入場してすぐに、槍やナイフ、初号機の頭といった巨大展示物が目に入る。槍高3.5m、重さ100㎏もの《特大ロンギヌスの槍》や、初号機が使徒のコアに突き刺すシーンを再現した《プログレッシブナイフ》、全国のイベントで展示された《巨大な初号機》など、各地で目玉として展示されてきた作品だ。背景のプロジェクションマッピングは本展用に制作されたものだという。
左:《巨大な初号機》 中央:《特大ロンギヌスの槍》
左:《プログレッシブナイフ》
会場終盤の空間には、ダークトーンのプラグスーツを着て佇む《アヤナミレイ(仮称)等身大フィギュア》が。『エヴァ博』では初めての展示となる。
《アヤナミレイ(仮称)等身大フィギュア》
プラモデルなどのフィギュアが並ぶ空間の初号機は、「チョコエッグ日本の動物シリーズ」などで有名な造形作家の松村しのぶによる作品。エヴァの歴史の中でも初期である1997年につくられたもので、自然の造形物が得意な松村作品らしく身体表現豊かで、今にも動き出しそうだ。
左:松村しのぶによる初号機
天井近くから全体を見下ろす、珍しいカラーリングのエヴァも。こちらは新宿で上演された舞台『エヴァンゲリオン ビヨンド』のマペットで、劇中で実際に使われたものである。本展には多種多様なエヴァが集結しているので、エヴァシリーズの幅広さを実感できるだろう。
舞台『エヴァンゲリオン ビヨンド』のマペット
色やセリフ、メッセージなどでキャラクターを象徴
メイン会場に足を踏み入れると、「キュレーションランウェイ」に多種多様な品々がずらりと並ぶ。ここには面白いもの、珍しいもの、ひねりの効いたものなどを置いているとのことだ。展示物は天井にまであるので、是非見逃さずに鑑賞してほしい。
キュレーションランウェイ
キュレーションランウェイ冒頭にあるのは3種類のハサミ。こちらはエヴァのデザイナーである山下いくとのオブジェで、劇場版レーザーディスクが販売される際、ブックレットに入っていたもの。山下への依頼はイラストだったとのことだが、提出されたのはエヴァの色を象徴するハサミが空間を切り裂く造形物だった。直接キャラクターを使わずとも、カラーリングなどでエヴァを象徴できることを示した最初期の作品と言えるだろう。
《エヴァンゲリオンのカラー表現》山下いくとによるオブジェ(1998)
キャラクターを色で示す手法はレースクイーンの衣装にも見受けられる。各衣装はプラグスーツを再現しているわけではなく、カラーリングだけで機体やパイロットを示している。そのため綾波レイや惣流・アスカ・ラングレーだけではなく、碇シンジや渚カヲルを表現することも可能だ。
奥:レースクイーンの衣裳(左から:真希波・マリ・イラストリアス、碇シンジ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー、渚カヲルを象徴)
エヴァはアパレル関連もおしゃれだ。「STOP! Human Instrumentality Project We need A.T.FIELD!」と描かれたTシャツはビームス T(BEAMS T)とのコラボレーションで実現したもので、尖ったメッセージとデザインがマッチしてスタイリッシュな雰囲気である。ほかにもアンダーカバー(UNDERCOVER)とのコラボアイテムや壁面を覆うTシャツ、エヴァの公式アパレルブランドであるラヂオエヴァ(RADIO EVA)の日常遣いできるアパレルコーナーもある。
左:BEAMS JAPANとのコラボレーションTシャツ 右:アンダーカバーとのコラボアイテム
Tシャツがずらりと並ぶ様子は圧巻
ラヂオエヴァのアパレルコーナー
企業や地域との幅広いコラボも
UCC上島珈琲のミルクコーヒーとエヴァンゲリオンのコラボは、『新世紀エヴァンゲリオン』の中で似た缶コーヒーが登場したのがきっかけだ。UCCのコーナーには、1997年から2020年に至る全てのコラボ缶がずらりと並ぶ。なお、当時はキャラクターの絵が入った飲料の販売は日本初だったそうで、UCCはエヴァにとっても特別な存在とのことである。
UCC上島珈琲のコーナー
会場でひときわ目立つ美麗なカヲル。こちらはリアル脱出ゲーム 歌舞伎町探偵セブン×エヴァンゲリオン『謎のスパイと伝説のホスト』(歌舞伎町エヴァ脱出)で実際に使われたバナーで、カヲルがホストでキーマンだという設定でアドトラックが走ったそうだ。端正だがどこか退廃的なカヲルのビジュアルの魅力が際立つ。
上:リアル脱出ゲーム 歌舞伎町探偵セブン×エヴァンゲリオン『謎のスパイと伝説のホスト』(歌舞伎町エヴァ脱出) のバナー
作中の「特務機関NERV(ネルフ)本部」がある「第3新東京市」は箱根を舞台としている。エヴァと箱根の縁は深く、箱根町観光協会がヴァンゲリオンを取り扱う観光パンフレットを制作、旧仙石原中学校を作中の「第3東京私立第壱中学校」に見立てて『:碇』の上映会を開催するなど、さまざまなコラボを行ってきた。こうした事例は、エヴァの世界観を介して地域の魅力をより広く紹介できることを示している。
箱根とのコラボは歴史が深く、展開も幅広い
オリジナルグッズやカフェメニューも充実
物販コーナーはまるで博覧会の一部のように充実しており、展示されていた品の中にはここで購入できるものも。エヴァ博は会場ごとに地域とのコラボ商品が登場するが、今回は六本木交差点の2大シンボルともいえる「アマンド六本木店」「六本木ロゴ」とのコラボが実現した。魅力的なグッズが満載なので、じっくりと吟味したい。
物販コーナーも大博覧会の一部
「アマンド六本木店」「六本木ロゴ」とのコラボなど、オリジナルグッズも充実
エヴァの世界観を示す要素の一つにセリフがあるが、今回は名セリフにフォーカスしたコラボカフェも展開されている。「『あんた、バカぁ?』アスカの炎のチリチーズホットドッグ」や「『笑えばいいと思うよ』シンジの爽やかブルーレモネードフロート」など、キャラクターのセリフと特徴を捉えたこだわりのメニューが登場。セリフをコンセプトとするコラボカフェはエヴァ博では初である。
コラボカフェのメニューはいずれも凝っている
手前:「『あんた、バカぁ?』アスカの炎のチリチーズホットドッグ」。プレート上のアスカのステッカーも食べることができる。
「『笑えばいいと思うよ』シンジの爽やかブルーレモネードフロート」。セリフのフラッグがついているのも嬉しい。
会場の外にもお楽しみがある。特別ARコンテンツ「エヴァ初号機XR六本木出現!」企画では、ダウンロードした専用アプリ「XR CHANNEL」を六本木ミュージアムの体験ポイントで起動させると、初号機がミュージアムの屋根から見下ろしてくるのだ。初号機が実際に現れたかのような迫力ある画像を堪能しよう。
「エヴァ初号機XR六本木出現!」企画の画像は迫力満点
『エヴァンゲリオン』シリーズは、テレビアニメに留まらず、漫画や映画や舞台など広く展開され、企業や地方自治体とのコラボレーションを実現させてきた。エヴァが幅広い影響力を持つのは、情報量の多さや内容の深さ、ビジュアルイメージの鮮烈さやセリフの強さなど、魅力もまた幅広いからだろう。エヴァというコンテンツの魅力と、それにまつわるアイテムを考案するつくり手たちの豊かな発想力を実感する展示をお見逃しなく。
(C)カラー
文・写真=中野昭子