Suprema。左がメインキャビネット、右がサブウーファー

ノアは、ソナス・ファベールの創業40周年を記念する新フラッグシップ・モデル「Suprema(シュプレーマ)を国内で発売する。2筐体のメインキャビネット、2筐体のサブウーファー、1筐体のアクティブクロスオーバーネットワークで構成する2.2chシステム。サブウーファーがシングルのモデルも用意しており、価格はシングルサブウーファーが1億5,400万円、デュアルが1億7,050万円。7月26日~28日に開催される「2024東京インターナショナルオーディオショウ」に出展する。

サウンド・パフォーマンスやデザインを含む全てにおいて、「従来のスピーカー・システムの概念を覆すために開発された。同社の伝統的な職人技や更なる革新的な技術の開発、使用する素材の厳選など、ラグジュアリー性においても一切の妥協はない」という。

メイン・キャビネットは、創業者フランコ・セルブリン氏が考案した「Guarneri Homage」を彷彿とさせるリュートデザインを継承。完璧なサウンド・ステージを再生するための、スピーカーの存在を完全に感じさせないキャビネット形状を追求。平行面がない事でキャビネット内の共鳴を的確に制御、スリムな形状により、スピーカーの存在が消える真に3次元的な空間表現を実現するという。

サブウーファーは、メイン・キャビネットとは全く異なる考え方により製作。Stradivari Homageを模した形状で、キャビネットの表面積が大きいだけでなく、内部容積が多く、さらに平行面が無く、内部定在波の除去を最適化。「オーケストラにおけるティンパニやグランカッサ、ドラムのアンサンブルなどのインパクトがあるサウンド、また音場や空気感を適切に生成するために必要な歪みのない最低域(16Hz)の再生を可能とした」という。

このモデルのために開発されたカスタムメイドのドライバー・ユニットのポテンシャルを最大限に引き出すために、メイン・キャビネットとサブウーファーのいずれにもカーボンモノコック製のキャビネットをリア部に採用。10年前の同社30周年記念モデル「Ex3ma」で初めて採用したカーボンファイバーは耐久性と共振の少なさに非常に優れており、固有の振動や共振を除去するという。

一方で、同社の伝統技術である天然木による積層合板をサイドパネルに採用。17層の極めて厚い積層構造による優れた剛性を有し、同社初となる難易度の高い3次元曲面加工により、並行面を出来る限り少なくした独創的なデザインを実現。天然木による積層合板、カーボンモノコックのエンクロージャーをCNC加工アルミニウム・プレートによりクランプさせる事で、更なる剛性を獲得、不要な振動成分をより理想的に除去している。

カナダのオーディオ用のアイソレーション製品を手掛けるIsoAcousticsとコラボレーションし、共同開発したカスタムメイドのアイソレーション構造を採用。「音響的に優れた床面とスピーカーの絶縁に成功した」としており、「特に中高周波数域での明確なパフォーマンス向上を獲得。透明感ある明確なサウンド・ステージを提供しながらも、低音のダイナミクスは全く失わない」とのこと。

メイン・キャビネットのツイーターとミッドレンジ部の独立チェンバーは、ドライバー・ユニットのパフォーマンスの最適化を図るために設計した独自のチェンバー構造「Cutting-edge Technologies」を搭載している。

フロントの高域は20mmスーパーツィーター、38mmのツィーターの2基によって再生。伝統のシルク・ソフトドーム型を採用。独自技術のアローポイントDADは搭載していない。これは、スーパーツィーターが2~40kHzの帯域再生が可能な事、またスーパーツィーター及びツィーターの双方に、ウェーブガイドが備わっている事で、高域特性や分散において非常に優れているためだという。

165mmミッドレンジも新開発。振動板の周りの合計5箇所カットし、更にエッジ部を凹型にする事で、今までにないナチュラルでホログラフィックなサウンドを奏でるミッドレンジを開発したという。形状がイタリアのトスカーナ地方で珍重される花であるカメリア(椿)に似ている事から、Camelia Midrange(カメリア・ミッドレンジ)と命名されており、あえて振動板を着色をせずに、ペーパー素材そのものの色を活かしている。

新設計のアルミニウム製フェーズプラグは、独自のダンピングリングを設けることで、ユニットが駆動する事で発生する気流を最適化、リスナーへ一貫した波形パターンの伝播を可能としている。

低域は、203mmミッドウーファー×1基、203mmウーファー×4基を搭載。タワー型のユニット構成で、ウーファーがキャビネット上部と下部に2基ずつ搭載されている。またこれらのペーパー コーン・ウーファーは、 45~360Hzの周波数に対応。カスタムメイドのネオジム・ドライバーを備えたデュアル・ボイスコイル構造によるパワフルな低域を再生。ドライバーの背面に特別なボトムキャップを搭載。エアーポートを設ける事で、ボイスコイルの冷却と駆動効率を強化している。

ミッドウーファーは2基の下部ウーファーとミッドレンジ間に配置。カスタムメイドのネオジム・ドライバーにより45~430Hz まで再生。「リンク・ミッドウーファー」と呼ばれており、4基のウーファーと1基のミッドレンジが再生する周波数を結ぶ役割を担っている。

サブウーファーは20Hzを下回る超低周波数を最適に再生するために、メイン・キャビネットの位置に関係なく、リスニング環境に基づく低域の応答を最適化できるよう、独立したサブウーファー・システムとなっている。

38cmドライバー・ユニットを2基搭載。優れた剛性と共振の少ない鍛造カーボンファイバー製の振動板を採用。巨大なヒートシンク、強力なネオジム・ドライバーも搭載し、2つのユニットを合わせて約2,000Wの出力に耐えられる設計となっている。

完璧な状態で再生する事を目的として、外付けの専用クロスオーバー・ネットワークを開発。特に超低周波数を再生するサブウーファーにおいては、空間やシステムに応じた調整が必要不可欠なため、このクロスオーバー・ネットワークによってLow Passや位相、ゲインの調整をする事が可能なだけでなく、必要に応じてメインチャンネルのHigh Passを調整できる。

クロスオーバー・ネットワークによる最適な信号処理を実現するため、L/Rの回路を物理的に分離させたデュアル・モノラル構成を採用。フル・バランス回路によるアナログ信号処理をしている事で、音質劣化をさせずに本機のポテンシャルを最大限に発揮できるとする。

デザイン面では、同じイタリアの高級家具ブランドのPoltrona Frauとのコラボ。メイン・キャビネットのフロントバッフルに使用するレザーは、Poltrona Frauが手掛けるクロムフリーのなめし加工レザーの「Pelle Frau Impact Less」を採用している。

仕上げはRed(レッド/グロス・フィニッシュ)、Red Violin(レッド・ヴァイオリン/グロス・フィニッシュ)、Graphite(グラファイト/グロス・フィニッシュ)、Wenge(ウェンゲ/グロス・フィニッシュ)、Walnut(ウォルナット/グロス・フィニッシュ)の5つ。

メイン・キャビネットの外形寸法は650×880×1,905mm(幅×奥行き×高さ)で、105kg/本。サブウーファーは850×525×1,451mm(同)で103kg/本。クロスオーバー・ネットワークは451×424×110mm(同)で17kg/台。