山田祥平のニュース羅針盤 第454回 スマホに登録したマイナンバーカード、もしスマホを失くしたらどうなる?
何かと話題になることが多いマイナンバーカードだが、携行することで伝家の宝刀のようにさまざまな場面で利用できるようになると、その便利さを痛感するのと同時に、パスワードで保護されているのはわかっていても、もし落としたらどうしようという不安がつきまとう。これは単機能の運転免許証などの携行とはずいぶん異なる不安だ。
マイナンバーカードの機能はスマートフォンに“コピー”することができる
○カード自体の紛失や盗難は電話で停止を依頼
マイナンバーカードを紛失、盗難などした際には、その機能を停止するために、電話で問い合わせ用フリーダイヤルに電話して機能を停止したうえで、警察に遺失届、盗難届を提出し、その受理番号を控えて居住地の市区町村に届け出る必要がある。ちなみに一時停止して、なくしたはずのカードが見つかった場合は、一時停止の解除もできる。
ここまですればひとまず安心で、続いて再交付申請だ。本人が窓口に赴くことが求められ、また、申請から交付までには2〜3カ月かかるとされている。要するに冗談じゃないくらいに時間がかかるのだ。
これで紙の保険証がなくなってマイナンバーカードを使うようになったりすると、なくしたら数カ月は病院に行くのにも不便してしまうことになる。さすがにそれではまずいだろうということで、政府ではこの秋にも最短5日で再発行できるようにすべく作業を進めているようだ。
そういうことの不安もあって、運転時は必ず携行しなければならない運転免許証と違い、マイナンバーカードは自宅に大事に保管しておくというのが安心だ。だが、それでは肝心なときに身分証明や各種サービスのために使えないということで本末転倒なことになってしまう。
○スマホを失くしたら新スマホに電子証明書を再インストール
だが、スマホに電子証明書をインストールしておけば手持ちのスマートフォンがマイナンバー代わりに使えるようになる。
スマホ用電子証明書搭載サービスと呼ばれるもので、マイナポータルアプリを使い、手持ちのスマートフォンに電子証明書をインストールできる。早い話がマイナンバーカードのコピーをスマホに内蔵するということになる。具体的にはマイナポータルアプリをインストールして、マイナポータルにログインし、「スマホ用電子証明書を申請する」ボタンをタップするだけでいい。
これを使えば、全国各地のコンビニで、住民票の写しや印鑑証明を発行したり、戸籍証明書を入手したりすることが、マイナンバーカードが手元になくても、スマホで代替できるようになる。このサービスは2023年5月から提供されている。
電子証明書をインストールしたスマホを売却したり、修理に出したりするときには、その証明書を失効させたり一時利用停止させたりすることができる。スマホの初期化では削除されることはないので、自分で明示的に操作する必要がある。
一方、機種変更などの際には、新しいスマホに電子証明書をインストールすると、古いスマホの電子証明書は自動的に失効する。これならスマホを紛失しても、別のスマホで新たに電子証明書をインストールすればいい。何しろ本物のマイナンバーカードは自宅に大事に保管されているのだから、何があっても大丈夫だ。
○サービスは便利なのに対応スマホが少ないのが難点
いろいろとよく考えられていて便利に使えるスマホ用電子証明書サービスだが、対応しているスマホが著しく少ない。まず。日本人スマホユーザーのおそらく半分程度が使っているというiPhoneは未対応で来春(2025年春)の対応が予定されている。また、Androidスマホの場合も新機種への対応がとても遅い。
たとえばGoogle Pixel 8は2023年10月12日の発売だったが、証明書対応は2024年3月1日だった。また、先日発売されたPixel 9の対応予定は来年(2025年)2月以降とされている。ざっくり発売後半年待つ必要がある。Galaxy S24、Z Flip6やZ Fold6などは9月中旬以降なので、えらく違う。そのあたりにも留意が必要だ。
もうすぐ運転免許証を代替することにもなるマイナンバーカードだが、アップデート頻度が高いスマホでの利用が中断することがあるのはどうなのだろうか。機能が機能だけに、検証などでいろいろとたいへんなのはわかるが、メーカーなどとも協力のうえ、新機種発売後、できるだけ早期に対応してもらえることを望みたい。
著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら
マイナンバーカードの機能はスマートフォンに“コピー”することができる
マイナンバーカードを紛失、盗難などした際には、その機能を停止するために、電話で問い合わせ用フリーダイヤルに電話して機能を停止したうえで、警察に遺失届、盗難届を提出し、その受理番号を控えて居住地の市区町村に届け出る必要がある。ちなみに一時停止して、なくしたはずのカードが見つかった場合は、一時停止の解除もできる。
ここまですればひとまず安心で、続いて再交付申請だ。本人が窓口に赴くことが求められ、また、申請から交付までには2〜3カ月かかるとされている。要するに冗談じゃないくらいに時間がかかるのだ。
これで紙の保険証がなくなってマイナンバーカードを使うようになったりすると、なくしたら数カ月は病院に行くのにも不便してしまうことになる。さすがにそれではまずいだろうということで、政府ではこの秋にも最短5日で再発行できるようにすべく作業を進めているようだ。
そういうことの不安もあって、運転時は必ず携行しなければならない運転免許証と違い、マイナンバーカードは自宅に大事に保管しておくというのが安心だ。だが、それでは肝心なときに身分証明や各種サービスのために使えないということで本末転倒なことになってしまう。
○スマホを失くしたら新スマホに電子証明書を再インストール
だが、スマホに電子証明書をインストールしておけば手持ちのスマートフォンがマイナンバー代わりに使えるようになる。
スマホ用電子証明書搭載サービスと呼ばれるもので、マイナポータルアプリを使い、手持ちのスマートフォンに電子証明書をインストールできる。早い話がマイナンバーカードのコピーをスマホに内蔵するということになる。具体的にはマイナポータルアプリをインストールして、マイナポータルにログインし、「スマホ用電子証明書を申請する」ボタンをタップするだけでいい。
これを使えば、全国各地のコンビニで、住民票の写しや印鑑証明を発行したり、戸籍証明書を入手したりすることが、マイナンバーカードが手元になくても、スマホで代替できるようになる。このサービスは2023年5月から提供されている。
電子証明書をインストールしたスマホを売却したり、修理に出したりするときには、その証明書を失効させたり一時利用停止させたりすることができる。スマホの初期化では削除されることはないので、自分で明示的に操作する必要がある。
一方、機種変更などの際には、新しいスマホに電子証明書をインストールすると、古いスマホの電子証明書は自動的に失効する。これならスマホを紛失しても、別のスマホで新たに電子証明書をインストールすればいい。何しろ本物のマイナンバーカードは自宅に大事に保管されているのだから、何があっても大丈夫だ。
○サービスは便利なのに対応スマホが少ないのが難点
いろいろとよく考えられていて便利に使えるスマホ用電子証明書サービスだが、対応しているスマホが著しく少ない。まず。日本人スマホユーザーのおそらく半分程度が使っているというiPhoneは未対応で来春(2025年春)の対応が予定されている。また、Androidスマホの場合も新機種への対応がとても遅い。
たとえばGoogle Pixel 8は2023年10月12日の発売だったが、証明書対応は2024年3月1日だった。また、先日発売されたPixel 9の対応予定は来年(2025年)2月以降とされている。ざっくり発売後半年待つ必要がある。Galaxy S24、Z Flip6やZ Fold6などは9月中旬以降なので、えらく違う。そのあたりにも留意が必要だ。
もうすぐ運転免許証を代替することにもなるマイナンバーカードだが、アップデート頻度が高いスマホでの利用が中断することがあるのはどうなのだろうか。機能が機能だけに、検証などでいろいろとたいへんなのはわかるが、メーカーなどとも協力のうえ、新機種発売後、できるだけ早期に対応してもらえることを望みたい。
著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら