【山村 佳子】浮気を繰り返す”恋愛強者”の夫の妻が戦慄。息子のインスタに届いた「謎のDM」

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交際経験のない20代男性は46%

最新の国勢調査(2020年)の結果の補正版を反映しつつ、厚生労働省がまとめた最新の『厚生労働白書』(2023年)をみると、「生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合)」は、年々上昇を続けており、1985年まで男女ともに5%を下回っていたが、2020年調査では、男性が26.7%、女性が17.5%に達していることがわかった。

2023年にリクルートが運営する『リクルートブライダル総研』が恋愛・結婚の実態について調査した『恋愛・結婚調査2023』をみると、20〜40代未婚者のうち、恋人がいる人は29.7%だった。交際経験のない20代男性は46.0%、女性は29.8%であり、調査開始以来(2017年)最高値であることがわかった。

データをみると、恋愛に興味がある人が減っていると見られるが、街にはカップルがおり、公園には多くの子どもたちが遊んでいる。東洋経済オンラインの記事にて、荒川和久さんは、「モテる人同士が恋愛と結婚をしている」と分析をしていた。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「男女ともに、“恋愛強者”と呼ばれている人同士が、恋愛を繰り返し、家族を傷つける事例が増えています」と言う。

山村さんに依頼がくる相談の多くは「時代」を反映している。同じような悩みを抱える方々への問題解決のヒントも多くあるはずだ。個人が特定されないように配慮をしながら、家族の問題を浮き上がらせる連載が「探偵が見た家族の連載」だ。

今回山村さんのところに相談に来たのは、43歳の真佐子さんだ。「夫が、また浮気をしました。いろいろあって、今度こそ離婚したい。証拠を押さえてください」と山村さんに連絡をしてきた。真佐子さんは実は、4回目の調査依頼で……。

私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。

依頼4回目の「常連」

今回の依頼者・真佐子さんは、私たちのリピーターです。私たちは、恋愛が好きで得意な“恋愛強者”を配偶者に持った方から複数回の依頼を受け事例が増えています。しかし、多くの人が2回調査して、離婚するか浮気癖を受け入れるかどちらかの道を選ぶのですが、真佐子さんは過去に3回、調査を依頼され、今回が4回目になります。

真佐子さんは28歳のときに、大手企業に勤務する同じ年齢の夫と結婚します。夫は一流大学を卒業し、人脈も豊富な営業部のエース社員で、背が高く容姿端麗。真佐子さんは当時、派遣社員だったのですが、容姿を磨き、英会話とワインを猛勉強し、彼の妻の座を射止めます。

寿退社してから翌年に長男が、3年目に長女が生まれ、順風満帆な生活をしているように見えていました。

しかし実情は、夫から「女は家を守れ」と言われ、専業主婦の道を選びます。夫から家事も育児も丸投げされ、無給のハウスキーパー状態でこき使われていたのです。さらに、近くに住む義母からダメ出しされ、夫になんとかしてほしいと言うと「俺の親の言うことは間違っていない」と放置。夫は仕事と浮気三昧の生活を続けます。

さらに女性とのデート費用は夫が支払うのに、家族には満足にお金を渡さない。真佐子さんが働きたいと言っても「お前みたいなバカが仕事をしても失敗するだけだ」と言われていました。

結婚8年目のとき、将来に不安を覚えた真佐子さんは、夫から“働く許可を得る”ために、私たちに調査を依頼。浮気の証拠を押さえ、「将来が不安だから働く」と夫に交渉。真佐子さんは、派遣社員から社会復帰をします。その後、いずれ離婚することをぼんやりと考えつつ、2回の浮気の証拠を押さえたことがありました。

今回は離婚を成立させるための4回目の依頼になります。

モラハラ&経済DVから脱出した姿で

カウンセリングルームに来た真佐子さんは、最初に依頼に来た7年前とは、別人のようでした。当時は、毛玉だらけのトレーナーに擦り切れたデニム、ヘアサロン代の節約のためにセルフカットしたヘアスタイルでした。典型的な経済DVを受けている女性の姿をしており、「これから子供たちにお金もかかるし、パパが必要だと思うから」とずっと泣いていました。有名ブランドの古びたバッグのハンドルを握りながら、「こういうものを買ってくれたいい主人だったんです」と言いながら帰っていった姿を思い出しました。調査費用も、夫に内緒で動かせるお金がなく、真佐子さんの友達が建て替えたのです。

しかし、今は、正社員になり、営業としてバリバリ働いています。ヘアスタイルも美しく、ベージュのジャケットが似合う颯爽とした姿です。

「15年前の結婚当初は、自分に自信がなかったんです。私を否定する親に育てられ、親にそっくりな男と結婚“していただいて”、どんどん不幸になっていった。でも、子供を守らなくてはという気持ちから、一念発起。夫も“僕が間違っていた”と謝罪し、仕事を再開することができました。以降、モラハラ発言をするたびに注意をしていたら、今はほとんどなくなりました」

真佐子さんの過去3回の調査を通じて、夫に対して愛情があることは知っていました。夫は背が高く容姿端麗で、資産家の息子です。真佐子さんは「浮気男ですが、やっぱり魅力的ではあるんです」と揺れる思いを語っていました。

「最初の調査は夫に結果を見せましたが、2回目、3回目と調査をしたことは、夫には秘密にしています。それは、夫の浮気は、“言ってもしょうがない”と私が諦めたから。それをいいことに、夫はいつも誰かと浮気しているんですよ」

「年下の可愛い女の子が好きなんです」

夫は頭がよく、発言が的確で自分の魅力をよく知っている。基本的に育ちがいいから、素朴で優しいところもある。自分の思い込みをナチュラルに相手に押し付けるから、対象になった人はその考え方に支配されてしまうところがあります。

「かつてのモラハラも“俺は間違っていない”という態度を取るから、私は支配されてしまった。おそらく、浮気相手の女性に対しても“君は俺に恋をする”などと自信たっぷりに言っているんでしょうね。そして、女性はすぐに夫に恋をして、ホテルに行くんだと思います。仕事ができるのも部下に対して“そのくらいの結果を出して当たり前だろう”と言うからみんな夫のために頑張ってしまうんだと思います。夫のような傲慢な人がどんどん幸せになって、人に配慮したり遠慮する人が不幸になる社会って、おかしいですよね」

真佐子さんが、今回、私たちに調査をしたのは、離婚をするためです。

「夫は年下の可愛い女の子が好きなんです。その女性のことを愛しているのではなく、“俺はモテるメスをゲットした最上位のオスだ”という自分を確認したいから。あとは、自分に恋をしている女性を支配するのが好き。最初こそ、食事を奢りいいホテルに泊まるのですが、だんだん雑に扱うようになる。そして、飽きると捨てるんですよ。最初は浮気も短期で終わっていたのですが、最近は長引くようになった。そうすると女性の方でも未練と執着が生まれます。そういう女性が子供に危害を及ぼさないか、心配になってきたのです」

真佐子さんは言いにくそうにしながら、「夫の浮気相手が、息子にちょっかいをかけてきたんです」と続けます。

息子のインスタに謎のDMが

「14歳の息子は、母親の私から見てもかなりカッコいいです。サッカーの選抜選手で勉強もでき、学校でもモテます。そんな息子が“よく知らない女性から、InstagramのDMが来た”と言ったので見せてもらうと、夫の浮気相手と思しき人から、“カッコいいね!試合見たよ”などのメッセージが送られてきていたのです」

真佐子さんは、それに対して戦慄、危機感を覚えます。夫は「誰もが俺に好意的」という自信がある。だからこそ脇が甘い。これはもしかすると……。

「また、最近、不自然な朝帰りも続いています。絶対に夫が行かない場所のレシートが発見されました。そこには、500mlのビール1本のみ購入した履歴があったんです。これは、夫が恋愛末期になった女性に対して、雑に扱っている証です。夫は女性の家を無料のラブホのように使い、自分のぶんだけの飲み物を買い、そこに行く。女性は手料理を用意しており、それを食べ、性交渉したら終電で帰っている風景がありありと浮かんだんです」

女性は夫の歓心を得たいために、尽くす。そうするほど夫は彼女を雑に扱うようになる。女性の逆恨みや不満は、おそらく真佐子さんや子供達に向く。息子へのDMは復讐の第一歩なのかもしれない。それなら息子に危害を加えられる前に縁を切りたいという思いがあるのだと感じました。

「夫は毎週金曜日に終電で帰ってきます。この日に調査をお願いします」

◇夫は確かに「恋愛強者」。魅力があるからこそモテるのだろうけれど、真佐子さん以外の女性と「安心した関係」は築けているのだろうか。恋愛強者は「強い」というよりも、そういう状況を確認しないと自分の価値を確認できない弱さがあるのかもしれない。

調査の結果と真佐子さんの決断は後編「「息子にDM送った女性」と “恋愛強者”43歳夫のとの浮気の実情、モテ男の呆れた“その後”」にて詳しくお伝えする。

「息子にDM送った女性」と “恋愛強者”43歳夫のとの浮気の実情、モテ男の呆れた“その後”