Googleの共同設立者で元CEOのエリック・シュミット氏が「GoogleがAI競争で遅れをとっているのはリモートワーク施策が原因だ」と批判しましたが、その後に自身の発言を撤回したとアメリカ経済紙のWall Street Journalが伝えています。

Exclusive | Eric Schmidt Walks Back Claim Google Is Behind on AI Because of Remote Work - WSJ

https://www.wsj.com/tech/ai/google-eric-schmidt-ai-remote-work-stanford-f92f4ca5



Video of Eric Schmidt blaming remote work for Google's woes mysteriously vanishes | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/08/14/video-of-eric-schmidt-blaming-remote-work-for-googles-woes-mysteriously-vanishes/

シュミット氏はスタンフォード大学で行われたテーマディスカッションの中で、GoogleとOpenAIの競争についての質問に答える形で、Googleのリモートワーク政策を批判しました。

シュミット氏は聴講生たちに向けて、「競争の激しいスタートアップ環境で成功するにはオフィスでの勤務が必要不可欠」と強調し、「大学を卒業して会社を設立する場合、他のスタートアップと競争するのであれば、週に1日だけ出社してリモートワークをさせるようなことはしないだろう」と述べました。

そして、シュミット氏は「Googleはワークライフバランスと早く帰宅すること、そしてリモートワークをさせることが勝利よりも重要だと判断した」と語り、GoogleがAI企業との競争で遅れを取っているのはリモートワーク施策にあると主張しました。



確かに新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、さまざまな企業が自宅勤務となるリモートワークを推奨しました。しかし、Googleは完全なリモートワークを認めておらず、2023年6月には週3日のオフィス勤務を従業員に義務づけています。

Googleが完全リモートワークを原則禁止して週3日は出勤することを勤務評価に含める方針 - GIGAZINE



また、Googleの競合企業であるOpenAIも同様の施策を採用していることから、「リモートワークによってGoogleは競争力を失った」というシュミット氏の主張には矛盾が生じます。

シュミット氏の講演動画はYouTubeに公開され、再生回数は4万回を越えていましたが、記事作成時点で非公開となっています。なお、動画内でシュミット氏は「講演内容はオフレコである」ことを強調しており、司会からカメラで撮影していることを告げられるとやや驚いた様子を見せていたとのこと。

シュミット氏はIT系ニュースサイトのTechCrunchに宛てたメールの中で、「私はGoogleとその勤務時間について誤った発言をしました。間違いを後悔しています」と述べ、反省の意を表明しています。