2024年7月19日に発生したCrowdStrike製セキュリティソフトのアップデート不具合で、世界中のWindows搭載デバイスがクラッシュしました。この影響で5億ドル(約730億円)もの損害を被ったアメリカのデルタ航空がMicrosoftとCrowdStrikeに損害賠償を求めた件について、Microsoftは「デルタ航空には障害発生直後に無償で支援を申し出たが、何度も断られた」と反論しています。

Microsoft fires back at Delta after outage, says airline declined help

https://www.cnbc.com/2024/08/06/microsoft-fires-back-at-delta-after-outage-says-airline-declined-help.html

Microsoft says Delta ignored Satya Nadella’s offer of CrowdStrike help - The Verge

https://www.theverge.com/2024/8/6/24214371/microsoft-delta-letter-crowdstrike-response-comments

CrowdStrike製セキュリティソフトのアップデート不具合で「Windowsがブルースクリーンになり、強制的に再起動を繰り返す」というトラブルが発生し、デルタ航空は4000便以上の欠航を余儀なくされました。

CrowdStrike関連の機能停止でデルタ航空は4000便以上をキャンセル、病院や政府機関にも甚大な影響を及ぼしている - GIGAZINE



デルタ航空のエド・バスティアンCEOは経済メディア・CNBCによるインタビューの中で、障害発生から5日で5億ドル(約725億円)もの損害が発生したことを明らかにし、MicrosoftとCrowdStrikeに対して損害賠償を求めると述べました。

CrowdStrike問題で5000便以上が欠航になったデルタ航空が5億ドルの損害賠償請求へ - GIGAZINE



バスティアンCEOはMicrosoftを「不安定」と表現し、「Appleで大規模な障害が起きたのを最後に聞いたのはいつですか?」と問いかけ、Microsoftのシステムの信頼性を批判。さらにバスティアンCEOは、24時間365日の運用環境に対して十分なテストを経ていないソフトウェアを導入することの危険性を指摘し、テクノロジープロバイダーの責任を強調しました。

しかし、弁護士のマーク・チェッフォ氏はMicrosoftを代表してデルタ航空の弁護士に宛てた書簡のなかで、「Microsoftは、CrowdStrike事件の影響に関してデルタとその顧客に同情しています。しかし、貴職の書簡とデルタ航空の公式コメントは不完全で、虚偽であり、誤解を招くものであり、Microsoftとその評判を傷つけるものです」と述べました。

チェッフォ氏によれば、Microsoftは障害発生直後から無償で支援を申し出ていましたが、デルタ航空は繰り返しこれを断ったとのこと。さらに7月24日にはMicrosoftのサティア・ナデラCEOがバスティアンCEOに直接メールを送ったにもかかわらず、返信がなかったそうです。



加えて、Microsoftはデルタ航空のIT基盤の近代化が遅れていると指摘。特に障害の影響を大きく受けた搭乗員のスケジューリングシステムは、IBMやOracleなど他のプロバイダーのシステム上で動作していたため、Microsoftの支援は効果的ではなかった可能性があると主張しました。また、アメリカン航空やユナイテッド航空などの競合他社がより迅速に復旧できたことを指摘し、デルタ航空のIT基盤の問題を強調しました。

Microsoftは、デルタ航空が訴訟を提起した場合に備えて関連文書の保存を要求しており、法廷で争うのであれば徹底して抗戦する構えを見せています。