出会い系アプリは所得格差の拡大を助長している可能性がある
1960年から2021年までの結婚に関するデータを用いた調査により、「出会い系アプリ」の普及によって人々はより「自分に近い人」と結婚する傾向が強くなっており、1980年以降に見られる家計の不平等拡大にもつながっている可能性が指摘されています。
Marriage Market Sorting in the U.S.- Working Papers - St. Louis Fed
https://research.stlouisfed.org/wp/more/2023-023
Has Online Dating Made a Difference to Marriage Matches?
Online Dating Caused a Rise in US Income Inequality, Research Paper Shows - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-09-14/online-dating-caused-a-rise-in-us-income-inequality-research-paper-shows
連邦準備銀行の研究チームによると、出会い系アプリで出会って結婚した夫婦の数は、1998年はわずか2%でしたが、2008年には20%に増加し、2017年にはほぼ半数にまで増えているとのこと。
出会いの変化が結婚に変化をもたらしたのかどうなのか、研究チームは「人々はどのような人を好むのか」「パートナーを探すときに、人々はどれぐらい選択的なのか」「異なる属性の相補性や代替可能性」「所得格差は人々の選択性にどれぐらい影響を受けるのか」などについて調査を行いました。データのもとになったのは2008年から2021年にかけてのコミュニティ調査、および1960年と1980年の国勢調査です。
理論的には、出会い系アプリを用いると出会う相手は現実の知り合いに限らない範囲に広がるように思えますが、調査の結果、人々が好んだのは「賃金や教育レベルが自分と同じレベルの人」であることがわかりました。ニュースサイトのBloombergは、検索フィルタリングにより高所得者は別の高所得者と結婚する可能性が高いと指摘しています。
研究では、所得格差への寄与は「同レベルの学歴による結婚」が35%、「同レベルのスキルによる結婚」が30%、「同レベルの収入による結婚」と「同年齢帯の結婚」が15%、「同人種の結婚」が5%だったとのこと。
なお、2008年から2021年までのデータの傾向としては、男性は学歴を、女性は年齢を、それぞれ少しだけ重視するようになっていて、人種については年を経るごとにあまり気にされなくなっていったそうです。