FOCALの新ヘッドフォン。左から開放の「HADENYS」、密閉型の「AZURYS」

「夏のヘッドフォン祭 mini 2024」が7月27日に開催された。会場は東京・八重洲「ステーションカンファレンス東京」6階。事前登録なしで、自由に入場できる。ここではラックスマンやFOSTEXブースをレポートする。

ラックスマン

ラックスマンのブースでは、発表されたばかりのFOCAL製の新ヘッドフォンが注目を集めている。開放の「HADENYS(ハデニス)」と密閉型の「AZURYS(アズリス)」で、価格はHADENYSが137,500円、AZURYSが110,000円。

HADENYS

FOCALのHi-Fiヘッドフォンを身近にする製品として開発されており、コンパクトで軽量なのも特徴。ドライバーには、ANC(アクティブノイズキャンセリング)技術を搭載したFOCAL初のワイヤレスヘッドフォン「BATHYS」に採用されているアルミニウム/マグネシム合金製の40mmユニットをベースに、パッシブタイプのヘッドフォンに合わせて細かくチューニングを施した専用のドライバーを搭載。

HADENYSは、地球の創成期を表す“ハデアン”にインスパイアされたブラウンカラーの外観で、「あらゆる音楽のニュアンスを豊かに捉え、開放型ならではの包み込むようなサウンド」。

AZURYSは、古来より絵の具の原料としても利用されてきた半貴石の“アズライト”にインスパイアされたブルーカラー。「密閉型である特性を活かし自宅や外出先など場所を選ばない、没入感のあるリスニング体験を提供する」という。

AZURYS

FOSTEX

TH1000RP

FOSTEXブースの目玉は、伝統の本藍で染め上げたハウジングと、新開発の平面振動板RPドライバーを組み合わせたヘッドフォン「TH1000RP」(密閉型)、「TH1100RP」(オープン型)の2機種。8月下旬発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は、TH1000RPが316,800円前後、TH1100RPが376,200円前

独自開発の最新型プレミアムグレードの全面駆動型平面振動板RPドライバーを搭載。従来のT50RPmk3/mk4のRPドライバーよりも大型化しているほか、振動板を挟み込むマグネットを増量し、新設計のプリンテッドコイルのパターン形状を採用することに加え、磁気回路の構成部品も一新して磁束分布を最適化。振動板の不要共振を抑え鋭いレスポンスでの音の立上がりと立下がりを可能にしている。

さらに、日本を代表する藍染めとして知られる徳島の阿波藍で染めた無垢材ハウジングを用い、国内工場で組み上げた。RPヘッドフォンのフラッグシップと位置付けられている。

右端が最新型プレミアムグレードの全面駆動型平面振動板RPドライバー。大型化しているのがわかる

FitEar

IMarge Custom通常モデル

FitEarのブースでは、ユニバーサルモデルで評価が高い「IMarge」のサウンドを、カスタムシェルでも楽しめる「IMarge Custom」を紹介。220,000円。

通常モデルに加え、開発者のこだわりと思いがつまったという「IMarge Custom限定セット」も用意。これは、シェルカラーに、ユニバーサルモデルと同じグリットアッシュを採用するほか、付属ケーブルをFitEar cable 007B4.4OFCに変更したもの。実際にこの仕様で製作した見本も展示している。このモデルは、7月27日~7月31日まで、フジヤエービック限定受注となる。

「IMarge Custom限定セット」グリットアッシュ。ハウジングを手にすると、光の加減で表情が変化し、ラメの煌めきもある。また、付属ケーブルが4.4mmになる。

nwm

オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー「nwm ONE」

NTTソノリティのブースでは、nwmブランドから、初のフラッグシップモデルとして発売されたばかりのオープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー「nwm ONE」を展示している。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39,600円前後。

周囲に逆位相の音を再生することで、耳元に音を閉じ込める独自の「PSZ」技術により、オープンイヤーながら音漏れを最小限に抑えられるのが特徴。同製品は人が装着した際の、頭や耳の奥からの反響も考慮した設計で、装着時に音漏れ抑制性能が最大限に発揮されるという。

マイク部にはNTTの特許技術「Magic Focus Voice」も搭載。2基のマイクに音が到達する時間差を利用して、音響空間を認識し、話者を特定する「ビームフォーミング」と雑音を除去して音声だけを抽出する「スペクトルフィルター」をハイブリッド処理した技術となる。

ORB

ORBのブースでは、4基のBAユニットを搭載した新イヤフォンを参考展示している。4基のBAをネットワークで分割せずに慣らしているのが特徴。鮮度の良さ、生々しさといった部分を個性として訴求している。モデル名や価格は未定だが、10万円以下で10月頃の発売を予定しているとのこと。

飯田ピアノ

KuraDaブランドのヘッドフォン「KD-Q1」

飯田ピアノのブースでは、革新的な3Dプリント技術で作り上げたKuraDaブランドのヘッドフォン「KD-Q1」が注目を集めている。8月5日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は22万円前後。

筐体のほとんどの部分を3Dプリンターで作っている

ハウジングやアーム部分など、筐体のほとんどの部分を3Dプリンターで作っているのが特徴。複雑な内部構造を実現でき、振動板の動きを最適化する事で、音楽の細部まで忠実に再現し、豊かな音響体験が可能という。

試作機ではなく、量産の製品として3Dプリンターを活用しているのも特徴。3Dプリンターを使ったパーツ生産は、ハイエンド3Dプリンターを多く所有し、3D Systemsや日本HPの3Dプリンターの正規販売代理店も努めているSOLIZE(ソライズ)が協力している。

さらに、Heart Fieldからは、日本初公開となる2つのイヤフォンを参考出展。いずれもシルバー仕上げの筐体が美しいイヤフォンで、BA×2、ダイナミック×1を搭載。上位モデルでも10万円を切る予定で、下位モデルは上記のユニットに加え、パッシブのユニットも内蔵するのが特徴だという。

Heart Fieldの参考展示イヤフォン

final

finalのブースでは、新しい有線イヤフォンシリーズ「S series」を参考出品。バランスドアーマチュアドライバーの新しい可能性を追求したシリーズで、プロトタイプのステンレス筐体モデルと真鍮筐体モデルの2機種を試聴できる。9月頃発売予定で、価格は未定。

新しい有線イヤフォンシリーズ「S series」

さらに、指で潰すことなく装着する新しいフォームタイプイヤーピース「Fusion-G」も紹介。フォームとシリコンの2層構造で、圧迫感の無い装着感と遮音性能を両立したという。プロトタイプとしてS/ M/ Lの3サイズを用意している。

新しいフォームタイプイヤーピース「Fusion-G」