アップル、新ボタン搭載のiPhone 16シリーズ発表
iPhone 16のラインアップは15を踏襲した4モデル展開。カメラコントロールボタンが新設されたほか、iPhone 16、16 Plusではカメラレンズ周りのデザインが変更されている(写真:アップル)
アップルは日本時間9月10日午前2時から、予告していた新製品発表イベント『It's Glowtime.(時が満ちる。)』を開催した。
多くの人が注目したiPhoneについては、例年どおり「iPhone 16」、「iPhone 16 Plus」および「iPhone 16 Pro」、「iPhone 16 Pro Max」の4モデルが発表された。
またも大きく飛躍したカメラ機能
ここ数年、iPhoneのハードウェア面の機能強化はカメラに集中している。
上位のProモデルは2019年のiPhone 11 Pro以降、背面にメイン(広角)、望遠、超広角のトリプルカメラを搭載しており、センサーシフト式手ぶれ補正やナイトモード、4800万画素センサーの採用、HDRビデオ撮影、テトラプリズムを採用した5倍望遠レンズの搭載(iPhone 15 Pro Maxのみ)など、毎年なにかしら目立つ機能強化を盛り込んできた。
【写真】メインカメラのレンズが縦に並んだiPhone 16。のメインカメラはレンズが縦に並んだ。新設された「カメラコントロール」ボタンなど
今年のモデルでまず外観上の変更として目に飛び込んでくるのは、iPhone 16とiPhone 16 Plusにおける背面カメラのレンズ配置が、iPhone 12以来の縦配列に戻ったところだ。
これは空間ビデオ撮影に対応するためで、発表では新しく空間フォトの撮影も可能になるとアナウンスされた。
iPhone 16のメインカメラはレンズが縦に並んだ(写真:アップル)
既存のiPhoneでは(没入感のある動画を楽しめる)空間ビデオの撮影は、iOS 17.2以降をインストールしたiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxだけが対応していたが、メインカメラと広角カメラのレンズ配置変更によりiPhone 16と iPhone 16 Plusでも空間ビデオ(3D動画)の撮影が可能になった。
iOS 18では、サードパーティ製のカメラアプリでもアップルがリリースしたAPIを用いることで、空間ビデオの撮影が可能になる(APIとは、あるソフトウェアが持つ機能を、別のソフトウェアから利用したいときに橋渡し役を担う機能の総称)。つまり、今まで以上に空間ビデオを撮影しやすくなったということだ。
ただ、空間ビデオが撮影できても、現状ではApple Vision ProやMeta Quest 3などの対応デバイスがなければ視聴はできない。一般的なユーザーにどれほどの需要があるのかは正直わからない。
iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxのカメラでは、超広角カメラの画素数が以前の1200万画素から4800万画素にアップグレードされている。
iPhone 16 Proの背面。印象は15 Proと大きくは変わらない(写真:アップル)
iPhone 16 Proは、第2世代クアッドピクセルセンサー搭載の48メガピクセル「Fusion」カメラを採用。これにより、より高画質なProRAWおよびHEIFフォーマットでの写真撮影でシャッターの遅延時間を“ゼロ”にできる。また、超広角カメラにはオートフォーカスを備えた48メガピクセルのクアッドピクセルセンサーを搭載。iPhone 16 Pro と iPhone 16 Pro Maxの双方で5倍テトラプリズム望遠カメラが採用されている。
新設された「カメラコントロール」ボタン
すべての新iPhoneで、本体右側面の電源ボタンの下方に「カメラコントロール」ボタンが追加された。このボタンは横画面で撮影する際に右手人差し指で押しやすい位置に搭載されており、これを押せば素早くカメラアプリを立ち上げて撮影が行える。
新設された「カメラコントロール」ボタン(写真:アップル)
一般的なカメラのシャッターボタンのように半押し機能を備えており、フォーカスや露出のロックが可能。さらに軽く2度押しすれば、設定項目を切り替えられ、ボタン上で指をスライドさせてズームイン・アウトしたり設定値を調整できる。なお、カメラコントロールの一部機能はアップデートで提供される形となる。
ちなみにiPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Maxで初めて搭載されたアクションボタンは、今年のiPhone 16全モデルに拡大採用されている。
15で新設されたアクションボタンに続き、また新たなボタンを追加したアップル。こちらは半押しやスライドにも対応している(写真:アップル)。
A18 / A18 Proチップを搭載
性能に直結するプロセッサーは、iPhone 15シリーズではA16 Bionic、iPhone 15 ProシリーズではA17 Proチップと世代が異なっていたのに対し、iPhone 16および16 PlusではA18、iPhone 16 Proと16 Pro MaxにはA18 Proチップが採用され、同一世代にそろえられた。
iPhone 16 Proは、よりハイグレードなA18 Proチップを搭載(写真:アップル)
この2つのチップの差はA18 ProのGPUコア数がA18に比べて1つ多い(6コア)というものだ。通常、こういった細かい仕様の違いは、半導体チップの製造過程における品質の違いで選別され、必要な性能を満たしていなくとも下位モデルとしてなら使えるチップをそちらに仕分けすることで発生している。これにより、個別設計のチップを製造するよりも全体のコストが削減できるわけだ。
iPhone 16およびiPhone 16 Plusの外形寸法は、すべてiPhone 15シリーズと同じサイズとなっている。しかし、iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxはディスプレイのベゼル部分を薄くし、その分画面サイズを6.3インチおよび6.9インチに0.2インチ(約5mm)ずつ拡大した。
画面サイズが約5ミリ、大きくなったiPhone 15 Pro、15 Pro Max(写真:アップル)
ストレージ容量に関してはiPhone 16とiPhone 16 Plusが最大512GB、iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxは最大1TBまでと、従来と変わらない。
通信に関しては、より高速な5Gモデムの搭載やまだ市場に登場したばかりのWi-Fi 7のサポートなどが盛り込まれ、さらに高速なデータ通信が可能となっている。
ラインナップとカラーバリエーション
iPhone 16 とiPhone 16のカラーはブラック、ホワイト、ピンク、ティール、ウルトラマリンの5色を用意。ブラックを除けばどれも明るい色で、若い世代には支持されそうだ。一方、iPhone 16 ProおよびiPhone 16 Pro Maxには、新色として「デザート・チタニウム」と呼ばれる、赤みがかったゴールド系のカラーが用意された。ほかのブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ナチュラルチタニウムを含め、カラーラインナップは落ち着いた印象だ。
iPhone 16 Proの新色「デザート・チタニウム」(写真:アップル)
発売時価格はiPhone 16が12万4800円から、iPhone 16 Plusは13万9800円から。iPhone 16 Proが15万9800円から、iPhone 16 Pro Maxは18万9800円からと、いずれもiPhone 15シリーズと同じ水準となっている。
なお、今回のイベントでiPhoneとの親和性が高い製品である「Apple Watch Series 10」、「Apple AirPods 4」も発表された。さらに「Apple Watch Ultra 2」および「AirPods Max」に新色などが追加されている。
本体の厚みが薄く、画面が少し大きくなったApple Watch Series 10(写真:アップル)
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(タニグチ ムネノリ : ウェブライター)