なぜ「乗り物酔い」起こる? “体質”だけが原因ではない! 有効な「予防法」と「対処法」とは
不快な「乗り物酔い」 対策は?
クルマに乗ると「乗り物酔い(クルマ酔い)」してしまう人もいますが、乗り物酔いにはどういったメカニズムや原因があるのでしょうか。
また、乗り物酔いを起こさないための対策や、乗り物酔いを軽減させるコツはあるのでしょうか。
JAF(日本自動車連盟)によると、乗り物酔いを起こすメカニズムは、人の体が持つ「平衡(へいこう)機能」が関係しているといいます。
【画像】「えっ…」 これが「乗り物酔いの原因」です!(26枚)
平衡機能は体のバランスを保とうとする機能のことで、耳の奥の内耳にある「三半規管」や「耳石」によって、体の傾きを察知して平衡を保とうとしています。
クルマや列車などの乗り物に乗っていると、揺れによって三半規管にあるリンパ液や耳石が乱されるだけでなく、視界に入る景色が目まぐるしく変わるなど、目や耳、体に受ける刺激が自律神経の乱れに繋がり、吐き気やめまいなどの症状として体に現れるのです。
こういった乗り物酔いの原因のひとつが、疲労や睡眠不足、空腹、満腹など「体調からの影響」によるものです。
ほかにも、ガソリンや芳香剤などのにおい、読書やスマートフォン、ゲーム機の使用などの外的な要因のほか、「乗り物酔いをしやすい」という思い込みや「また乗り物酔いをしてしまうかもしれない」という不安といった心理的な要因が影響することもあります。
乗り物酔いを起こさないようにするためには、これらの原因をできるだけ取り除くことが大切です。
まず、クルマに乗る前には前日から睡眠を取るなどしっかりと体調を整えておき、空腹や満腹を避けるため、乗車前に軽く食事をしておくといいでしょう。
乗車中は読書やスマートフォンの使用を避けて遠くの景色に視線を向け、定期的に窓を開けて車内の空気の入れ替えを行うことも効果的です。
また、思い込みや不安など心理的な要因に対しては、同乗者など他者によるサポートも有効です。
例えば、子どもの場合はプラシーボ(偽薬)効果を利用して、タブレット菓子や飲料などを「酔い止め薬」として飲んでもらうことで、「酔い止め薬を飲んだから大丈夫」という心理が働きます。
さらに、不安を和らげるような声掛けをしたり、気が紛れるような会話やリラックスできる音楽をかけたりするなどの工夫も効果が期待できるでしょう。
自分自身でできる対策としては、「このドリンクを飲めば酔わない」などと自己暗示できるアイテムを持っておくことや、自律神経の働きを整えるツボを刺激する、酔い止め薬を準備しておくなどの方法があります。
また日産自動車によると、カーブではクルマの傾きにあわせて体をまっすぐに保つことも有効だとしています。
しかし、これらの予防や対策をしても乗り物酔いを起こしてしまうことはありえます。
その場合は、症状が悪化する前にクルマを降りて、深呼吸したり軽く体を動かしたりなど、体調や気持ちを整えるといいでしょう。
このとき、走行しながらシートを倒すと危険なだけでなく、さらに揺られて酔いがひどくなるため、逆効果です。
「運転の工夫」でも予防できる?
乗り物酔いをする人自身が行える対策も有効ですが、ドライバーのちょっとした心がけでも乗り物酔いを軽減できることもあります。
日産自動車の公式サイトによれば、急ハンドルや急ブレーキといった乱暴な運転がクルマ酔いの原因になるといいます。
安全運転の面からも、ハンドルやブレーキ、アクセルの操作に余裕を持つことで、クルマのボディが揺れず、滑らかな運転につながるとしています。
例えば、加速や発進時はゆっくりじんわりとアクセルを踏んで、徐々に加速。カーブでは先に視線を向け、そこに向かっていくようにすると自然にハンドルを切ることが可能。
また車間距離も大切です。車間距離が近いと前走車に合わせて頻回なスピード調整が必要になります。
十分な車間距離を保つことで、安全につながるうえに、不必要な加減速が減ることで体の揺れも少なくなり、余裕をもって走行することができます。
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普段あまりクルマに乗らない人だけでなく、いつもと違うクルマに乗った時や、いつも運転している人が後部座席に乗車する時など、乗りなれない環境によって乗り物酔いを起こしてしまうことも考えられます。
乗車中に不快感や乗り物酔いの症状を感じたら、無理せず休憩を取るよう心がけましょう。