初防衛戦へ会見に出席した田中恒成【写真:高橋学】

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 ボクシングのトリプル世界戦が20日、東京・両国国技館で行われる。18日は都内で各選手が会見し、WBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成(畑中)は初防衛戦へ、同級12位ジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)と対面。強敵王者との統一戦実現へ、勝利だけでなく内容も求めていく。戦績は28歳の田中が20勝(11KO)1敗、28歳のロドリゲスは25勝(17KO)2敗1分け。

 自信が田中の指一本から滲み出ていた。会見冒頭の選手紹介。名前を呼ばれ、立ち上がった28歳は右人差し指を突き立て、カメラにアピールした。終了後の写真撮影でも同様。挑戦者と固く握手を交わし、そろって降壇した。「今回は特にコンビネーション、手数を出すことを意識して練習してきた」。攻めの意識を強めたのは前戦が大きく影響している。

 2月にクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0の判定勝ち。2020年大晦日に井岡一翔(志成)に敗れて以来、3年2か月ぶりの世界戦で井岡、井上尚弥に続く日本人3人目の4階級制覇を達成した。しかも、元世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る世界最速21戦目。しかし、KO勝ちを逃した内容に試合直後から「悔しい」と反省が口をついた。

 同級ではWBA王者だった井岡が今月7日、IBF王者フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)との統一戦で判定負けし、王座から陥落。長く階級最強とされたWBC王者だったファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)も、6月29日にIBF&WBO世界フライ級王者ジェシー・ロドリゲス(米国)に王座奪取を許した。

 3人に減った世界王者。田中は「今、同じ階級にPFP5位に入る選手(ロドリゲス)、2団体統一王者(マルチネス)がいる。世界的に評価が高まっている王者が多いので、自分はチャンピオンの立ち場でありながら現在地は4団体統一に向けて完全に挑戦者」と“格下”の現状を受け止める。しかし、そんな現状でも「なので、やりがいがあります」と言葉は熱を帯びた。

 井岡への雪辱も視野に入れていただけに、王座陥落はプラスとは言えない。敗れた試合を見て何を感じたのか。

「とても良い試合だった。熱い気持ちも感じたし、同時にマルティネスの強さも感じた。(9日の)会見でも言ったけど、井岡選手と一度戦っているし、マルティネスもずっと戦いたかった選手でもある。あの試合を見て、全てを言葉にしない方がいいと思っています。井岡選手については自分が言葉にするべきじゃないので、ここで留めています」

 残る2人の王者に対しては、「2人ともターゲットですが、現状どちらを目指しているかというと、フェルナンド・マルティネス。ずっと目指してきたので想いが強い」と口にした。

挑戦者「どんなことをしてでも勝つ」、田中「圧倒しながら勝つ」

 相手のロドリゲスは「タイタン(巨神)」の異名を持つ28歳。3年前にIBF世界同級王座を9度防衛したジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に0-3の判定負けを喫したが、スタミナと好戦的なスタイルを併せ持つ。この日は「タナカは非常にエクセレントな王者。4階級制覇した素晴らしい王者」と敬意を持ちつつ、「俺はリングの下ではリスペクトするが、リングの上ではリスペクトしない」と早くも好戦的な姿勢を見せた。

「タナカは名王者だと思う。素晴らしい王者なので初回からプレッシャーをかけていく。俺は衝撃的な打ち合いが好き。それをしたい。フィジカルでは劣らない。どんなことをしてでも勝つために日本に来た」

 一方、田中は挑戦者について「力強いパンチをどんどん振ってくる。タフな選手にタフな試合をしてきた。他団体を含めてスーパーフライ級は強い王者がいるので、そこに負けないように内容にこだわって圧倒しながら勝つ試合を見せたい」と気合いを入れた。

○…興行はトリプル世界戦。田中のほか、WBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)が同級1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)と初防衛戦を行う。WBO世界フライ級王座決定戦では、同級2位・加納陸(大成)と同級3位アンソニー・オラスクアガ(米国・帝拳)が対戦。ボクシング転向4戦目の那須川天心(帝拳)がジョナサン・ロドリゲス(米国)と120ポンド(約54.43キロ)契約10回戦に臨む。「Prime Video presents Live Boxing」の第9弾として、Amazon プライム・ビデオで生配信される。

(THE ANSWER編集部)