道ばたで拾った石をドアストッパーに使う人がいますが、時にはそのドアストッパーが隕石(いんせき)だったり不発弾だったりしたという事例があります。新たに、ルーマニアの民家でドアストッパーに使われていた石が、なんと約100万ユーロ(約1億5700万円)もの価値を持つ世界最大級の琥珀(こはく)だったことが報じられました。

Elderly Romanian woman used amber nugget worth over $1 million as a doorstop for decades | International | EL PAÍS English

https://english.elpais.com/international/2024-09-03/elderly-romanian-woman-used-amber-nugget-worth-over-1-million-as-a-doorstop-for-decades.html



Rock Used as Doorstop For Decades Turns Out to Be Worth Over $1 Million : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/rock-used-as-doorstop-for-decades-turns-out-to-be-worth-over-1-million

ルーマニア南東部のブザウ県コルツィ村に住んでいた女性は、かつて川床で発見した深い赤みがかった色の石をドアストッパーとして長年使っていました。女性はこの石に価値があるものだとは思っていなかったようで、かつて女性の家に入った泥棒もこの石には目もくれず、他の安い宝石類を盗んでいったそうです。

この女性が1991年に亡くなると、家を相続した親戚がこのドアストッパーも受け継ぎました。当初、親戚もドアストッパーはただの石だと思っていたそうですが、よく調べてみた結果この石が琥珀の一種なのではないかと気付きました。

この琥珀を買い取ったルーマニア当局は、半貴石の研究に特化したセクションがあるポーランドのクラクフ歴史博物館に調査を依頼しました。クラクフ歴史博物館はすぐに琥珀の真正性を確認し、3850万〜7000万年前のものであると推定しました。

以下の写真が、実際に女性がドアストッパーとして使用していた琥珀です。深い赤みがかった色合いをしており、重さはなんと3.5kgもあります。なお、琥珀は天然樹脂が化石化したものであり、黄色や飴色、赤茶色といった温かみのある色合いが特徴です。



記事作成時点で琥珀が収蔵されているブザウ県立博物館のダニエル・コスタケ館長は、「この発見は科学レベルと博物館レベルの両方で大きな意味を持っています」と述べています。

この一件を報じたスペインの日刊紙・EL PAÍSによると、この琥珀は世界最大のものの1つであり、価値はおよそ100万ユーロほどだとのこと。琥珀は速やかにルーマニアの国宝に指定されたと報じられています。

なお、コルツィ村は琥珀の産出地として知られており、産出した琥珀や採掘に関する資料が展示されている琥珀資料館があるほか、1948年に閉山されるまでは琥珀鉱山もあったとのことです。