エレクトリブース

「2024東京インターナショナルオーディオショウ」が開幕。期間は7月26日から28日までの3日間。国内外あわせて200を超えるブランドのオーディオ機器が集結している。今年は超大型のハイエンドスピーカーの新製品も多く登場しており、ここではエレクトリやフェーズメーションなどのブースをレポートする。

エレクトリ

Magicoの「M7」

ブース内で特に注目を集めているのは、Magicoの大型スピーカー新モデル「M7」だ。価格はペアで85,800,000円という超弩級モデル。

さらに大型な「M9」をより扱いやすくするために開発されたモデルで、オールパッシブの4ウェイ、6ドライバー構成。ツイーターは28mm MBD5D×1、ミッドレンジは5インチのMAG5004RTC×1、ミッドバスは9インチのMAG9508HE×2、ウーファーは12インチのMAG12008HE×2。

すべてのドライバーは、周波数と時間の両方の領域で音楽に関連する歪みを排除するために設計。有限要素解析モデリングシミュレーションを用いて最適化している。ツイーターはM9用に設計されたものと同じで、最適化されたジオメトリを持つベリリウム振動板を採用。ベリリウム基板を理論的理想に近づけるために化学蒸着プロセスでダイヤモンドコーティングを施している。

5インチのミッドレンジは、アルミハニカムコアをグラフェンを含んだ強化炭素繊維の外層と内層でサンドイッチしたもの。9インチのミッドバスは、ミッドレンジと同様に新設計バスケット・アッセンブリーと、アルミハニカムコアをグラフェンを含んだ強化炭素繊維の外層と内層でサンドイッチ。12インチのベースドライバーも、新設計のバスケット・アセンブリーとGen 8 Magico Nano-Tecコーンを使用している。

外形寸法は43×73×163cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は239kg。

SOULNOTE

SOULNOTEのブースでは、7月発売のステレオパワーアンプ「A-3 Core」と、8月発売のDS Audio製光カートリッジ専用のフォノイコライザー「E-3」が注目を集めている。価格はA-3 Coreが1,408,000円、E-3が1,650,000円。

ステレオパワーアンプ「A-3 Core」

A-3 Coreは、A-3をパワーアンプ化したステレオパワーアンプ。プリアンプP-3で採用したGND完全分離テクノロジーを、プリメインのA-3と同様にパワーアンプのA-3coreにも応用。

シンプルな無帰還回路、最適化されたアートワーク設計、大電流ループの最小化、インダクタンス成分の排除などにより、パワーアンプの筐体非接地を実現。これにより左右GND完全分離ステレオパワーアンプが完成したという。

フォノイコライザー「E-3」

「E-3」は、DS Audio製光カートリッジ専用フォノイコライザー。光カートリッジ専用のディスクリート・non-NFB・バランス増幅回路(New Type-Rサーキット)を新たに開発。電圧増幅だけでなく、出力段も全てGNDを基準に動作するシングル方式で、プッシュプルやバイアス回路を追放。入力から出力まで、シグナルは4個のトランジスタしか通過しないという。シンプルなnon-NFB回路により、「光カートリッジによりもたらされる過渡応答に優れた音楽信号の鮮度を守る」という。

電源部は、左右独立のNew Type-Rサーキット専用大型トランスと、光カートリッジのLED電源用トランスの3トランス構成。19Wのフォノアンプに対して、消費電力に500Wパワーアンプ相当の電源容量を与えている。「この余裕が揺るぎない音楽再生を支える」という。アナログ電源トランスとして新開発の銅ショートリング付きトロイダルトランスを採用。リーケージフラックスに起因するノイズを抑えて、微細な表現力を向上させている。

なお、接続に使うフォノケーブルは付属せず、RCAタイプと、LINNのプレーヤー用の2種類を別売する予定。価格は未定だが、30,000円ほどを想定しているという。

フェーズメーション

フェーズメーションのブースでは、昨年発売のフラッグシップパワーアンプ「MA-5000」を軸に、Grandioso T1とのコンビで、フェーズメーションのリファレンスシステムをSonus faberの「AIDA II」を鳴らしている。

新製品としては、真空管の300Bをシングルで使ったステレオプリメインアンプ「SA-1500」を国内初披露。10月発売で、価格は税別1,700,000円を予定している。

ステレオプリメインアンプ「SA-1500」

2017年に、真空管300Bをシングル出力で用い、トランス結合で強力にドライブするモノラルパワーアンプMA-1500を発売した同社だが、その魅力をより多くの人に届けるために、300B単管のシングル動作で、9W出力を確保したステレオプリメインとしてSA-1500が開発された。

出力管の300Bを自己バイアスのシングル純A級動作とし、6SN7を2段増幅回路で使用。6SN7を2段増幅 + 300Bという全段3極管による無帰還アンプ回路構成とすることで、「無帰還回路ならではの躍動感にあふれた表情豊かな音楽の再生能力を獲得した」という。

上部の通気孔

出力トランスはルンダール製。左右各チャンネルの電源回路には、それぞれ独立したチョークコイルから電源を供給することにより、左右チャンネル間の相互干渉を排除している。

パッシブプリアンプ「CM-1500」

さらに、12月発売予定のパッシブプリアンプ「CM-1500」も披露。価格は税別900,000円の予定。

同社は、+6dBの増幅機能を持たせ、アクティブ回路を内蔵しないハイエンド・ハイブリッド・パッシブ・プリアンプにこだわり、2022年にはその集大成として「CM-2200」を発売している。

その弟分となるのがCM-1500。アッテネーターの音量調整機構を従来の46接点ロータリースイッチからゲイン切り替えスイッチと音量調整用23接点ロータリースイッチの2つのスイッチ構成に変更することで、CM-2200の機能、操作性を継承しながら、鮮度が高く、緻密で広大な音場再生を実現したという。

トライオード

トライオードのブースでは、6月に発売したKT150真空管を採用したプリメインアンプ「EVOLUTION MUSASHI」と、「EVOLUTION PRE」を組み合わせたデモを中心に実施

上から「EVOLUTION MUSASHI」、「EVOLUTION PRE」

EVOLUTION MUSASHIは、高出力管であるKT150の魅力を引き出すAB級プッシュプルの回路構成を採用し、出力は100W+100W(8Ω)。さまざまなスピーカーを力強くドライブするという。使用真空管はKT150×4基、12AU7×4基。

音質が良く、精度が高い日清紡マイクロデバイス製のMUSESシリーズ電子ボリュームを搭載。入力の近くにボリュームを配置できるため信号経路の最短化ができ、より鮮度の高い信号伝送を実現した。

さらに、JUNONE845SEの最終プロトタイプも展示されている。

JUNONE845SEの最終プロトタイプ

ハーマンインターナショナル

ハーマンのブースでは、JBLのスピーカー新シリーズや、英ARCAMから新登場したRadia Seriesが注目を集めている。

JBLの新スピーカーは、ホームシアター展開も可能で、イネーブルドスピーカーもラインナップする「STAGE 2」シリーズ。7月25日に発売されたばかり、ブックシェルフの「STAGE 240B」がペア40,700円からと、手に取りやすい価格も特徴。

「STAGE 2」シリーズ

ブックシェルフの「STAGE 240B」

控えめな木目調にエスプレッソのような味わいのあるカラーリングを組み合わせることで、「高級感を保ちながら重厚さを押し付けない、ゆとりある大人のような印象を与える。さらに部分的にブランドカラーのオレンジを指し色に採用しているところも遊び心のあるポイント」だという。

サブウーファーを除くすべてのモデルの高域ユニットに、プロ用モニタースピーカーのために開発されたHDI(High Definition Imaging)ホーン技術の次世代バージョンを採用することで、リスニングエリアのどこにいても自然な音場定位と音響バランス、そして透明感あふれる高域を実現。アノダイズ処理を施した25mm径アルミニウム・ドーム・ツイーターによるクリアで伸びやかな高音域も楽しめるという。

「STAGE 240H DOLBYイネーブルド・ハイトスピーカー」もペア55,000円でラインナップしている

その他

アッカのブースでは、YG Acousticsの新スピーカーに注目。Referenceシリーズが、全モデルReference3へと生まれ変わるカタチとなっている。ペアでの税別価格は、Sonja XV 3(81,500,000円)、Sonja XV3 Studio(61,500,000円)。Sonja XX 3(46,400,000円)、オールアクティブのSonja XX 3 Live(53,000,000円)。Sonja 3.2(19,000,000円)、Sonja 3.3(30,000,000円)、オールアクティブのSonja 3.2 Live(30,500,000円)など。

YG Acousticsの新スピーカー

ユキムブースでは、Auraの新パワーアンプ「linear classics CLP1」と、ELACのJET 6搭載スピーカーを組み合わせたデモを展開。AURA linear classics CLP1は非常に薄型かつ、Auraらしいデザイン性の高さが魅力だ。価格は未定。

Auraの新パワーアンプ「linear classics CLP1」

オルトフォンのブースでは、8月発売予定のカートリッジ「SPU GTX S」(丸針/Sphericalで198,000円)、「SPU GTX E」(楕円針/Ellipticalで220,000円)が人気。昨年発表の「SPU GTE 105」によって約30年ぶりに復活したSPU GTシリーズに、早くも追加された新生モデル

SPU GTX E

これまでのGTシリーズの総決算として、オルトフォンとスウェーデンLundahlの手で共同開発された内蔵MC昇圧トランスを肝とするSPU GT特有のパワフルな音色はそのままに、現代のレコード再生用カートリッジとして見ても申し分のない性能を発揮するという。重点的に手が加えられたのはGタイプのヘッドシェルで、旧GTシリーズの構造を徹底的に見直して開発されたGTE 105のヘッドシェルを更に改良した結果、使用素材をABS樹脂から特殊ファイバー配合の樹脂に変更している。

SFORZATOの新モデル

リジェールのブースでは、SFORZATOの新製品が登場。ネットワークプレーヤー「DSP-Carina」、メディアコンバーター「MC-RJ45P」、マスタークロック「PMC-Gemini」が披露されている。